⚫︎『機動警察パトレイバー EZY File 1』をU-NEXTで。「パトレイバー」の新作があったなんてまったくノーチェックだった。それにしても、88年に始まった「パトレイバー」、89年に始まった「攻殻機動隊」の新作が、揃って2026年に現れるということは、我々は未だバブルの幻影の中に生きているのだろうかとも思ってしまう。
「パトレイバー」はもともと、80年代後半から見た近未来としての90年代後半の話だったから、それをそのまま踏襲することはできず、2033年という、現在から見た近未来の設定に変わってはいるが、「攻殻」の新作と同様に、オリジナルな新しさを出してくるというよりも復古調の感じになっている(お爺さんになった昔のメンバーも出てくる)。
「パトレイバー」と言えば押井守の劇場版「バトレイバー2」が有名で、実際にすごい傑作だと思うが、「パトレイバー」は、基本として警察内での人間模様と日々の事件という感じの地味で小さい話だという側面も強くあり、必ずしも「パト2」のような、国家、テロ、革命、戦争といった大きな話ではなく(劇場版「パトレイバー」は、「ビューティフルドリーマー」や「攻殻」のように押井色の方がより強く出ている)、その意味でこれは地味なテイストの方の「パトレイバー」だろう。70分程度の劇場公開作品だが、長編ではなく、1話25分程度で3話のオムニバスという形式なのも、これが決して「大きい話」ではないことを表している。
すごい傑作というわけではないし、古臭い感じがするのは否定できないと思うけど、最近はこういうアニメあんまりないんだよなあと、オールドファンをほっこりさせるような落ち着いた作りになっていた。1話目は、「おじいちゃん」が暴走する話で、「この作品」のあり方自体をかるく揶揄するような皮肉な側面もあって味わい深かった。その一方で、新しい登場人物たちをとても的確に紹介するという役割も十分に果たしていて、新シリーズの1話目として完成度が高いと思った。吉祥寺のサンロードが舞台になっていることによって、レイバーのスケール感がわかりやすく表現されているのも良かった。2話目はいわば変化球で(こういう「変化球回」があるのがアニメの楽しいところの一つだ)、1話目とは違う、ゆるい側面としての人物紹介にもなっている。1話と2話は、とてもいい感じで観ていた。
ただ、3話目はあまり良いとは思えなかった。(「この作品」と同様に)昔、ヒットしたシリーズものの映画の新作を改めて作る、という撮影現場に、警備担当として特車二課が駆り出されるという話で、一種のメタ構造になっているのだが(「メタ構造」とまでは言えないかもしれない、「メタ意識」くらいか)、まず、フィクション内フィクションとして、撮影されようとしている映画が全然面白そうじゃないし、「近未来感」がまるでない。それに、あまりに横暴な監督、あまりに無責任でいい加減な助監督、バブル時代の「ギョーカイ人」みたいなプロデューサー、撮影が始まってから脚本に文句をつけはじめる大物俳優、といった人物の設定・配置が、いくらなんでも古臭すぎるし、リアリティがなさすぎるのではないか(2030年代の設定なのに昭和の時代のコントか、と思う)。申し訳程度に、若手の女性脚本家を絡ませたくらいでは、全体の構図の古臭さはどうにもならないように思った。非常に複雑なドタバタ劇の動線を的確に処理する手捌きはさすがだとは思うものの、根底にある感覚がちょっと古いのではないかと感じてしまった。
(まさか、アニメの制作現場はまだこんな感じなのだろうか、とか思ってしまった。)
(脚本が、伊藤和典・出渕裕となっていて、この二人がこんな脚本を書くのか、と、少し暗い気持ちになってしまった。)
(ただ、出渕裕という名前をひさびさに見て、ああ、「ラーゼフォン」をまた観たいな、という気持ちになった。)