2026/05/01

⚫︎アニメ。『カヤちやんはコワくない』は、前半はとても面白かったが、終盤、というか、「話のたたみ方」としては、わりとよくある伝奇もののパターンになってしまって、呪われた家族の家族間抗争みたいな形になって、つまらなくはないけど、もっと新しい何かを見せてくれるのかと期待したが、それほどではなかったかなあ、と。

⚫︎それ以外で観ているのは『姫様“拷問”の時間です 第2期』くらいか。これはとても好感を持って観ているのだが、しかし、特に面白いということでもない。実際、第1期も、とても好ましい感じで観ていたが、にもかかわらず途中でなんとなく飽きて、フェイドアウトする感じで最後までは観なかった。第2期は第1期よりは飽きない感じ。

「姫様…」のお話は、国王軍と魔王軍が戦争をしていて、国王軍の姫様にして歴戦の勇者でもある主人公が魔王軍の捕虜になってしまう。そして、魔王軍は国王軍の秘密を聞き出すために、姫様(主人公)に日々「拷問」をするのだが、その拷問というのが、相手に、なんというのか「快」を与えることで懐柔するというようなもので、つまり、魔王軍の様々な拷問官たちが、姫様に喜んでもらおうと様々な努力をする。それも、「接待」的な感じではなく、魔王軍の人たちは善人ばかりで、ガチで心から喜んでもらおうとする。姫様はその幸福に「屈して」、毎回秘密を漏らしてしてしまうのだが、その秘密というのも、戦争とは直接関係のないたわいないものばかりだ。

(魔王軍の王である魔王は、見た目がいかつくてとても恐ろしげだが、一人娘を愛する気のいいおっちゃんであり、娘(と幼稚園の友達たち)のハンドベル演奏が見られなかっただけでひどく落ち込んでしまうような人だ。)

要するに「拷問」という語が反語的に機能しているという、ただそれだけの一捻りの話で、毎回、ただただお花畑的に幸福な場面ばかりを見せられる。主人公は、「姫様」とはいえ軍人でもあり、幼い頃から戦争に明け暮れていて、極めてストイックな生活をしていたようで、「快」に対してとても弱い(おそらく「快」の経験があまりに貧しい)。そんな姫様を、どこまでも善人であり、善人しかいない魔王軍の人たちがひたすら甘やかす。いや、一方的に「甘やかす」という言い方も違うか。姫様と拷問官たちは、「拷問」を媒介として交流し親交を深めていき、第2期ではしっかりした信頼関係がすでに出来上がっていて、「なかよし」「たのしー」「だいすき」的なエピソードが続いていくばかりだ。ただ善意しかない善人たちが、「拷問」を媒介として仲良くわちゃわちやと楽しそうにしている、だけ。

『らきすた』や『けいおん』から『ゆるキャン』まで、いわゆる日常系といわれる、恋愛要素もなく(男性が存在せず)、かわいい女の子たちがただわちゃわちゃ仲良くしているだけというアニメはすでにたくさんあるが、それらと異なるのは、姫様は軍人であり、戦争の経験者で、そして敵に捉えられた捕虜であるという点だ。彼女は屈託なくただかわいいキャラではなく、明らかに過酷な(おそらく悲惨なと言えるくらいの)過去があり、トラウマがある。多くの戦友を亡くし、また、多くの敵を殺してもいるだろう。そのようなネガティブな要素を前面には出していないということこそがキモなのだが。そのような幸福とは言えない過去に対して、決して自然状態とは言えない「捕虜」という特殊な状況があり、「拷問(敵国の姫を拷問する)」という言い訳があって、そこで初めて、微温的・温泉的とも言えるゆるーい幸福が実現している。ここは「敵国」であって、姫様は「祖国」では決して幸福ではないのだ。

それでも、ネガティブな要素は作品の表面上にはほぼ現れない。ただ、退屈なくらいの幸福状態があるばかりだ。時々、過酷な過去を匂わすカケラがアイロニカルなジョークのように口にされ、笑い飛ばされる以外は。