2026/05/10

⚫︎昨日に続いて(ちょっと前のことだが)VECIONの会議で話題になった、これはGigazineの記事。ここでイーロン・マスクは、すごく真っ当なこと、というか、ごく「普通のこと」を言っていると思うのだが、なぜ、みんなそんなに批判するのかわからない。

・イーロン・マスクがAIによる解雇に対し給付金を送る「ユニバーサル・ハイインカム」で対応すべきと発言し批判が殺到(Gigazine

gigazine.net

この期に及んで「個人の自由(≒自分の能力)」にそんなに自信があるのか、とびっくりする。AIが台頭しても自分だけは(あるいは、誰であれ上手くやれさえすれば)大丈夫だ、と、本気で思っているのだろうか。多くの人に共有されている(ようにどうしても見えてしまう)、「人間」に対するあまりに過剰な信頼には恐怖すら感じる。今の世界を見渡して、どうしてそんなに「人間」を信頼できるのか。

(《心理学教授のジェフリー・ミラー》の言葉に軽くムッとしてしまう。《ミラー氏は世界中の人々が給付金で暮らすビジョンを「80億人を生産的で価値ある市民から、AI産業の乳房に吸いつく永遠のパラサイトに変える」と表現しています》。人のことを勝手に「生産的で価値ある市民」とか決めつけるんじゃねえよ、オレには生産性も価値もねえんだよ、ただ生きてんだよ ! )

(《インド財務大臣の元首席経済顧問であるサンジーヴ・サニヤル氏は「マスク氏の考えは間違っています。AIは確かに混乱を引き起こすと考えられますが、あらゆる技術と同様に、中期的には新たな雇用と機会も生み出すでしょう(…)》。え、それ本気で言ってる ? 、と思ってしまうよ。)

⚫︎ただ、この記事に書かれている、ユニバーサル・ハイインカム(≒ベーシックインカム)に反対する人たちの意見は、十年くらい前に、日本でベーシックインカムが少し話題になった時に反対していた人たちの意見とほぼ同じで、ちょっと懐かしい感じすらする。ベーシックインカムにかんしては、珍しくアメリカ(あるいはヨーロッパ以外の「世界」)より日本の方が議論が先行しているように思う。そして、今の日本では(十年前よりもさらに不況や貧困が深刻化しているのもあって)、ベーシックインカムに強く反対する人は以前よりは減ったのではないか。その意味では、これは時間の問題かもしれない(しかし、そんなに時間的な余裕はないと思うけど)。

⚫︎なぜ生活保護ではなくベーシックインカムなのか、というと、「誰にどのくらいの金を分配するかを決める」権利こそが「権力」で、その権利を持つ奴こそが「権力者」なので、そのような権力・権力者をなるべく介在させないように(つまり「人による裁量」をなるべく介在させないように)一律支給であることが望ましいと考えるから。

⚫︎とはいえ、日本では今のところ、緊急の課題は「人手不足」の方で、AIによる失業はまだそんなにリアルではない感じだと思われる。あるいは、中東情勢と中国との関係悪化(さらに円安)による「モノ不足」が深刻になってAIのことなど意識に上がらなくなるかもしれない。でも、これはもうすぐにくることだろうと思われる。