2023-01-01から1年間の記事一覧

2023/12/31

⚫︎芸術というものを「わたしの生」という視点から解釈するなら、「自分なんか下らない、とるに足らない存在だ」と思い込ませようとするあらゆる社会的、政治的、世俗的な力に抵抗するために必要なもの、で、また、神のいない世界でニヒリスティックなアイロ…

2023/12/30

⚫︎一筆書きで描かれた顔たち。

2023/12/29

⚫︎主要なSNS、ニュースサイト、動画投稿サイトが、軒並み、普通のコンテンツや記事と広告とを同じフォーマットで表示するデザインに(いつの間にか、そうであることが当然であるかのように)なっているのはとてもヤバいのではないかと思う。申し訳程度に「広告…

2023/12/28

⚫︎ぼくにはどうも、目標に向かって、激しい競争をものともせず、他のことを犠牲にしてでも、ストイックに努力を重ねるということを「美しい」と称賛できないという感じがある。それはけっきょく、「受験」によって植え付けられた価値観なのではないかと思っ…

2023/12/27

⚫︎こんなに暖かい十二月があるのだろうか。十二月の半ばくらいまでまったく暖房を使わなかったし、今でも陽の出ている昼間は暖房の必要がない。 ⚫︎一月にある大学の講義とイベントのために、二つのスライドを並行して作っている。なににしてもそうなのだが、…

2023/12/26

⚫︎90年代に何度かVHSで観て以来、ずっと、もう一度観たいと思って観られないままだったジョン・ヒューストンの遺作『ザ・デッド』が違法アップロードされているのを見つけたので観た。字幕なしだったので、本棚から古い文庫本『ダブリン市民』(安藤一郎・訳)…

2023/12/25

⚫︎今年はあまりたくさん小説を読めなかったが、今年読んだなかで強く印象に残っているのは、鴻池留衣「すみれにはおばけが見えた」と長澤沙也加「十年後」だった。どちらも本にはなっていない。 subaru.shueisha.co.jp note.com

2023/12/24

⚫︎何かの会合のために出かけ、道すがら既に何人かの人たちと落ち合って、会場となる場所に向かっている途中で、ふと、今、自分が着ている服の組み合わせが、自分的にはあり得ないチョイスであることに気づき、今朝、この服を選んだ時の自分の感覚が信じられ…

2023/12/23

⚫︎巣鴨のRYOZAN PARKで「保坂和志の小説的思考塾vol.14」。以下は話を聞きながら考えたことで、保坂さんの発言の要約や紹介ではありません。 ⚫︎「世界五分前仮説」について。「世界五分前仮説」における論争的な側面を、現代的に縮約して通俗化した言葉が「…

2023/12/22

⚫︎昨日の話の続きだが、ぼくは最初の本でレオナルド・ダ・ヴィンチについて下のように書いていた。「空気を抱え込む人体」(『世界へと滲み出す脳』所収)より引用。 (画像は、ヴェロッキオ『キリストの礼拝』。Wikipediaから。向かって左にいる天使の部分をダ…

2023/12/21

⚫︎連続講座のスライドを作っていて、話を、石膏デッサンとレオナルド・ダ・ヴィンチから始める必要があるのではないかと思い始めた。オーソドックスな近代絵画的な三次元表象を、デッサンの技術として完成させたのがダ・ヴィンチではないかとぼくは考えてい…

2023/12/20

⚫︎自分の作品の解説(分析)を自分でする、という野暮なことをしてみる。 ・基本設定 1.いろがみや方眼紙、英語筆記ノートなどの紙を、いろがみと同じサイズの正方形に揃える。 2.その正方形の紙を、全く同じ形に二つに千切る。 3.色やテクスチャの違う二つの…

2023/12/19

⚫︎1912年くらいの段階では、ピカソとモンドリアンは、ほとんど同じようなことをしている(上がモンドリアンで、下がピカソ) (下の絵で、モンドリアンはおそらく、大きな樹とその背後にある建物を描いていて、ピカソは人物を描いている)。 しかし、モンドリア…

2023/12/18

⚫︎来年の一月は、20日に連続イベントの一回目があり、その前の15日に大学で講義がある。イベントはマティスとピカソについてであり、大学の講義はアニメについてで、年末年始はこの二つの準備を同時に進めることになる。イベントは二時間超、大学の講義は100…

2023/12/17

⚫︎『オクス駅お化け』(チョン・ヨンギ)をU-NEXTで。作品としては凡庸で、Jホラー的な傾向の作品に、もはや新鮮な何かは期待できないと改めて確認するという感じだが、そうだとしてもホラー表現には簡単に切って捨てられない、考えるべき要素が常にある。 一…

2023/12/16

⚫︎文房具絵画の新作(の一部)。千切ったいろがみを、A4のクリアフォルダーに挟んで、エプソンのGT―S650でスキャン。ここに掲載する作品はすべて、一つの正方形を千切ってできた、下の二つの形だけで構成されています。

2023/12/15

⚫︎絵で、陰影を使って空間を表現しようとすると、どうしても色が濁る。ピカソの絵で、しばしば色が濁ってしまうのは、ピカソがどうしても陰影から自由になれなかった人だからだろう(ピカソの立体が素晴らしいのは、立体には陰影をつける必要がないからだと思…

2023/12/14

⚫︎セザンヌが、基本として自然を前にして描く画家だとすれば、マティスは、スタジオ(アトリエ)の画家だと思う。下の三枚の絵は、同じアトリエを、ほぼ同じアングルで描いたものだ。一枚目には金魚鉢があり、二枚目には画家とモデルと画家が描いている絵があ…

2023/12/13

⚫︎昨日の日記では、遠近法でもなく、陰影法も使わずに、そして、いわゆるリアルな描き込みをするのとは別のやり方で、絵画の中に三次元的な空間を立ち上げることができるという例として、ぼくが予備校時代に作ったものを示した、しかし、あまりに受験生の絵…

2023/12/12

⚫︎「近代絵画」についてのイベントで、絵を描いたことがない人に、いわゆる数学的な遠近法とは違う(そして、陰影法とも違う)、色と色との関係を使って空間を表現するやり方の、実例というか、ごく初歩的なエクササイズを、直感的にわかるように示したいと思…

2023/12/11

⚫︎ピカソやブラックのパピエ・コレ(コラージュ)で決定的なのは、紙の上に紙が貼られるということではないかと思う。ここで、台紙(基底材)であるもの(紙)と、描画材であるもの(紙)が、(大袈裟に言えば)存在論的に同じ位相にある。 紙に木炭で描くというとき、…

2023/12/10

⚫︎グリーンバーグの「コラージュ」というテキスト(『グリーンバーグ批評選集』所収)をじっくりと読み返していた。ピカソとブラックのによるキュビズムの追求の中で「コラージュ(パピエ・コレ)」が果たした意味の大きさを分析するテキストで、とても面白く、…

2023/12/09

⚫︎お知らせをいくつか。 (1)、2024年の1月から5月にかけて「未だ充分に尽くされていない「近代絵画」の可能性について(おさらいとみらい)」という連続講座を、ぼくの回とゲスト講師の回を含めて四回行います(ぼくが三回、ゲスト講師が一回)。 ゲスト講師は大…

2023/12/08

⚫︎ブランク(空虚)は、余白ではないが、外部でもない。強いて言えば、間隙であり欠落であるというようなものだ。たとえば、晩年のセザンヌの絵画で、絵の具が塗られてなくてキャンバスの地が露呈しているところは、余白でもなく、外部でもなく、ブランクだ。…

2023/12/07

⚫︎『建築する身体』(荒川修作+マドリン・ギンズ)を読み返している。ぼくは、アラカワ+ギンズを、グレアム・ハーマンやマルクス・ガブリエルやエリー・デューリング、あるいはマリリン・ストラザーンなどとの関係の中で考える。「関係の中で考える」という…

2023/12/06

⚫︎『無理心中 日本の夏』(大島渚)をU-NEXTで。久々に観たけどすごかった。冒頭部分は、いかにも古臭くなってしまった前衛映画みたいでややしらけるのだが、女と男がヤクザと合流するあたりから、ひたすら痺れる展開が最後まで続く。大島渚のなかでも一際好き…

2023/12/05

⚫︎「想像のなかの役まわり」(山本ジェスティン伊等)を読んだ。 note.com ⚫︎冒頭に、次のような文が置かれる。《ちょっとした身ぶりひとつで、からだの周囲が川べりや路地やカフェのテーブルに似る。それとおなじようにして、劇場の舞台であるような場所。》…

2023/12/04

⚫︎よく、道具(あるいは技術)そのものはニュートラルで、それを使う人間の側が問題なのだということが言われるが、おそらくそうではなく、道具(技術)こそが人間を使っているのであって、だから、人間を変えるためには道具(技術)を変える必要があるのだと思う…

2023/12/03

⚫︎夢。通りすがる人々が皆、何かしら声をかけてくる。しかしそれは、ぼくにではなく、ぼくの傍にいる小さい男の子に向けられた声だと気づく。その小さな男の子と手を繋いで歩いているのだ。家々の間から、両側が畑の狭い路地を抜けると、取り止めもなくだだ…

2023/12/02

⚫︎なんか観入ってしまった。語る、語る。 根拠は夢。どんな変な夢を見ても、夢だとそれを信じてしまう。宇宙も夢をみる、あらゆる生物、あらゆる物質も夢を見る。存在自体が夢を見ているけれど、実際に実現したものはすべて夢を裏切っている。実現しているも…