2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

●通りかかるといつも、植物から発せられる濃厚な甘い匂いがふっと香ってくる場所があって、確かにそこには沢山の木が生えているのだが、そこに生えている木の一本一本の幹に鼻を近づけてみても、その匂いを発しているのがどの木なのかずっと分からなかった。…

●今日も散歩。昨日にひきつづき、足と地面との接触感と、地面の傾斜の変化(によってもたらされる感覚の変化)に注意を払いながら歩いたのだが、昨日と違って、今日はよく晴れて光が強かったので、視覚的な刺激も強く入ってきて、目眩がするほどの過剰な感覚的…

●肩の凝りと目の疲れがあるので、今日は本を読んだり絵を描いたりするのははじめからあきらめて、ひたすら散歩することにした。午前中と午後の二回、たっぷり歩いた。午前十時ころ、ふらっと家を出て歩いていると、いつもと感じが違うのに気づいた。風景を見…

●目の奥の方の固い物質みたいな疲労と、肩甲骨の辺りから首筋へのひどい凝りが抜けず、本を読んだりするのが困難。この日記を書くのもけっこう辛い。本来、頭痛などとしてあらわれるべき何かが、固いものでブロックされてしまってる感じ。頭痛が出れば、少し…

●お知らせ。「ユリイカ」11月号(特集パブロ・ピカソ)に、「ギターと仮面とコンストラクション/1907から1912年のピカソ」という原稿を書いてます。ちょっとわかりづらいのは、この「ユリイカ」に図版として載っているピカソの「詩人」という作品と、ぼくがテ…

●昨日のトークショーでの樫村さんの発言のメモをもうちょっと。認識の底上げと転移の不能と自由意思(能動性)についての例。 例えば、上司が嫌な奴で会社に行きたくないという状況があり、しかし実際問題として、行かなければクビになるので、行かないわけに…

●青山ブックセンター本店で、保坂和志さん、樫村晴香さんとトークショー。といっても、ぼくは事実上壇上の観客と化していて、いくつかの質問を樫村さんにしただけなのだが。この場にいた人すべてが、(ぼくが96年にはじめて「ドゥルーズのどこが間違っている…

●「文藝」に長めの原稿を書いたので、文藝賞の受賞パーティーの案内状をもらっていて、ぼくにとってパーティーというのはこの世で最も苦手な場の一つなのだが、有名作家をナマで見れるかもというミーハー心でちょっとのぞてみることにした。有名作家は、居た…

●岡崎乾二郎展について、もう少し(実は、今日、改めてもう一度観て来た)。昨日の記述に一つ間違いがあって、三枚一組が一点、二枚一組が一点、あと小品と書いたけど、その小品もあきらかに二枚一組として制作されているものだった。だから、三枚一組が一点と…

●南天子画廊の岡崎乾二郎展について、少しだけ。二枚一組の作品が一点、三枚一組の作品が一点、あと、小品が何点か。全体として、色彩の中間的なトーンのバリエーションがすごく豊かになっていて、以前ほど、強い色彩の対比や、質感の違いによる対比が必要な…

●京橋の南天子画廊で岡崎乾二郎展、歌舞伎町のスカラ座で『崖の上のポニョ』(宮崎駿)。『ポニョ』が凄過ぎて、岡崎展の印象が薄れてしまうくらいだった。 突っ込みどころが満載の映画なのだけど、何を突っ込まれても、どんな批判をされても、そんなの痛くも…

●昨日書いた書評を、一晩寝かせてから推敲してメールで送る。編集者から、百字ほどオーバーしているので、ゲラの段階で調整してもらうかもしれないと返信がある。いや、オーバーしているのは分かっているのだけど、どうしてもそれ以上削れなかったのでそのま…

●喫茶店に行って、書評を書く本を読む。この小説は既に何度も読んでいるのだが、また新たに感じるものが多々あって(本にする時点でけっこう書き足している感じだったし)、「書けそう」な感じになってちょっとほっとする。その「書けそう」な感じを頭のなかに…

●吉祥寺の百年で、近藤直子さんと残雪についての対談をした。残雪は、ひたすら自分自身(という自分にとって未知であり制御不能なもの)に魅了されている作家なのではないか、ということくらいしか言えなかった気がする。出来れば、残雪の(カフカ的な側面とい…

●確か、「沖縄料理屋に行ったら、となりの席のカップルが大声を出してテーブルを離れたので何があったのかと思ったらゴキブリがいた」「昆虫が面白いとか言ってるのに、何故ゴキブリが嫌いなのか」「いや、ゴキブリは別だ、動きがはやいのが嫌だし、脂ぎって…

●今日もまた、本を読んで、散歩して、本を読む。散歩の途中で久しぶりに立ち寄った地元の古本屋に、高橋悠治の『ロベルト・シューマン』があって、腰がぬけそうに驚いた。この伝説の本の実物を見たのははじめてだった。値段をみたら、8400円という微妙な値段…

●本を読んで、散歩して、本を読む。ようやく、『突囲表演』(残雪)を最後まで読んだ。途中までは、本当にまったく見通しのきかない《びっしりと生い茂った密林》のなかを、うろうろと行きつ戻りつしながら進んで行く感じだったのが、終盤になって、一気に勢い…

●以下は、『突囲表演』(残雪)からの引用。こんな細部がびっしり詰まっているなかを、かき分けるようにしてすすんでゆく。 《もしかしたらX女史の妹がまきちらした言論のほうが、いっそう問題の説明になるかもしれない。妹がいうには、Q男史はかつて彼女にこ…

●朝早く起きて、珍しくしっかりと朝食をとる。蒸したさつまいも半分と茄子一個、あと生のままのニンジンをちょっと齧る。普段は朝はチョコレートの欠片とコーヒー(甘いものとカフェインがないと頭が目覚めないので)くらいなのだが、最近、百均の店で蒸し器(…

●ひたすら残雪を読んでいて、その合間に、気分転換のようにして(!)樫村晴香を読む。以下に引用する部分は「ドゥルーズのどこが間違っているか?」の理論的な中核部分。このテキストは、ぼくがはじめて読んだ樫村晴香で、もう十年以上も何度も繰り返し読んでい…

●吉祥寺のA-things(http://athings.exblog.jp/)で展示されている西原巧織さんの絵画作品は、個々の作品の質や完成度や出来不出来というよりも、そこでやられている絵画的なアイディアというのか、絵画を構成している語彙の豊かさに圧倒される。いや、語彙の…

●『ポニョ』はきっとすごく気の狂った映画だと予想されるので、是非、観に行きたいと思っているのだが、不安というか、それを躊躇させるものが一つある。宮崎駿を映画館で最後に観たのは『魔女の宅急便』で、それ以降は、ビデオかDVDでしか観ていない。その…

●ちょっと読みたいところがあって、ラカンの『精神分析の四基本概念』を探したのだが、何故かみつからない。ラカンのセミネールは、いつも分かり易いところにまとめて置いてあり、それ以外の本はちゃんとそこにあるのに『四基本概念』だけがみつからない。あ…

●なんとなく、2ちゃんねるの「古谷スレッド」をみていたら、一人だけやたらと鋭いことを書いている人がいて動揺した。このスレッドが既に終了してしまっているのと、2ちゃんねるの書き込みで鋭いと思ったのがはじめてだったので、メモとして以下に引用させて…

●「文藝」2008冬季号の「世紀の発見」(磯崎憲一郎)。一度最後まで読んで、もう一度つづけて最初から読み直した。磯崎さんが、今までの小説でやったきたことはこの小説でやり切ったと言ったのは、技法的なことではなく、むしろ内容的なものだったのかなあと思…

●お知らせ。明日発売の「文藝」2008年冬季号(http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309977164)に、「目とレンズと星のしるし、あるいはカツオの発生/柴崎友香論」を書いています。あと、同じく、明日発売の「新潮」11月号(http://www.shinchosha.co.jp/shinc…

●電車に乗っていたら、隣りに座っていた、まだ小学校へ上がる前くらいの年齢の男の子が、母親にしきりに「この電車いままで脱線したことある?」「この電車ぜったい脱線しない?」「脱線したら全員死ぬ?」と何度も繰り返ししつこく訊ねていた。ちょっとハンス…

●日が短い。遅く起きて、しばらくぼーっとしていて、だらだらと支度して出かけると午後三時をまわっていて、すると外はもうかなり日が傾いていて、光がすっかり夕方で、感覚的にまだ夏が抜け切っていないぼくは、えーっ、もう夕方なのか、と思ってしまう。 ●…

●『長江哀歌』(ジャ・ジャンクー)と『ラストタンゴ・イン・パリ』(ベルトルッチ)をDVDで観た。 『長江哀歌』は、公開時に映画館で観た時と、ほぼ同じ感想だった。ぼくはほとんど無条件にジャ・ジャンクーが好きなのだが、この映画では、ジャ・ジャンクーが「…

世界では、日々あらたな事件が起こり、人はそれに少なからぬ衝撃を受け、傷つく。それは当然のことだ。そして、人々はこぞって、その事件について語り合い、その事件の衝撃を互いに共有していることを確認して安心し、あるいはその(不安の)共有を楽しむ。そ…