2020-07-19

CY8ER、来年一月に武道館ワンマンで解散なのか。来年の一月くらいの時期に、観客を入れての大規模なライブが開けるような状況であればいいのだが。

CY8ER「夢を叶えて解散します!」10年にわたるアイドル大河ドラマ――覆しようがないと思われた現実を覆した物語(ビルボードジャパン)

http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/90242/2

CY8ERのことをよく知らない人の為に、まずその生い立ちについて記そう。このグループの発起人であり、メンバー兼プロデューサーでもある苺りなはむ。彼女は元々2011年にデビューした異端児アイドルグループ・BiS(1期)のオリジナルメンバーだった。》

《その後、りなはむは「渋谷と秋葉原を繋ぐアイドルグループを作りたい」とアキシブprojectを発足。新たなスタートを切るのだが、メンバーが次々と脱退してしまったり、結成から1年経ってもCDデビューが出来なかったり、代表メンバーでありながらステージに選抜されなかったりと大苦戦を強いられ、最終的に卒業することになってしまう。一方、彼女の古巣であるBiSはセンセーショナルな活動を畳み掛けながら、エイベックスからメジャーデビュー。目標として掲げていた会場でのライブも次々実現し、アイドル戦国時代の寵児としてブレイクを果たしていた。》

《ふたつのアイドルグループを離脱していたこともあり、当時のりなはむの人気は低迷。BiS時代の恩恵として「nerve」頼りのライブをしたり、でもそれがダサいとうことも理解しており、完全に追い込まれた状態であった。しかし、前述の涙ながらに語った想いに嘘はなく“完全引退”を懸けたミッションは成功。2015年6月には、苺りなはむ×にかもきゅによる“ゆめかわいい”テーマのユニット“BPM15Q”結成(CY8ERの前身ユニット)。2016年12月には、のちに彼女の夢を叶えることになるCY8ERが結成される。》

CY8ERは、メンバーの来歴が、それぞれに興味深い。

CY8ERは、苺りなはむの夢に賛同した者たちによる個性派集団である。最初のメンバーは、小犬丸ぽち。その名の通り、小犬のように幼顔のキュートなビジュアルとキャラクターを持ちながら、POCHI名義でDJ活動もしており(かの【JAPAN EXPO】でプレイした経歴も!)、CY8ERとの音楽的親和性が高いメンバーでもある。2017年1月加入の第3のメンバーは、ましろ。以前はDEEP GIRLというアイドルグループでヘヴィなメッセージを歌唱していたが、CY8ERではそのセクシーなビジュアルとミステリアスなキャラクター、SHACHI名義でラッパーとしての才能を海外からも評価されるなど、唯一無二の存在感を放っている。》

《2017年5月に加入した病夢やみいは、その名の通りの内気で闇を抱いているイメージもあるものの、その身のタトゥーに裏打ちされたロックな精神性はパフォーマンスにも表れており、でも話してみると奥ゆかしい可愛らしさも持ち合わせているメンバーで、そのギャップのファンも多い。そんな彼女と同タイミングで加入した藤城アンナは、過激なパフォーマンスで一世風靡したBELLRING少女ハートの元メンバーでありながら、りなはむ同様に自身の理想のアイドル像を追い求め、CY8ERに辿り着いた苦労人。しかし、モデル級のビジュアルと相反して、歯に衣着せぬ愛らしいキャラクターの持ち主でもあり、グループのムードメイカー的な側面も。》

ここには書かれていないが、病夢やみいは、十代の時に音楽活動をしていたが、あきらめて就職し、三十歳になるまでショップ店員をしていて、三十歳になったことを期に活動再開を決意し、ミスiDというオーディションを受け、そこでCY8ERのメンバーに発見され、スカウトされて、加入することになる(「火曜TheNIGHT」からの情報)。CY8ERのメンバーは誰もが多様な前歴をもつ。

アキシブproject (Wikipediaより)

《2012年10月5日、TwinBox AKIHABARAのプレオープンイベントにて元BiSのりなはむ(横山利奈)が発起人となり「“渋谷と秋葉原を繋ぐアイドルグループ”、アキシブproject」を結成したことを発表》。

りなはむ/アキシブproject発足宣言(2012年)

https://www.youtube.com/watch?v=FVCUUp2QEio

BPM15Q (Wikipediaの「CY8ER」の項より)

《元BiS/アキシブprojectの苺りなはむと、にかもきゅにより、CY8ERの前身となる「BPM15Q」(ビーピーエムいちごキュー)を結成》

【MV】BPM15Q『はくちゅーむ』(2016年)

https://www.youtube.com/watch?v=1criFbeN9PA

CY8ERの解散ライブが、「CY8ERなりの横浜アリーナ at 日本武道館」というタイトルなのには、十年に渡っての物語というか、サブカルっぽい文脈がある。苺りなはむがオリジナルメンバーだったBiS(苺りなはむは早々に脱退したのだが)は、「武道館でのコンサートを実現して解散する」という目標の下に2010年に活動をはじめる。そして、掟破りなヤバいプロモーションを繰り返すことで順調に人気が増していったのだが、その「掟破りのヤバいプロモーション」が問題となり、武道館を使わせてもらえなくて、2014年の横浜アリーナでの解散ライブに「BiSなりの日本武道館」というタイトルをつけた。苺りなはむはこのコンサートにゲストで出演し、刺激を受け、ソロアイドルとして低迷していた彼女は、これをきっかけに奮起することになる。

《2014年9月、秋葉原を中心にソロアイドルとして活動していた彼女は“完全引退”を懸けたミッションに挑戦。「2015年1月15日(いちごの日)までにCD5000枚売り切れなかったら芸能活動完全引退。ツイッターやブログ等も終了」と背水の陣を組む。「BiSを卒業してから自分のなりたいアイドルを追いかけてみたけど、正直全然上手くいかなくて……。(…)そして今度は自分の力で大きいステージに立ちたいなって思います。BiSが立てなかった武道館にりなはむが立ちたいです。りなの力で絶対に行きます」》

この目標を、セルフプロデュース(自主運営)のCY8ERによって来年実現する。なので、「BiSなりの日本武道館at横浜アリーナ」に対する、「CY8ERなりの横浜アリーナ at 日本武道館」となる。ただ、とはいえ来年の一月という時期は微妙なので、今の状況ではもうこれ以上は持ちこたえられないから、ある程度強引だけど、ここで物語を終わりにする、ということかもしれない、とも思ってしまう。

CY8ER「 伝えたいこと 」

https://www.youtube.com/watch?v=0CGEgqWF8uA&t=3543s