2019-03-21

●『野のなななのか』のかさねと、『花筐/HANAGATAMI』のあきねとを、同じ人(山崎紘菜)が演じているということに、ウィキペディアをみるまで気がつかなかった。全然印象が違っていたので。

野のなななのか』のかさねは、割と単調に「若さ」を象徴するキャラで、そして端的に「説明する」キャラだったが、『花筐/HANAGATAMI』のあきねは、とても複雑で深い陰影を湛えているキャラだということもあると思う。

この二つのキャラの違いはそのまま、『野のなななのか』という映画と『花筐/HANAGATAMI』という映画との性格の違いをあらわしているようにも感じられる。『野のなななのか』は、それを構成する一つ一つのピースは明快で単調で紋切り型ですらあるが、それら明快なピースをとても複雑な形に織り込むことでつくられている。対して『花筐/HANAGATAMI』を構成するピースは、必ずしも明快で単調であるわけではない。特に、矢作穂香山崎紘菜門脇麦が演じる三人の女性キャラクターそれぞれのもつ性質の表現と、その対比によって醸し出される表情は、非常に味わい深く、複雑であるようにみえる。