●講義のためのスライドをつくる過程でまた改めて読んでいるカフカ『審判』の第七章がおもしろい。
ヨーゼフ・Kは、切羽詰まった状態で、半信半疑で画家ティトレリに会いに行くのだが、半信半疑だったはずなのに、ティトレリとの対話によって、いつの間にかすっかり彼への依存に近い感じの状態になってしまう。ここで書かれている、切羽詰まってはいるが、信用できるか分からない半信半疑の状態で自分のところにやってくる相手を、うまく誘導して自分に依存させて支配下に置こうとするティトレリのテクニックの描出がエグいほどリアルだ。こういう嫌な感じを書き込む時のカフカの精度と密度はすごい。
おそらく、実際の詐欺師もこんな感じで人を誘導しているのではないかと思わせる説得力がある。詐欺師に(というか、ふつうの人間関係のなかでも、依存させて人を支配しようとする人に)騙されないためにも『審判』は役に立つのではないか。
●使い出したばかりだが、スマホというのはこんなにも「広告がうざい」ものなのか。安価な設定だからなのか。iPhoneならまた違うのか。画面が小さいので、PCに比べて一定面積における広告の割合が大きすぎるし、なにもしなくてもいらない広告バナーがぽんぽん出てきて操作の邪魔をする。「出てくんなよ」という言葉が意識しないまま口から漏れていて自分で驚く。