2025-07-25

⚫︎『ル・コルビュジエの全住宅』は分厚い本なので、本の中央部分(「ノド」というらしい)が深く切れ込んでいて見えにくいし、スキャンをしても写真を撮っても肩とが歪む。

それはともかく、昨日の日記にも書いた「オカンポ邸」は、図面をよくよく見ているとかなり変な家だ。模型を見ると、それなりに大きな建物に見える。おそらく、外観はがっちりした構えの立派な邸宅なのだろう。しかし、図面を見る限りでは、そのほとんどのスペースが外に向かって開いていて、「家の内側」といえるスペースが少ないし、そしてその「内側」も多くが廊下の延長のようなオープンなスペースで、閉ざされた個室がほとんどない。

一階に、おそらく使用人たちの作業部屋なのか休息部屋なのか就寝部屋なのか(多分、そのうちの一つは洗濯部屋だと思われる)、小さな個室がいくつかある以外は、この大きな建物で個室が四つしか見当たらない。

一階には、使用人の部屋以外は、応接室のようなスペースと、大きなロビーがあるだけだ。階段が二つあり、一つは一階から四階まで貫くものだが、もう一つは二階までしか繋がらず、この階段は、応接室とバルコニーとを直接繋ぐためのみにある(だから、応接室も外とダイレクトに繋がっている)。二階に上がると、三階まで吹き抜けて外にひらけた大きなバルコニーがあって、二階と三階の面積の三分の一以上がほとんど「外(または「空」)」である。そして、それ以外は、食堂のような、テーブルと椅子の並べられたスペースと、外からの光が差し込む(外と内との中間のような)ギャラリーみたいなスペースがあるのみだ(そのギャラリーの奥(というか横)に、一階から三階へとつながる、異様に細いスロープがあるのだが、これは使用人のための裏通路のようなものなのだろう)。

三階には、一階から続く異様に細いスロープ(裏通路)に続く「溜まり」のような場所があり(おそらく、使用人の作業スペースだろう)、それ以外に四つの個室がある。四階はほぼ屋上なので(屋上の、屋根のある部分と屋根のない部分、という感じ)、つまりこの家には三階にしか個室がない。極端なことを言えば、「内」があるのは三階のみで、それ以外はほとんどすべて「外(あるいは半は外)」であるような家なのだ。外から見ると立派なのに(大きな「内側」がありそうに見えるのに)、実は中は外ばかりでスカスカなのだ。

(外観も内観も、あからさまに透明でスケスケでスカスカ、という現代建築はいくらでもあると思うが。)

(三階に四つある個室の一つが「宙に浮いている(下は二階のバルコニー)」というのもコルビュジエっぽい。一方でやたらと「外に開く」くせに、もう一方で強く閉ざされた「宙に浮いた部屋」を一つは作りたいのだ。)

代表作の一つである(作られたのが同じ年でもある)「サヴォア邸」も、内と外とがひっくり返って反転しているような不思議な構造だが、この家はさらに「ほとんどが外であるウチ(家)」と言えるような構造だ。やはりコルビュジエはすごく面白いと思うと同時に、こんな家を作ることを承知したヴィクトリア・オカンポも素晴らしいな、と思う。

⚫︎追記。上の「宙に浮いた個室」(「小さな家」1924年)と、下の「宙に浮いた個室」(「オカンポ邸」1928年)に、共通した何かを感じる。