2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2025-06-30

⚫︎『ランドスケープと夏の定理』(高島雄哉)から、連作の三つ目「楽園の速度」。まず、この小説の面白さは細部のアイデアの充実だろう。物理学的なアイデアだけでなく、未来のビジョンのようなものも、みっしり詰まっていて、ひとつひとつが面白い。 ⚫︎三作目…

2025-06-29

⚫︎『ランドスケープと夏の定理』(高島雄哉)から、連作の二つ目「ベアトリスの傷つかない戦場」を読んだ。 なるほど。一つ目の「ランドスケープと夏の定理」が、太陽と地球のラグランジュポイント(L2)に浮かんだ実験施設を舞台にした、最小限の登場人物たちに…

2025-06-28

⚫︎『ランドスケープと夏の定理』(高島雄哉)から、表題作を読んだ。がっつりハードなSF。小ネタまで含めて、いちいち面白い(すべてが理解できているわけではないが)。非理系のにわかSF好きとしては、次のような部分に「おおっ」となって痺れる。ただ、この部…

2025-06-27

⚫︎これ、素晴らしいな。ヨーロッパの美術とは空間とイメージの捉え方が大きく異なるが、ぼくはこの空間性が良くわかる(と、言い切ってしまおう)、というか、無茶苦茶リアルだ。特に下の仮面。 《クワクワクワクワの鷲の変身マスク、19世紀後半、杉の木、羽、…

2025-06-26

⚫︎建築は物理的に存在し、(たとえささやかな狭小住宅であっても)それを作るには少なくないお金が必要だ。ゆえに建築は常に、物理法則と社会的関係性(権力や資本)に極めて強く拘束される。たとえば、万博のようなイベントは、建築家がいかに権力と資本の犬で…

2025-06-25

⚫︎「ジークアクス」の主題歌、米津玄師「Plazma」のMVを観てみたのだが、とても面白かった。要するにこれは、水面という水平面を90度回転させて垂直面にすることで、(水平面を垂直面に転換することによる)独特の浮遊感を表現しているという、ほぼワンアイデ…

2025-06-24

⚫︎「ジークアクス」、最終話。まさか、ラスボスがアムロではなく古谷徹(の声)だったとは…。 ⚫︎それはともかく、最終話そのものとしては、特に驚くべきことはなかったように思う。お話を支える世界観の根拠として「無限反復する世界」というのは「シュタイン…

2025-06-23

⚫︎ハーマンとウィットモアの『時ならぬオブジェクトたち』一章の続き。ハイデガーに続き、20世紀の「機械原因論」者として、ホワイトヘッドとラトトゥールが挙げられる。以下、引用部分の翻訳はすべてGemini 2.5 pro による。 《(…)ホワイトヘッドは、機会原…

2025-06-22

⚫︎『建築とオブジェクト』をいったん置いておいて、ハーマンとウィットモアという考古学者の共著である『時ならぬオブジェクトたち』という本に目移りしてしまって、読んでいる。まだ、序章と一章までだが。 これは、オブジェクト指向存在論において「時間」…

2025-06-21

⚫︎夏至の日。

2025-06-20

⚫︎必要があって、『海辺へ行く道 夏』『海辺へ行く道 冬』『海辺へ行く道 そしてまた夏』(三好銀)を改めて読み返したが、改めて面白い。一冊目が最も洗練され、抽象度が高く、完成度も高いのだが、その後、徐々に、洗練が崩れ、構成もガチャガチャしてきて、…

2025-06-19

⚫︎自分としてははまだ、窓を全開にしておけば冷房をつけなくても大丈夫だが、PCやルーターが熱をもって暴走するようになってしまった。昨日くらいから、細かところで挙動がおかしかったが、今日になっていきなりPCがスリープモードにならなくなって、放置し…

2025-06-18

⚫︎吉本隆明の『宮沢賢治』、とても面白い。 ⚫︎以下、吉本隆明の子供時代の話。いかにも東京の人だ。川島雄三の『洲崎パラダイス 赤信号』の場面を思い出す。『都市とエロス』(吉本隆明+出口裕弘)より、 《渡しを渡ってすぐ(銀座へ)行けるんです。親父が、今…

2025-06-18

⚫︎「ジークアクス」11話。『逆襲のシャア』の曲を流すのはちょっとやりすぎではないか、と思った(が、あの曲で、あ、「逆シャア」のサイコミュの光のなかの世界なのかも、と思った)。たんに、米津玄師とTMネットワークとの音楽性に落差がありすぎて噛み合わ…

2025-06-17

⚫︎夏至の前に、もう夏だな。

2025-06-16

⚫︎川べりの緑が随分と濃くなっている。もうすぐ夏至だ。 ⚫︎おお、法条遥の『リライト』が映画化されて、公開されているのか。下は、10年以上前に書いた法条遥・論。 note.com note.com note.com

2025-06-15

⚫︎『ここはすべての夜明けまえ』(間宮改衣)を読んだ。とても巧みに構築された作品だと思った。まずは強い情動として作品世界が開かれ、それが途中で「知」による相対化が起こって反転し、最後に、情動にも知にも還元できない、倫理と対話という次元に至って…

2025-06-14

⚫︎オンライン試写で『海辺へ行く道』(横浜聡子)を観せてもらった。(原作が好きすぎるので)つまらなかったらどうしようというおそれと緊張と共に観たが、とても良かったので良かった。ぼくの考える『海辺へ行く道』とはちょっと違っていたが(構造的に、という…

2025-06-13

⚫︎AIの進歩は驚くべきもので、AIを原因とする人類滅亡のリスク、みたいな話も全然絵空事ではない。ちょっと前までは、「東大に入れるのか ? 」「数学オリンピックの問題が解けるのか ? 」ということが問題になっていたが、下のGigazineの記事によると、数学…

2025-06-12

⚫︎「ジークアクス」10話。面白くなってきたし、普通に面白い回だった。ただ、ぼくは、2クール、あるいはさらにプラスして劇場版で完結くらいの、構えの大きい話だと思って観てきたが(『水星の魔女』くらいの感じで)、思っていたよりずっと小さくまとめる話み…

2025-06-11

⚫︎おおお、ダニエル・シュミットの『季節のはざまで』と『デ・ジャ・ヴュ』がU-NEXTで観られるようになっている。 それで『季節のはざまで』を観た。素晴らしいのだが、しかし、なぜ素晴らしいのか。主人公が、今は廃墟になってしまっているが、自分がそこで…

2025-06-10

⚫︎子供の頃に読んだ本の装丁や挿し絵を多くやっていて、無意識のうちに強く影響を受けていた画家が「鈴木義治」という名であったことを今更ながら認識した、ということを今年の4月12日の日記に書いた。そして、鈴木義治の仕事のなかで特に印象に残っている本…

2025-06-09

⚫︎刊行だいたい一年記念(3)、小説集『セザンヌの犬』所収の「「ふたつの入り口」が与えられたとせよ」より抜粋。 inunosenakaza.com あなたはそこに住んでいるが、間取りの半分しか使っていない。普段使っている方を前側の間取りとして把握している。そこ…

2025-06-08

⚫︎刊行だいたい一年記念(2)、小説集『セザンヌの犬』所収の「ライオンと無限ホチキス」より抜粋。 inunosenakaza.com あなたたちがいなくなって何年になるだろう。あの日、ギャラリーのスタッフは鈴がちりんと鳴るのを聞かなかった。あの黒い台は、その滑…

2025-06-07

⚫︎刊行だいたい一年記念、小説集『セザンヌの犬』所収の「右利きと左利きの耳」より抜粋。 inunosenakaza.com 自分が十四歳ではないことに気づいてしまった動揺とともに目覚めて、それをまだ事実として受け入れられないうちに最初に目に入ったのはクレーンに…

2025-06-06

⚫︎田端にあるギャラリー、OGU MAGで個展「bilocation / dislocation」が始まった日から一年。もう一年経った。 inunosenakaza.com ⚫︎小説集『セザンヌの犬』の刊行からも、だいたい一年。 inunosenakaza.com ⚫︎関連企画。 inunosenakaza.com inunosenakaza.s…

2025-06-05

⚫︎2日の日記でぼくは、「ジークアクス」はループ世界ではなくて並行世界だから面白いのではないかと書いたが、9話についてよくよく考えてみると、これはループ世界という可能性もあるかもしれないと思った。 並行世界とループ世界の違いは、「この世界」の存…

2025-06-04

⚫︎「ジークアクス」9話。時間に少し余裕ができたし、続きが気になったので、今回は、放送終了時間を待ってすぐにアマプラで観てしまった。 今回の主役は、自分の秘めた思い(憎しみ・怒り)を、この機に乗じて果たそうと娼館を全焼させる髪色の薄い方のメイド…

2025-06-03

⚫︎5月にまったく外に出なかったわけではもちろんないが(文フリにも行ったし)、一ヶ月ちょっと引きこもり傾向であった間に景色の感じが随分変わっていた。川が濁っているのは雨の後だから。 ⚫︎庭。

2025-06-02

⚫︎「ジークアクス」の感想をネットでみていて思うのは、多くの人に、並行世界(可能世界)とループ世界(永劫回帰)とでは概念が異なるということが理解されていないのかな、ということだ。「並行世界のリアリティ」と「ゲーム的リアリズム」は別ものだ(厳密に考…