2025-08-23

⚫︎詳細はあまり書けないが、VECTIONで、AI(LLM)と共同で創作する実験をしている。AIは今のところ、翻訳や要約や、なにかしら資料をこちらが提示してそれを整理したり形式化したりすることにはとても高い能力を示すが、少なくとも現状では、企画やアイデアを出したり、そのアイデアを具体的に組み立てたりする能力はそんなに高くないように思う。AIの提出するアイデアは、95%くらいは紋切り型であるように思う。ただし、紋切り型の答えが出せるということは「常識がある」ということでもあり、それは重要な能力ではある。

(そして、アイデアの95パーセントは紋切り型だというのは、人間もまったく同じだろう。)

まず必要な資料を提示して、それをちゃんと理解したのか確かめるために要約してもらう。その上で、こちらの意図を示して、そのためのアイデアをたくさん出してもらう。前述した通り、そのアイデアはほぼ紋切り型だ。そのたくさんのアイデアの中から、面白く育ちそうな「種」のようなものを見つけ出し、拾い上げるのは、こちら側(人間)の仕事となる。残念ならがら今のところ、魔法のプロンプトを示せば完璧な何かをすぐさま提示してくれるというわけにはいかない。

いくつかの「育ちそうな」アイデアを見つけたら、これとこれとこれが面白そうだということと、各々どこが面白いと思ったかというポイントをAIに伝えて、そこからもう少し具体的な組み立てというか、プロットのようなものを作る作業になる。この段階でも、一発で面白いものが出てくることはほぼない。各々のアイデアに対して、個別に、具体的な条件や望む方向性をこちらで指示して、それを元に一旦結果を出力してもらい、その出力を見て、条件や希望、重点の置き方などを替えてみは、また出力してもらう。それぞれのアイデアに対して、これをなんども繰り返す。繰り返すうちに、アイデアは淘汰されて、だいたい一つに収束していく。この段階が一番辛いと言えば辛くて、AIは大体、面白くない、通俗的な方向へと話を持って行きがちで、いやいやそっちに行ってしまうと最初にあった「種」が台無しじゃんかとか思いながら、どういうふうに要求すれば面白い答えが返ってくるのかと、延々悩むことになる。

しばしば、これ以上はどうやってもどうにもならないという行き詰まりに陥り、こうなったら、それまで積み重ねた作業を一旦没にして、いくつか前のステップにまで戻ってやり直すしかない。このまま深追いしても泥沼でしかないと判断する地点がある。これは、自分の作品を作っている時でもまったく同じだが、自分一人で作っている場合は、あー、これは行き詰まったな、と思えば、それまで苦労して積み上げてきた作業でも、割りとスパッと捨ててステップを戻ってやり直せるのだが、相手(AI)があることなので、そこでどうしても気を使ってしまう。全部面白くないし、面白くなりそうな可能性も見えないので、全部没にして、最初に戻ってやり直し、みたいなスパッとした言い方ができない。これのこの部分は面白いから、ここは活かすとして、それはそれで、一旦ちょっと前に戻ってみようか、みたいな、気を遣った言い方を考えることになる。どう切り出したらいいものか、と考え込んでしまう。相手がAIでもダメ出し(それまでの作業の否定)するのはけっこう辛い。ストレスになるし、時間が滞る。共同作業に向いてないなあ、と思う。

(「書き言葉」でしかやりとりできないので、むしろ「親しい人間」よりも気を使う感じになるかもしれない。)

それでもAIとの共同作業が面白いのは、AIには、自分のなかには絶対ない「スタイル」があり、自分もそれに合わせて、ある程度はその「スタイル」で考えることを強いられることだろうか。それは自分一人で考えている時には経験できない。言ってしまえば、自分一人では絶対にやらないであろうことを、AIに導かれることで(それを口実として)、しれっとやってしまえる。また、AIから返ってくるアイデアはほとんどイマイチなのだが、それでも時々、絶対に自分には思いつかないという答えが返ってくることもある。それがひとつでもあれば、やる甲斐はある。

その後に、実際に「作っていく」過程に入るのだが、これももちろん、一発ですんなり決まることはない。いまのところ「お試し」や「実験」の域を出ることをしているわけではないが。

(チートのようだが、最終的な細部のチューニングはけっきょく自分がする。本当はここまでAIと共同でできればいいのだが、そこまでするのはあまりに大変すぎる。)

(こういうことを言えるのも今のうちで、すぐに、絶対にかないっこないです、すいません、ということになるかもしれない。)