2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧
●吾妻ひでお『うつうつひでお日記』。ぼくには『失踪日記』よりも面白かった。それにしても、大島弓子とかもそうだけど、枯れた(という言い方は失礼だろうか)漫画家が描く身辺雑記風の作品は、なぜこんなに魅力的なのだろうか。特にこの作品は本当にただの「…
●安藤尋『ココロとカラダ』をDVDで。こういう映画はどちらかというと苦手なのだが、人から薦められたので観てみた。繰り返すが、こういう映画はあまり好きではないし、実のところよく分らないところも多いのだが、しかしこの作品には引き込まれた。これは傑…
●『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』『攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG Individual Eleven』をDVDで。(両方合わせて300分以上!)長い時間すこしも飽きずに見せられるという意味では凄いし、確かに良く出来てはいると思うけど、どちらも『Solid Stat…
●『オブラディ・オブラダ』(佐藤弘)。50ページくらいまで読んで止まってしまっていたのを、再び改めて読み直す。今度は最後まで滞ることなく進んだ。 18日の日記にも書いたけど、フレーズが上滑りしてしまうようなところが随所にあって、それが気にはなった…
●若い時は、今ある世界、その権力関係や文脈のようなものが、固定されてずっとつづくように思われるものかも知れない。ぼく自身も、バブルでポストモダンな時代が、少なくとも自分が生きている間くらいはつづくものだと思っていた。皆、そこそこお金はあって…
●『ソウルトレイン』(三浦大輔)をDVDで。演劇をやっている人のつくった映像作品というのは大抵おもしろくなくて、演劇と映画というのは似ているようでまったく違うものなのだと思い知らされることが多いのだけど、この作品は「それ以前」の出来で、何の野心…
●アルノー・デプレシャン『キングス&クイーン』をDVDで。試写で観て、映画館で観てもいるから、観るのは三回目。観るたびに、様々な細かい仕掛けが発見され、一体デプレシャンはこの一本の映画のなかでどれだけのことをやってるんだという驚きを新たにする…
●吉祥寺のA-thingsで、デ・クーニングの晩年の作品が載っている画集をみつけて購入したので、その後、観ようと思っていた映画を観るお金がなくなってしまった。 それは八十年以降の作品が載っている画集で、おそらくアルツハイマー病を既に発病している時期…
●飲みにいって、そのまま誰かの部屋へ流れて飲みつづけ、そこで雑魚寝してだらだら朝を迎えるということは若い頃は当たり前のようにあったのだが、ある程度の年齢になると、ちゃんと終電を気にして、その時間にはきっちりお開きにするという大人の行動が出来…
●きのう観に行った『さよなら』の終演後に行われたトークで、矢内原氏は、「自分はネクラ」なんだとか言って、さかんに「ネクラ」という言葉を繰り返していた。矢内原氏が何歳くらいの人なのか知らないけど、いまや「ネクラ」はほとんど死語だと思われ、久し…
●三軒茶屋のシアター・トラムで、矢内原美邦『さよなら』。ライブとかパフォーマンスとかが嫌いなのに観に行ったのは、『エンジョイ』が面白かったことの勢い。『エンジョイ』を観た時にもらったいろんなチラシのなかで、「矢内原美邦」とか「ニブロール」と…
●ロン・ハワードの『ダヴィンチ・コード』をだらだら観ていた。映画を観ているだけだと、この話が何故『ダヴィンチ・コード』と名付けられているのかよく分らない。「最後の晩餐」で、キリストの左隣りに描かれている人物が女性のように見える、ということが…
●『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』をDVDで観た。あまりに見事な作品で、見事すぎて見事という言葉しか出てこない。それは、草薙素子から発せられたものが草薙素子へと返されてゆく展開が自己完結的だということでは全くなくて、むしろ…
●最近、夜8時か9時頃にはもう眠くなってしまって、朝3時過ぎには目が覚めてしまう。今日は4時過ぎに目が覚め、しばらく、もっと眠ろうとしてみたのだが眠れず、仕方なく起きる。昨日の分の日記を書いて、しばらくネットをみていた。朝食をつくって食べて…
●同じジャンルで、とても近い位置にいながらも、微妙なところで決定的に異なる二つのビックネームを出してきて、その差異について述べることで、何か、普遍的な世界の原理を説明するかのようなレトリックというのがある。例えば、マティスとピカソだとか、ジ…
●『スウィング・ガールズ』(矢口史靖)をDVDで。上野樹里が出ているので観たのだが、驚くくらいにつまらなかった。この監督はひたすら説明ばかりしていて、物語を説明し、ギャグを説明し、そしてそれ以上のことをなにもしていない。説明することがつまらない…
●岡田利規のテキスト(戯曲)は、過去にあった出来事を、俳優が観客(読者)に向かって語りかけてくる、というような形式で書かれる。だから、俳優が誰かを「演じる」としても、それは例えば、友人と別の友人について話している時、つい、その話している対象であ…
●ぼくは演劇をあまり観ない。これは、だから演劇についてちょっとトンチンカンなことを言ったとしても大目に見て下さい、というエクスキューズではなくて、演劇は嫌いだ(面白くない)というような、ある程度積極的な価値判断を伴うような意味のことだ。何とい…
●『エンジョイ』についてもう少し。おそらく『エンジョイ』は、テキストの次元では、複数の視点によって、ある地域なり、ある問題なりを立体化してみせるという方向では書かれてなくて、(実際に「書かれた」時の作業の手順として、どの場面が最初にあったの…
●昼過ぎてから起きて、メールのチェックをして、今日はラウル・ルイスの映画でも観に行こうかと思いつつネットで上映時間を調べていたら、急に、ああ、今、チェルフィッチュをやってるんだ(チェルフィッチュがやってるんだ、と言うべきか)、と思い出し、今日…
●東京ガスによる、ガスまわりの検査が午後からあり、部屋に居てそれに立ち会わなくてはならなくて、出かけるのが遅くなってしまい、帰ってくるのが『のだめカンタービレ』に間に合わなかった。(こういうのって、一人暮らしでフルタイムで働いている人とかっ…
●6日の日記にも書いたのだが、本やDVDなどが入った段ボール箱が作品を制作するためのスペースにまで徐々に浸食してきていて、これはかなりヤバいことで、これをこのまま放置しておくわけにはいかないので、今年中に、アトリエ部分の広さを、少なくともこの…
●ぼくは昨日、『百年恋歌』(ホウ・シャオシェン)について、ちょっと否定的に書き過ぎたかもしれない。とにかく、ホウ・シャオシェンがとてつもなく高度で凄いことをやっていることは間違いがないと思う。しかし、ぼくにとっての『百年恋歌』体験(あえてこう…
●シネスイッチ銀座での上映の最終日にすべりこみで『百年恋歌』(ホウ・シャオシェン)を観る。個々の作品の出来や良し悪しとは別に、最近映画を観て面白いと思うことがすっかり減った。イタリアから帰って来てからも、実は何本か映画は観に行っているのだけど…
●イタリアとは時差が八時間あるのだけど、普段の不規則な生活が幸いして時差ボケとかまったくなく、すんなり向こうの時間に同調できた。昼間歩き通しなので疲れて夜もぐっすり眠れた。見る夢もまったく普段通りで、特に「慣れない土地にいる」とか、「何か大…
●どうやったって部屋が片付かないのは、あきらかに部屋の広さ(狭さ)に対して物が多過ぎるからで、その「物」とは、まず(1)本であり、(2)ビデオやDVDやCDであり、(3)自分の作品である。まあ、(3)が一番目にこないというのが画家としては情けないのだけど。(部…
●言葉はとりあえず同一性を確保してくれる。例えば「愛」とか「政治」とか「セザンヌ」とか言った時に、人がそこにこめた意味(ニュアンス、記憶、密度)は人それぞれ異なるはずだし、それどころか同一人物においてさえ、発語の度に揺れ動いているかもしれない…
●科学的、合理的な啓蒙主義の人が間違っていると思うのは、人は、合理的な事実(現実)を分りやすく啓蒙されれば(結局それを受け入れた方が現実上で自分が得をするのだから)、それを納得するはずだと思っているところだろう。最近つくづく思うのは、人は現実を…
●今回の旅行は、とにかく自分の身体をそこに持っていって反応させる、という感じだったので、写真はあまり撮っていない。デジカメは主に、迷いそうな道に入って行く時に、目印となりそうなものを忘れないように撮っておく、というような面で活躍した。それで…
●イタリアから帰って来て、もう一週間ちかくになるのに、まだイタリアボケが抜けず、日本での現実に着地できていない。道を歩いたり、散歩していたりしても、目の前の風景がそれとして明確には見えてこなくて、どこか焦点がほやけた感じだ。展覧会や映画など…