2025-10-18

⚫︎『ジェイムズ『多元的宇宙』のプラグマティズム 経験の彼方を問う経験論』(猪口純)。これは図書館で借りた本だが、面白そうなので買うことにした。

(だが、新刊はもう手に入らないみたいで、Amazonでは古本が高騰している。あー、厳しいなあ、と思ったが、「日本の古本屋」を検索したら、常識的な古本価格で売っていたので、買えた。)

⚫︎『不老不死にならなくちゃ』(やうやうと)。なんとなく勘で読んでみたが、唯一無二とも思われるテクスチャーを持った作家のようだ、なかなかすごい作品集で、とても面白かった。

シュールな作風と予想して買ったが、意外にも(妙な言い方だが)変格的だけど直球の青春モノだった。閉ざされた地方都市で若者(高校生)としてあることにまつわるさまざまな事柄を描いた作品は昔から数多くあるけど、ぼくが若い頃と今とで、共通すると思われる部分もあり、様相がまったく異なっているのだなあと感じるところもある。

ショッピングモールにあったフードコートは撤退し、卒業した小学校は別の学校と統合されてなくなり、おじいちゃんが倒れて亡くなる。元々しょぼいのに、あらゆるものが次々と失われていく地方の街で、「若者」として生きる高校生女子である主人公は、将来「不老不死になる」ことを決意し、そのための独自の探究・実践を始める。そんなエキセントリックな彼女といつも連んでいる同性の友人は、東京の美大に進学したいという希望を持っているのだが、親からの承諾を得ることができず(経済的にも、気持ち的・想像力的にも、「東京」は無理だ、と)、地元の大学の教育学部の美術コースを選択せざるを得ない。希望が、まったく叶えられないわけではないが、なんというか、シュッと萎んでしまう感じ。そしてこの二人の関係も、高校卒業とともになくなってしまうだろう(表題作)。

学校に来れなくなり、家にも居場所のない「オガワくん」はずっと「川」にいた。それから何年も経ち、失業した主人公オオモリは(かつて好意を持っていた)オガワくんのことを思い出し、地元へ帰ってみると、あの時と同じ川で、あの頃のまま変わらない「オガワくん」が大繁殖していた。川には大勢の「オガワくんたち」が溢れている。オガワくんたちと過ごすと、オオモリさんもまたかつての姿に戻り、夢のような世界の中で「現実」に戻れなくなりそうになる。かつてオガワくんをいじめていた岸辺は、今は地元の中学校教師になっており、増えすぎた「オガワくんたち」を問題視して、彼を中心にオガワくんの駆除が始まろうとする。そして、村の人たちとオガワくんたちの全面的な戦いが始まってしまう。この「オガワくん大繁殖」と、表題作の「不老不死にならなくちゃ」は、かなりの傑作だと思った。

また、女子の仲良し三人組のうちのひとりに彼氏ができたことで関係が微妙に歪んでいく様を、実際に時空の歪みとして描く「君らのための教室」も面白い。