2025-09-16

⚫︎『うらぼんえ』(寺西涼)をU-NEXTで。『屋根裏の巳已己』を作った監督の約30分の短編。打って変わって、普通にいい話を、普通にいい感じで作っている。ちょっと、「いい話」方向に傾きすぎているかなあというきらいはあるが。

「屋根裏の…」と違い、きっちり構図を作って、きっちりカットを割って、きっちり繋いでいる。それも「切り返し」を基本としたオーソドックスなモンタージュで、「お話」も、切り返しを軸にした演出と噛み合っている、というか、「切り返しを基本とする」という発想から出てきたような話になっている。

(「屋根裏の…」も、この映画も、生者と死者の関係についてのお話だけど、不穏さが迸っていた「屋根裏の…」に比べ、こちらはまた随分としっとり落ち着いた感じなっている。作家としての「幅」を見せている、というのか。)

あらゆる意味で破格である「屋根裏の…」に対して、これは、映画をあらためて基礎にもどって勉強し直す(認識し直す)みたいな感じもあるのかなと思うが、それでも「お勉強」感はあまりなく、普通にいい感じになっている。オーソドックスと言いつつ、一筋縄ではいかないセンスが光る感じも出ている。

この映画があって、さらに、とても完成度の高い「普通のホラー映画」である「変な間取り」があるのか。あまりに破格なデビュー作を作ってしまったので、いったん引いて、じっくりと次の「攻め」を考えるという感じなのか。

今まで観た三つの作品に共通しているのは(「トンネル」という要素もあるが、それはともかく)建築空間に対する感度の良さというのか、現にそこにある建築物から特徴を掴んで、映画としての魅力的な空間を巧みに引き出してくる能力の高さだと思った。

(「屋根裏の…」に出てくる、主人公の実家であるやたらとオシャレな建築は、おそらく監督自身の実際の実家なのだろうし、この映画に出てくるすごくいい感じの家も、きっと監督の知り合いとかの家なのだろうなあと思って観ていた。)