2020-12-22

●お知らせ。noteに、以下のテキストをアップしました。

〔書評〕豊かな地を孕む貧しい図/山下澄人『月の客』(初出「新潮」2020年9月号)

https://note.com/furuyatoshihiro/n/n1483983c0b7f

〔絵画〕月や空が大きいのでもなく、草の露が小さいのでもない/井上実の絵画(聖蹟桜ヶ丘のキノコヤで2019年10月から12月まで開催された井上実展のためのテキスト)

https://note.com/furuyatoshihiro/n/nbd64c9a2497a

〔書評〕使命と孤独/『日本蒙昧前史』(磯﨑憲一郎)( 初出「群像」2020年10月号)

https://note.com/furuyatoshihiro/n/ne2cac353a770

20日に、図書館で借りてきた分厚いミステリをずっと読んでいて、面白いけど、でも、この一冊でもうお腹いっぱいと思ったとこの日記に書いたけど、一日置いたら気が変わって、また、図書館に行って、分厚いミステリを借りてきた。どちらも同じ作家の本。

20日に借りてきたのが『オイディプス症候群』で、今日借りてきたのが『吸血鬼と精神分析』。笠井潔の「矢吹駆シリーズ」の五作目と六作目。ジャンルに詳しいわけではない者の雑な印象だが、SFでは主に思弁(思考の内容)のアクロバット(実験)が行われ、ミステリでは主に論理(思考の形式)のアクロバット(実験)が行われているという感じがするのだが、このシリーズでは、トリックが(論理的でない、ということではないが)思弁的に構築されているという感じがするところが興味深い。探偵役の矢吹駆と高名な思想家をモデルとした人物の対話など、衒学的な会話が多いというだけでなく、そういう部分にこのシリーズの思弁的性格があらわれていると思う(矢吹駆の「思想」には頷けないところも多いのだけど)。

このシリーズは前作『哲学者の密室』まですべて読んでいるはずだが、読んだのはずっと前なので内容はほぼ憶えていない。