2020-07-11

●興味深い動画。

企画ばかり(4)バカリズム【聞こえよう】

https://www.youtube.com/watch?v=RgpQPtUC_6M

ここで共同制作されている詞で、起承転結の「起」に当たるのは「今更」ではなく「根本も広瀬も佐々木も」だろう。手探りで滑り出したものから、ここではじめて何かが立ち上がる。そして「転」に当たるのが「偽名でホントは橋本」だろう。この詞を成立させている核となるのは、この二つの部分によって起こる展開(飛躍)だと思う。言ってしまえば、それ以外の部分は冗長性の領域だろう。勿論、内容的には冗長的な部分こそが、雰囲気や流れやグルーヴをつくっているのだが。

だから極端なことを言ってしまえば、この詞の八割は、バカリズムてんちむがつくっていると言える。そして、この詞においてより重要なのは「起」の部分より「転」の部分だろう。というか、「起(根本も広瀬も佐々木も)」を受けて、それを「転(偽名でホントは橋本)」へと展開させる力だと言える。だから、この詞の創造への貢献の、六割から七割くらいは、てんちむによっている。

(「家族な・の・ねー」「了解」という、「オチ」というより「受け」の部分をつくったふかわりょうは、形を整えた、という感じだろう。最も多く採用されているふかわりょうは、この詞の基底をつくっている感じ。)

ただ、共同制作というものの面白さがここにあって、それは、この詞をそれぞれ一人でつくるとしたら、てんちむの詞のクオリティは決して高くなるとは思えないということだ。実際、この詞を構成する八つのパートのうち、てんちむの案が採用されているのは一カ所しかない。この動画をみるかぎり、てんちむの作詞能力が高いようにはみえない。だから、ここで、てんちむが自らの創造性を発揮できたのは、この四人のメンバーの構成のなかにいるということ---この関係性、環境---によっていると言える。

(Boseは一カ所も採用されていないが、それは全く貢献していないということではなく、一つ一つの提案が他の人への刺激として働いているはずだから、潜在的な貢献があると言える。Boseは、てんちむの出した「偽名で実は橋本」を、「偽名でホントは橋本」と修正してもいる。)

なにかをつくることの面白さがここにあって、てんちむのたった一回の貢献が、この共同制作においては、それを方向付け、その核となる、決定的な、最大のものとなった。制作において、この、いつ、どこで出てくるか分からない、決定的な何かを逃さないことが重要だと、改めて感じる。

●これも面白い。創造性ゼロの決定論的な大喜利

企画ばかり(2) バカリズム【境遇大喜利

https://www.youtube.com/watch?v=r5lQXlqcVc4