⚫︎『屋根裏の巳已己』(寺西涼)。昨日の日記に書いた『劇場版 ほんとうにあった怖い話 変な間取り』を作った監督の、PFF準グランプリ作品というのがU-NEXTにあったので観てみたら、ガチですごい映画だった。驚いた。それにしても、この映画を作った人に、改めて「普通のホラー映画」を作らせる日本の映画業界、エグいなと思った。もうちょっと若い才能を大切にしないのかな、と。
(「普通のジャンル映画」を作ることによって鍛えられるものというのは確かにあるのだろうし、若い人がとにかく監督としての経験を積めるのはいいことだとは思うので、必ずしも悪いとは言えないかもしれないが。)
何より驚かされたのは空間の感覚だった。主人公の実家のオシャレハウス、女の子の実家のラーメン屋のチープな建物、そして自動車の中。この三つの空間、それぞれの構築と、その対比・関係づけが、少なくともぼくが今まで見たことのないような、斬新な立ち上がり方をしていた(カメラが、ラーメン屋の「立ち入り禁止」のドアを通り抜けて、階段を登っていき、屋根裏にまで達した時には、心の中で「おおーっ」と叫んだ)。適当ではない例えかもしれないけど、青山真治『Helpless』の、山の中のドライブインの内部空間の立ち上がりを初めて観た時と似たような驚きと興奮を感じた。
(この映画と『Helpless』とはまったく似ていないが。)
(トンネルという空間を象徴的に使っているところが「変な間取り」と共通しているが、まあ、それは「普通」だ。)
あと、音・音楽と映像とが絡み合い一体となって同時に生成されている感じ。この感じが出せる監督は、実はあまりいないと思う。
極めて凡庸で陳腐な例えではあるが、デヴィッド・リンチになれる才能ではないかと思った。リンチよりも、構築が知的なのかもしれないが。
自分の中でまだ十分に整理されていないが、とにかくすごいものを観たという驚きを記しておきたい。