立教大学で、ステムメタフィジック研究会。今回は『四方対象』(グレアム・ハーマン)を読む会。読書会というのは、「同じ本」を「違う頭」たちで集まって読む、というところに意味があるのだなあと強く思う。これは、いくら緻密に精読するとしても、「自分一人で読む」ということとは、根本的に違う経験なのだし、(そのような側面は大きくあるとしても)自分よりも精密に読める人のレクチャーを受けるというだけということともまた違う経験なのだなあ、と。
『四方対象』はとても面白い。これは、哲学が好きな人だけでなく、芸術系の人に強く働きかける力があるというのはまず当然のこととして、理屈っぽいSFとか、論理のひねくれたミステリとかが好きな人が読んでも面白いと思う。哲学としての「新しさ」がどうとかいうことを置いておいても、その世界観の特異さそのものや、議論の展開の意外性を楽しめる、という感じで。
(フッサールハイデガーに関する前提知識がなくても、そういうキャラの老師たちの教えを受けた若者---若者でもないけど---が、その教えを元に、自分独自の新たな道を切り開こうと模索している、という道筋のストーリーとして読める。)
哲学の本とは思えないくらいに、軽妙で、時に軽薄とも言える書きっぷりに(しかし、内容はかなりしつこく理屈っぽい)、ハーマンという哲学者のキャラがよく出ているとも思う。