2019-04-15

講談社メチエから出たラカン『アンコール』の翻訳本、訳者による解説や前口上などが一切なく、ただ本文だけがごろっと提示されているのがすごい。しかも、最初のページからいきなり、《あなた方のわたしはそのことについて何も知りたくないは、断片的にあなた方に伝えられてくるあるひとつの知に関するものですが、わたしにあるのはそれでしょうか? わたしはそうは思いません。それに、あなた方にしても、まったくわたしのことを、あなた方とは別のところからこのわたしはそのことについて何も知りたくないのなかに出発したのだと想定しているからこそ、わたしへと拘束されているのです。》などというような文章があり、この調子でつづいてゆく。