●『数学的な宇宙』(マックス・テグマーク)という本を買った。まだ全然読んでいないし、いつ読めるかわからない(先にすべきことが多々ある)のだけど、どんな感じなのかパラパラみていると、本文開始から三ページ目に次のように書かれていて、ああ、(思いついていいはずなのに)それは思いつかなかったなあ、と思った。
まず、交通事故で死にそうになった経験を語り、そのような時にこの宇宙は、自分が死んだ宇宙と死ななかった宇宙とに分岐するのだとする、エペレット的な多宇宙論について説明して、その後、次のようにつづく(この本は科学の啓蒙書であり、著者はSF作家ではなく物理学者だ)。
《いま述べたことについて、「ばかげている、物理は問題を混乱させているだけだ」と感じるなら、私がそれを個人的にどう解釈しているかについて説明したら、状況はいっそう悪くなるかもしれない。それはこういうことだ。まず、私が二つの並行宇宙のそれら二つの場所にいたとすると、片方の私は生き残る。同じ議論を将来私が死ぬまですべてのシナリオに適応すると、私が決して死なない並行宇宙が常に少なくとも一つはあることになる。すると、次のような疑問が持ち上がらないだろうか。つまり、私の意識は私が生きている場所にしかないのだから、私は主観的には、不死に感じるのではないか? さらに、もしそうなら、あなたも私同様、主観的には不死で、いつかは地球上で最高齢の人間になるのではないか? 》
●この理屈でいくと、最後のところは「地球上で最高齢」ではなく「宇宙で最高齢」ということになるのではないか。私が死んだとたんに、もう一つの私が死ななかった宇宙が出現するとしたら、宇宙全体が消滅しなければ、私は死ねないことになる。