2020-10-10

●すばる文芸賞の「コンジュジ」(木崎みつ子)、読むのがとてもきつかった。読むだけでこんなに辛いこの話を、最後まで書き切った作家はすごいと思う。受賞者の言葉やインタビューを読むと、タイトルと書き出しを書いてから、まる四年の間、一行も書けなかったと言っているのだが、その(主題を胚胎したままでの)四年の逡巡はこの作品にとって必須だったのではないかと思った。これを書くためにまる四年も逡巡できる人だからこそ、この小説が(このように)書けたのではないか。