2024/06/11

⚫︎『秋季限定栗きんとん事件』(米澤穂信)を改めて読んだ。確かに、この時点で綺麗に完結していると言えると思った(5月30日の日記を参照のこと)。だとすれば、「冬季限定…」は、初めから過去への遡行として構想されていたのかもしれない。(まったくの勝手な推測に過ぎないが)「冬季限定…」が書かれるまで時間が空いたのは、この「秋季限定…」で二人の関係を描き切ったという満足感があって、さらに重ねて続きを書くというモチベーションがなかなか湧かなかったのかもしれない。それくらい立派な作品だと思った。

(さらにまったくの勝手な推測を重ねることになるが)それでも15年経って『冬季限定ボンボンショコラ事件』が書かれたのは、その続きの「春季限定ふたたび」を書きたいと思ったからではないか。地方の高校生としては明らかに飛び抜けた異質な存在である小鳩くんや小山内さんだが、都市部の大学に進学するとなると、彼、彼女を取り囲む環境もまた変わってくるはずで(別の地方から来た、別の小鳩くんや別の小山内さんとの出会いや対決があり得る)、それを書いてみたいという気持ちになったのではないか、と、希望的な推測をしてみる。

(追記。このシリーズは基本的に小山内さんの物語なのだなあと思った。小鳩くんは、自分の頭の良さを褒めて欲しくてついつい踏み外してしまうとしても、基本的に善良で良い人だから、小山内さんの悪意と復讐心があって初めて物語として成立する。しかし「ボンボンショコラ事件」は小鳩くんの物語だと言えるのかもしれない。)

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