2022/05/31

●アマゾンで、伝説のホラー映画『シェラ・デ・コブレの幽霊』を観た。

最初の30分くらいはすごくおもしろかった。「え、これってどういうこと?」「なんで?」と「?」がたくさん発生するような、とてもぶっ飛ばした変則的な感じの展開でわくわくするのだが、しかしその「?」が、本当にきれいに、演出上の工夫で違和感をつくっているのかと思っていたところまで含めて、すべてに説明がついてしまう。

(唯一説明がないのは、幽霊ハンターの男が海岸で女性をナンパする場面だ。そもそも、なぜこの場面が必要なのかが分からないし、他の場面では一貫して渋い表情をしているこの男が、この場面だけ過剰なほどの笑顔---本当に不自然に笑っている---を見せているのもよく分からない。他の部分があまりにきれいに説明がつくので、この場面の異様さがかえって際立ってしまう。)

いや、説明がつくことそれ自体が悪いというのではないが、ええっ、そんなことあるの、というような意外な説明ではなく、すごく普通の、常識的な説明に落ち着いてしまうので、あんなにわくわくしたのに、結局はそんなことだったの、と思ってしまう。途中はとてもおもしろいのに、着地点の図柄がおもしろくない。魅力的な細部がいっぱいあるのに、それにつまらない説明がついてしまって、途中までおもしろかったことを最後には忘れてしまうよ、と思ってしまった。

(だいたい、自分を殺した人物を「警察に突き出す」ように要求する、とか、そんな遵法精神にあふれた常識的な幽霊がいるのか、そんな人は幽霊にならないのではないか、と思ってしまった。)

幽霊ハンターの家の家政婦(幽霊を信じない、合理的な人物)のキャラというか、仕草の一つ一つがとてもよかった。