2020-09-03

●『らせん』(飯田讓治)を、実ははじめて観た。『リング』、『リング2』、『リング0 バースデイ』と展開していく貞子(1)とは別の、『リング』、『らせん』と展開していく貞子(2)の物語。(2)といっても、こちらの方が原作に忠実なのだろう。

いまごろになって『らせん』を観たのは、去年つくられた貞子(1)系の最新作『貞子』(中田秀夫)を観て、Jホラーの作品としてとても洗練されているとは思うけど、同時に、もう貞子(1)系には新鮮味はないかなあとも感じてしまって、そういえば、貞子にはもう一つの系列があったはずだと思ったから。

もう一つ。『ドゥルーズガタリの『哲学とは何か』を精読する』(近藤和敬)の「序文」に、著者の知的遍歴というか、問題意識(「これはいったい何なのか」)に対するアプローチの遍歴が書かれているのだが、そこに鈴木光司による小説『リング』、『らせん』、『ループ』が挙げられていて、えっ、これってそういう小説だったのか、と思ったことが頭に残っていたということもある。

映画『らせん』を観て、原作小説を追っかけてみようか、やめておこうか判断の材料としようと思ったのだけど、これは発散して永遠に収束しない系の物語であるという気配がプンプン漂っていて、追いかけるとしたらそれなりに覚悟がいると思って、及び腰になってしまった。実際、『リング』、『らせん』、『ループ』の後に、『バースデイ』、『エス』、『タイド』とシリーズはまだつづいているようだし。