2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

●『静かなる一頁』(ソクーロフ)をビデオで。はじめて観たソクーロフ。あれからもう十五年。 ●ソクーロフはリンチにけっこう似てる。特に人物のとらえ方、というか、人物との距離感。カメラに対して、人物を適切な距離に置かない。遠すぎるか、近すぎるか、…

●夢。普通に歩いているのに、何かいつもと感じが違う。周囲を見下ろすようで、ふわふわ、ふらふらしている。急に背が高くなったのだろうか。いや、たんに背が高くなったということではなく、鳥のような、地面から切り離された高い視点から見ているみたいだっ…

●夢。クマザサのような、緑が濃くて硬そうな雑草が絡まるようにしてびっしり生えている斜面。この雑草を独自のやり方で刈るという老人がいる。そもそもこの草は、俗に雑草タバコと呼ばれる珍しい草で、癖があるが特別の味わいのあるタバコになるということだ…

●引用、メモ。『権力と抵抗』(佐藤嘉幸)、第五章「イデオロギー」より。アルチュセールをめぐって。主体は支配的イデオロギー(イデオロギーのディスクール)への転移によって縫合されること。その転移=主体化を可能にするのはイデオロギーの生産−再生産…

●アスファルトに影が落ちていない炎天下の道で、自転車に追い抜かれる。みるみる距離は離され、自転車は遠ざかって行く。それなのに、自転車の速度が、ほとんど止まっているかのようにゆっくりに見える。 ●たまに、車に乗せてもらって、夜の街を車窓越しに見…

●『悪夢探偵2』(塚本晋也)をDVDで。何故「2」なのかと言えば、パッケージを見てなんとなく「2」の方が面白そうだったから。今まで観た塚本作品では、ぼくはこれが一番好きかも。 前半、松田龍平が三浦由衣の夢のなかに入ってゆくところくらいまでは…

●なんかその感じは理解できるとか、その気持ちは痛いほどよく分かるとか、そういうことは理屈抜きにある。理解出来るということは、とりあえずその内実は問わなくても、「理解できる」と感じられる、ということだろう。そのように感じられるということは、非…

●『シャーリー・テンプル・ジャポン』(冨永昌敬)をDVDで。内容も仮のものであり、それをあらわす形式も仮のものである。つまり内容にも形式にもこれでなければならないという必然性はない。いろんな事情が重なって、こうなってしまった、とでもいうよう…

●「理解する」という言葉の意味がよく理解できていない。人は多くのことを理解しているし、理解していなければ生きていけない。でもそれは、理解しているというより、「使える」という感じに近い。自転車に乗ることが出来るように、日本語を使うことも出来る…

●昨日、人から見せてもらった『安井曾太郎表紙画集1・2』という本がすばらしかった(昭和二十九年と三十一年に文藝春秋社から出た本)。安井曾太郎の、本筋の仕事としてのタブローではなく、雑誌や本の表紙のための仕事を集めた画集。画家にとって、どちら…

●横浜で丸山純子さんとトーク。一時間ちょっとで一年分くらい喋った気がする。人前で、何かしらの言葉を口にすることを強いられる場にいる時(とはいっても、本当はもっと堂々と沈黙をつづけてもいいはずなのだが、なかなかそこまで度胸はないのだった)、相…

●『パンドラの匣』(冨永昌敬)をDVDで。これはぼくにはいまひとつだった。いや、まったくつまらないということはないのだが、冨永監督には、この程度のところで満足して欲しくないと思う(すごく丁寧につくられた深夜ドラマみたいに感じられてしまう)。…

●実験スペース、ムーンハウス(ヨコハマアパートメント http://d.hatena.ne.jp/ondesign1/)に、そこで滞在制作中の丸山純子さん(http://www.maruyamajunko.com/)を訪ねた。丸山さんとは、展覧会のオープニングの21日にトークをします(http://www.maruy…

●雷の音は部屋にいる時から派手に響いていた。斜面沿いの道を歩いている時、曇った灰色の空をまっすぐに裂く稲妻を見た。炸裂音はずいぶん遅れて聞こえた。雨は降っていないが、水の気配が空中に濃くひろがっていた。水の匂いさえした。地蔵の祠の脇に生える…

●『テケテケ2』(白石晃士)をDVDで。『テケテケ』は貸し出し中だったので。面白かった。なんと言うか、定型通りによく出来た作品。最初に女の子たちの関係−感情があり、しかしそれがテケテケというより大きな力−原理と結びついてしまった途端、それは当…

●暑くて昼間は部屋にはいられないので、毎日、ファストフード店や喫茶店を夜遅くまで転々とする。帰っても、部屋はまだ昼間の熱がこもっていて眠れない。朝方になると、すこし気温が下がるので、午前五時くらいになって、ようやく眠れる感じになる。昼前くら…

●「岬」論のつづきを書く。中上健次のテキストはひたすら厳密だと感じられる。きわめて複雑で、錯綜しているのだが、そこにあるのは、自分自身の組成に対する、律儀とも息苦しいとも、時に退屈だとさえ感じられるほどの厳密さであるように思う。厳密であり正…

●『呪怨・白い老女』(三宅隆太)をDVDで。これはぼくには面白くなかった。何故、中途半端に(ワイドショーレベルの、紋切り型の)「複雑な家庭」なんかを描こうとするのか(そこの部分のドラマをやろうとするならもっとちゃんとやらなければ、いかにもや…

●雨のなか散歩。川原はむせるほどに濃い緑。土手から、中学の体育館と校舎に挟まれた渡り廊下のような場所が見下ろせる。学生が集まって、何かを作っていた。釘を打つ音。垂木と垂木がぶつかる音。音や湿気がこもる場所。作業をしているのは二人くらいで、数…

●今日はそれほど暑くはなかったので、寝貯めした。いや、意識的にしたのではなく、からだが強制的に寝ることを強いていた。しかし、ある程度年齢がいくと、長時間ぐっすりと眠りつづけることは困難になる。何度も目覚め、時計で時間を確認し、もう起きなくち…

●『帝都大戦』(一瀬隆重)をビデオで。『帝都物語』の続編で、Jホラーと言えばこの人という有名なプロデューサーの唯一の監督作品。ということより、高橋洋のおどろくべき傑作『狂気の海』がこの『帝都大戦』に捧げられているので、観た。 太平洋戦争末期…

●『東のエデン・劇場版』(1)(2)をDVDで。あー、苦しいなあ、という感じ。各方面にいろいろ気を遣っているうちに何がやりたかったのか分からなくなって、最後は強引に主人公のキャラの天然さの魅力によってすべてを回収しようとする(というか、作品…

●久々に『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最後の七日間』(リンチ)をDVDで観た。 リンチの映画を観ていると、人の顔で、目と口は同じ形をしているんだなあと感じる。リンチには、金髪へのこだわり(あるいは金髪と黒髪の対比へのこだわり)は確かにあ…

●とんぼをみかけた。 ●山方伸さんがブログで紹介している、「町を歩いていて発見した」という写真が素晴らし過ぎる(http://d.hatena.ne.jp/blepharisma/20100808)。これは一体どういう写真なのだろうか。掲示板みたいなものに無造作に貼ってある感じなのだ…

●小山登美夫ギャラリーで福居伸宏・展「アステリズム」。清澄白河駅を出て、ギャラリーまでまっすぐつづく清澄庭園の脇の道に、見える限りずっと先までまったく日陰がない。これからそこを歩こうとする者を拒むように、道が日光を反射して真っ白く光っていた…

●書くっていうことは、恐ろしいことだと思った。 7月31日の日記に、十日くらいつづけてずっと、毎日の買い物の計算がほぼ正確に百円ズレるということを書いたのだが、それを書いた次の日から計算を間違うことがなくなった。 毎日、決まって百円分ズレると…

●『ノロイ』(白石晃士)をDVDで。これはちょっと面白かった。話としてはメチャクチャで、作品としての何かしらの一貫性のようなものもみえないのだが、とにかく「やばさを感じさせるテクスチャー」がこれでもかと盛り込まれていて、全体としてやたらと「…

●そこに何が書かれているのか、その書かれていることは真であるのか偽であるのか(あるいは、どのような条件が満たされればそれを真とみなせるのか)、ということだけが問題なのではない。むしろそれよりも、「そう書かれる」ことによって「それ」が何を語って…

●『押切』(佐藤善木)をDVDで。映画としては「ひっでえな」と言うしかないけど、こういう「お話」にはどうしても惹かれてしまう。物語内の理屈としては並行世界ということになっているけど、これは明らかに反転-鏡像的世界の話。私の複数の可能性(可能世界)…

●絵画の平面性というのは抽象的な場所にあるものだと思う。キャンバスは厚みのある物質だし、横から見ればそのような側面は明らかになる。しかし絵画は、完璧に正面から見られなくても、多少、斜めから見られたとしても、見上げられたり見下げられたりしても…