2021-12-26

●U-NEXTにシアターシュリンプ(私立恵比寿中学)の第二回公演『ガールズビジネスサテライト』があったので、観てみた。

第一回公演と同じく、シベリア少女鉄道の土屋亮一の作・演出で、作風としても同傾向のもの。そして振り返って、第一回公演の『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』が、さまざまなことがことごとく良い方向に転んだ幸運な作品だったのだなあと改めて思ったのだった。つまり、第二回公演は第一回公演ほどは上手くいっていないように見えて、エビ中のメンバーたちの俳優としての技量の足り無さがそのまま「技量の足り無さ」として出てしまっているように思われた。

終盤のたたみかけるような展開が「たたみかける」ように感じられなくて、だだ大勢が右往左往しながら大きな声で騒いでいて一本調子であるように見えてしまったのは、俳優の技量の足り無さもあるが、それだけでなく、戯曲も第一回公演ほどは上手く出来ていなくて話がとっちらかってやや散漫(そして展開が強引)であるように思えるし、演出もまた、第一回公演ほどにはメンバーたちの演技をさばき切れていない(上手く振り分け、組み立てられていない)し、空間も上手く使い切れていない(第一回公演より舞台が大きくなった)ということもあるのだろうと思った。

(もとになる戯曲にも、「ビジネス」という主題の縛りを上手く展開し切れていなくて展開のさせ方に無理があるところが多々あると思った。雑誌の記者がスクープを狙って店員となってファミレスに潜入する、という要素と、ファミレスで「豪遊」した女子高生二人が、お金をなくしたことに気づき、無銭飲食にならないように店内でお金を儲けようとする、という二つの物語の主線があるのだが、この二つの絡み---かみ合い---が弱いので、それ以外の要素も上手く束ねられなくて散漫に感じられてしまうのだと思う。たとえば「刑事」の存在が話の構造のなかに上手く組み込まれていないように見える、など。「編集者」の恋愛の悩みの持ち方も、唐突かつ強引で、後の展開のためにとってつけたように召喚されたように感じられてしまうのだが、こちらは構造に深く組み込まれているので、演出や演技次第では上手く機能するのかもしれない。)

とはいえこれは消極的、後退的な態度ではなく、かなり攻めて、複雑で難しいことをやろうとして、それがイマイチやりきれていないかなあ(おそらくスケジュールとかもかなりタイトなのだろう)ということなので、そして、終盤にとっちらかった感はあるが前半はかなり良かったとも思うし、なんというのか、おお、さすがエビ中だけあって攻めてるなあという、ポジティブな感触をもちながら観た。

(第一回公演だけでなく、第二回公演でも、決して上手いというわけではない小林歌穂の演技がとても良いように思えるのは何故なのだろうか。ねっとりした独自の質と、ゆったりした独自のリズムがあるように思う。)