朝。寝不足。ぼーっとした頭と重たい身体を無理矢理ひきづって駅までゆく。駅の自販機でブラック・コーヒー。その香りで少しだけ頭が目覚める。ホームに電車が入ってくる。
電車内では、座れたので昨日買った、椎名林檎勝訴ストリップ』を聴く。徐々に頭がはっきりしてくる。乗り換えの駅で流れにのって歩き、列の最後尾にぼんやり立ちどまったところで、電車がゆっくり滑り込んでくる。その時、聞こえていた曲は『弁解ドビュッシー』(しかしこの人、『漢字カタカナ』ぶつけ合わせのタイトルがやたらと多すぎ。『無罪モラトリアム』『性的ヒーリング』『勝訴ストリップ』『弁解ドビュッシー』『病床パブリック』)
ぽかぽかとあたたかい朝。電車の窓からたっぷりと入ってくる光り。熱。
アルバムも、2枚とも好きだけど、この人は3曲入りシングルという形態がとても合っているのではないだろうか。3曲入りシングルはどれも、それぞれの曲がいいというだけでなく、3曲の組み合わせというか、ぶつけ方というか、流れ、が絶妙。おそらく、曲をつくって、録音して、仕上げをして、リリースする、という製作の速度感というか、生理的なリズムというのが、3曲くらいが一番合っているのではないか。(あまりタメをつくらない方がいい人なのかも)特にシングル『本能』の3曲のぶつけ方とか、とても好きです。個人的に。
太陽が照って、風も無くぽかぽかとあたたかい、春らしい青空が拡がる天気が、急に、雲が空を覆い、いつの間にか太陽も青空も隠してしまって、どんよりグレーの景色のなかで、冷たい風が吹きはじめる。それがまた、みるみる雲が切れ、ぽつぽつと空がのぞきだし、陽も照って風も止み、再び春らしい陽気にもどる。こんな変化を何度か繰り返しているうち、夕方にちかづくにつれて段々と、冷たい風の曇った時間の割り合いがおおきくなっていった。午後4時過ぎには、すっかり曇った寒い天気になってしまう。それでも花粉はとんでいるようで、むしろ夕方の寒い時の方が、たくさん飛んでるみたい。
駐車場の隅に建っている、清掃作業員のための小屋の裏の、せいぜい2〜30?の隙間に、痩せた黒猫(正確には濃いグレー)が、つつつつつ、と、はしり抜けた。
細くやせていて、背も高くない木に、その木には不釣り合いな程おおきな白、というよりクリーム色の花弁の花が沢山咲いていた。咲いているといっても、花弁は開ききって今にも落ちそうだし、その縁は茶色く変色しはじめている。同じ木が近くに4本ある。不釣り合いなバランスが面白いのと、茶の混じりかけたクリーム色がきれいなので、しばらくじっと、それを見ていた。ジャクソン・ポロック(『秋のリズム』や『ラベンダー・ミスト』の頃)を思わせる配色。
夜になると、かなり寒くなってきた。夜中、久しぶりにプリンスを聴く。