2021-04-15

●『大豆田とわ子と三人の元夫』、第一話をU-NEXTで観た。別れた三人の元夫が三人とも、別れた後もなお元妻に対して執着をもっているという、普通に考えればかなり気持ち悪い構図を、あたかもライトなコメディであるかのように仕立ててしまうという超絶技巧的にひねられたドラマだった。傑作の予感。最近のテレビドラマのクオリティの高さに驚かされる。30年代、40年代ハリウッドのスクリューボールコメディを思わせる。

元妻が家に帰ると家の中に元夫がいるとか、元妻が最初の元夫の家にいるのではないかと疑って、いてもたってもいられない第二、第三の元夫が第一の元夫の家におしかけるとか、普通に怖いしヤバい。しかも、最初は互いに対立していた元夫たちが、次第に仲良くなって共謀しはじめるという展開など、元妻にとっては恐怖でしかないと思う。本来これは笑いにしちゃいけない(サイコスリラーとかにすべき)題材なのに、それをあたかもハーレムものであるかのようにみせかけるというねじれた綱渡りに果たしてどのような意図(狙い)が仕込まれているのか、という点が今後のみどころではないかと思った。このひねりには、明確な意図があると思われる。

(松田龍平が、誰にも分け隔て無く優しくしてしまうタイプの人で、この人だけは松たか子に執着していないようにみえることによって、気持ち悪さがかなり弱毒化されているということはあると思う。)

(角田晃広は、出来るなら近寄らない方がいいような種類のやっかいな人であるはずなのに、なぜか「おもしろいおじさん」みたいな見え方になっている。)

(娘が、どうやら三人の元夫のことを気に入っているみたいなので、ここに松たか子にとっての大きなセキュリティホールがあるのではないか。)

(主題曲で、松たか子、STUTS、KID FRESINOという座組みを成立させることが出来るというだけでも、テレビの力がまだ死んではいないことの証明だろう。ドラマ本編にもKID FRESINOは一瞬だけ出ていた。)