2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

●原理的に予測不可能であることは、世界が非決定論的であることを保証しない。「予測できない」ことと、「決定されていない」こととは別のことだから。予測は不可能だけど、決まっているかもしれない。だからカオス理論は世界が非決定論的であることを保証し…

●昨日まで三日かけてしつこく『聲の形』について書いてきたことは、以下のようにまとめられる。 (1)石田は、自分は生きていることが許されない存在だと思い、本気で死ぬつもりだったが、死ぬ前に二つの「落とし前」をつけなければならないと思っていた。一つ…

(昨日からのつづき) (3)映画では石田の家の事情がほやけている。石田は、学校では猿山のボスであり、西宮に対してはいじめる側にあって、優位な存在だが、彼の家は貧しい。石田の母は元ヤンキーであるように見え、彼女は、石田とその姉とを女手一つで育てて…

●『聲の形』の原作(大今良時)の一巻を読み返してみた。改めてすばらしいと思った。昨日も書いたけど、この作品の終盤の展開については批判的なところもあるのだけど、この一巻に関していえば、まったく文句なくすごいと思う。この作品の二巻から七巻までの展…

●地元のシネコンでようやく今日から『聲の形』(山田尚子)がはじまったので観に行った。 『聲の形』は原作を読んでいるのだけど、このマンガのすごさは一巻に集約されていると思っていて、一巻という核があるからこそ、その後の展開に説得力が生まれる。素朴…

●ぼくの体にあるジャイロセンサーはあまり高性能ではなく、空間や方向の把握は視覚に大きく依存するようだ。なので、夜の暗い道では、方向や距離の感覚が狂う。近所の、毎日のように通る道でも、夜、街灯のない暗いところでは、一つ先や前の角を曲がったり、…

●お知らせ。11月25日(金)の東京新聞、夕刊に、ギャラリーコエグジスト-トーキョーでやっている、井上実展についての美術評が掲載されます。 ぼくは、ここに展示されている作品は現代絵画の頂点の一つを示すものだと思っています。12月25日までやっていて展示…

●永山ベルブホールで、『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(黒川幸則)と『ジョギング渡り鳥』(鈴木卓爾)を観た(第26回映画祭 TAMA CINEMA FORUM)。映画二本と、プラス、トークとライブで五時間以上。 『ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』をスクリーンで…

●『涼宮ハルヒの消失』と『長門有希ちゃんの消失』(どちらもアニメ版)をつづけて観る。「消失」で示されるのは世界改変であって並行世界ではないのだけど、しかしここには並行世界的な感覚が強くある。原作者の谷川流は、『涼宮ハルヒの分裂』、『涼宮ハルヒ…

●『響け!ユーフォニアム』、第七話。うーん、一話から五話までのキレキレの感じに対して、六話、七話がイマイチだと感じられてしまうのはなぜなのだろうか。 田中先輩の抱える問題が一部明かされて、これから田中先輩の事情の方に深入りするのかと思いきや、…

●渋谷でVECTIONISMの会合。帰り際に、展覧会でローマに行っていた柄沢祐輔さんから聞いた話。ヴァチカンの美術館にはモダンアートのコーナーもあって、キリスト教にまつわるモダンアートの作品が展示されているのだけど、そこにフランシス・ベーコンの「法王…

●作品をつくる、制作するということは、表現やコミュニケーションに還元されない。モノをつくる動機には、何かを表現したいということだけでなく「モノをつくりたい」というのがあると思う。 要するに、何かと何かを繋ぎ合わせたり、混ぜ合わせたり、切り取…

●両国のART TRACE GALLERYに、「絵画の体験を考える」展(松浦寿夫、境澤邦泰、青山大輔、好地匠)を観に行き、ギャラリートークを聴いた。 http://www.kuniyasusakaizawa.com/kaiganotaiken 普通に良い絵が並んでいる、普通に良い展示だと思った。こう書くと…

●『エクス・マキナ』(アレックス・ガーランド)をDVDで観たけど、なんかすごく普通だった。シンギュラリティとか、AIとか、ビッグデータとか、それらに関する心の哲学だとか、そういうことにある程度関心があって考えている人なら、誰でも思いつきそうな話で…

●お知らせ。勁草書房のウェブサイトで連載している「虚構世界は何故必要か?/SFアニメ「超」考察」の連載第十一回、「量子論的な多宇宙感覚/『涼宮ハルヒの消失』『ゼーガペイン』『シュタインズゲート』(1)」が公開されています。 http://keisobiblio.com/au…

●昨日観た『マイマイ新子』はたいへんにすばらしかったのだけど、ただ一つひっかかるというか、気になってしまうことがあって、それは、この物語が終わった後、おじいさんが亡くなって町へ引っ越して行った後の新子が、幸福でいられるとはどうしても思えない…

●『マイマイ新子と千年の魔法』をDVDで観た。大変すばらしかった。最初のカットで心を掴まれて、後半はずっと泣いていた。きっと、今評判の同じ片渕監督のあの映画もすばらしいのだろう。でも、ぼくはこの映画でけっこう満足してしまって、「はやく観に行か…

●月、でかいなー、と思いながら川べりを歩いていた。 寒いし、早い時間から暗くなってしまう季節だけど、ずっと原稿書いているような日でも、日に一度は外に出て、二時間くらいは歩くようにする。保温のできる水筒に熱い紅茶をいれて、二つの川が交わって一…

●白山の東洋大学に、シンポジウム『「実在論」の可能性をめぐって』を聞きに行った。清水高志「メイヤスーと思弁的実在論」、菅原潤「ポスト・カント主義と相関主義--グラントを介して」。後者は、グラントの『シェリング以降の自然哲学』という本が、シェリ…

●祖母の103回目の誕生日だけど、祖母は今年の一月に亡くなった。あ、今年はおばあちゃんの誕生日はないのか、と思う。 ●インドのGenic.aiという企業が開発したAI「MoglA」が、トランプの当選を予測していたという記事(WEDGE Infinity)。もはや、人間の天才統…

●『響け!ユーフォニアム』、第六話。うーん、今回は、演出にしても作画にしても、いつものキレがなかった感じがする。今回のように、特に大きな出来事が起こるわけではない(しかし予兆を惹起する)インターリュードのような回こそ、演出のキレが試されるのだ…

●マジでトランプなのか。トランプが勝つなんてことが妄想ではなくリアルに起るのか。これはある種の奇跡で、、アメリカで革命が起こったようなものではないか(この選挙はトランプが勝ったのであって、共和党も民主党と共にトランプに負けた)。ベルリンの壁崩…

●ずっと、けいそうビブリオフィルの連載の原稿を書いていたのだけど、次回は、まるまる一回分かけて(作品に触れる前段階の)量子論講義になってしまいそうだ。しかもけっこう数学だ。でも、虚数とか複素数とか共益複素数とか出てくるけど、論理的な展開自体は…

●『クリーピー 偽りの隣人』(黒沢清)をDVDで観た。大変に面白かったのだけど、その一方で、これが黒沢清の映画である必然性がどこにあるのだろうという感じも持ってしまった。でもそれは、ぼくが今でもまだ九十年代の黒沢清にとらわれてしまっているからだと…

●メモ。『隠れていた宇宙』(ブライアン・グリーン)には、現在の物理学が理論的に予想する多宇宙には、それぞれ異なる根拠、異なる組成をもつ五種類のものがあると書かれている。(1)空間の無限性と、そこにある物質の配列パターンの有限性から導かれる多宇宙…

●『量子という謎』(白井仁人、東克明、森田邦久、渡部鉄兵)と『「ファインマン物理学」を読む』(竹内薫)をつきあわせて読むと、なかなかわかりやすい。数式の説明なども、一方でさらっと流しているようなところを、他方でかみ砕いて説明してくれていたりして…

●『響け!ユーフォニアム』第五話。相変わらず濃すぎて息苦しいくらい。短めの前半に、特にこれと言った出来事はないものの、コンクール前の緊張が高まっていく描写があって、後半、一曲分の演奏場面をまったく省略なしで丸ごと提示して、エンディング曲を挟…

●10月に撮った写真、その三。

●10月に撮った写真、その二。

●10月に撮った写真、その一。