2020-02-20

●『映像研には手を出すな!』、7話。「水の表現」(お茶、雨の様々なバリエーション、風呂場でのあれこれ、雨で水が増す川の表情、その流れ、等々)があたかも裏テーマであるかのように充溢していたのは、この回が「水」崎氏を中心とした回だからなのだろうか。

冒頭の、幼い水崎氏と祖母との場面。おばあさんが湯飲みに残ったお茶を庭へと投げ捨てる。水崎氏はその手際に見惚れて真似てみるが、上手くいかない。ここで既に、水の運動性(飛び散るお茶、飛び散らないお茶)と、身体の運動性(庭にお茶を投げ捨てるおばあさんの動き)という、二つの主題が提示されている。

この二つの主題は、一方で、歳をとって身体が上手く動かなくなってしまったおばあさんを介助しようという動機に基づいた、水崎氏の身体運動(その表現)への関心とこだわりへと発展し、もう一方で、物語の背景を形作る、様々な「水」の表現のバリエーションの提示へとつながっていく。

表では、物語と密接にからんでいく水崎氏の動き=アニメーションへのこだわりという主題が歌っていて、その裏で、背景として、「水の表現」の様々なバリエーションが、通奏低音のようにして鳴り続け、表の物語を下支えしている。

(水崎氏は、身体や物質の運動への興味を、おばあさん---への関心、愛着、そしてその身振り---から受け取り、引き継いでいる。同様に、アニメーションにおける「動き」へのこだわりを、過去の無数の---有名であったり無名であったりする---アニメーターたちから受け取り、引き継ごうとしている。)