⚫︎ちょっと体調を崩したこともあって、ベッドに横になってYouTubeで日本の小説(夏目漱石とか谷崎潤一郎とか)の朗読を聴いている。小説を朗読で聴くのはずっと苦手で、まず何より、過剰に抑揚をつけたり感情を込めたり、タメを作ったりする朗読の語り方がわざとらしくて気持ち悪いというのが第一にあるが(どうもぼくは「タメ」を作る語りがかなり嫌いらしい)、それだけでなく、音として聴く小説の言葉は、かなり集中していないと意味として収束せず、ちょっと気を緩めるとすぐ声に還元されてしまって、音が言葉として聴こえなくなって意味を見失い、結局、声と抑揚だけを延々聴いているということに、すぐになってしまう。
だが、これは「マルドロールちゃんのうた」の動画を観ていて気付いたことだが、喋りの速度が早ければ、つまり、それなりに集中しないと意味が取りきれないというくらいの速さで喋りまくられると、逆に、意味への集中が容易に持続し、むしろ、無理をすることなく、意味が難なくするする入ってくるのだった。
なので、YouTubeにある朗読動画の速度を1.5倍くらいにすると、ちょうどよく聴きやすいことに気がついたのだ。
それで、いろいろ聴いていて、珍しく吉田健一の『東京の昔』の最初の部分の朗読があって、これを聴いて、改めて吉田健一の面白さを再認識した。そして、この動画の朗読は速度もちょうどよく、標準速度で聴いても言葉として入ってくる。
・吉田健一『 東京の昔 1 』