●トランプという存在がやったことで一番大きいのは、アメリカの国民の間にはっきりと目に見える分断線を引いてしまったということではないか(それはイデオロギー的というより、経済的な---主に経済構造に起因する---分断線なのだと思う)。少なくとも国民の半分は---共和党ではなく---トランプを支持した。たとえば、なんらかの出来事があってトランプが失脚するということがあったとしても、多くの人がトランプを支持した(トランプを必要とする多くの人がいる)という事実や、トランプが大統領になった背景---その経済的な構造と対立する空気---の存在が消えるわけではない。トランプは原因というより結果だろう。トランプが消えたとしても、一度露わになった溝の深い分断線は消えない。トランプ以前には戻れない。
この深い溝をどうやって埋めていくのかを考えないといけないのではないか。
●すっかりSuchmosにハマっているのだけど(YouTubeの動画をヘビロテで再生しているだけで、まだアルバムを買ったわけじゃないけど)、下のリンクの動画でメンバーが、入口はジャミロクアイとディアンジェロだった、と言っていて、ああ、それはハマるはずだわと思った。両方とも、普段ほとんど音楽を聴かないぼくがハマった数少ないミュージシャンだ。Suchmos 湘南発・世界照準のバンドが明かす音楽的ルーツと野望 【SPACE SHOWER NEWS】
https://www.youtube.com/watch?v=tmxe_TnQciQ&feature=share
それと、YouTubeで音楽を聴く世代だから可能になったバンドなんだな、と。お金や手間暇かけなくても、無尽蔵に様々な音楽が聴けるから、才能さえあればどこまでも行ける。手間暇かけてレアなレコードを探す、みたいな過程が入るとマニアックになるけど(渋谷系みたいに)、そこで余計な苦労がないからマニアの病から自由な感じ。「音楽マニアの男の子が好きそうなバンド」という罠にはまらない。
しかし、こういうバンドが今流行っているというのが不思議だし面白い。若者はみんな、こういうの嫌いだったんじゃないの、と。クールでオシャレでアブストラクトでとっぽいものなんて、いけ好かない意識高い系エリートもどきみたいで嫌だったんじゃないの、と。オシャレな音楽を聴くことなんて、センス競争やオシャレアピールみたいでかっこ悪いんじゃなかったの、と。こういうの、八十年代とか九十年代育ちのバブリー親父の好みみたいで嫌だったんじゃないの、と。
これって景気のいい時期に流行るようなタイプの音楽だと思うのだけど、世の中のモードが変わりはじめているということなのだろうか。