2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧
●『ポニョはこうして生まれた--宮崎駿の思考過程』で印象的だったのは、宮崎駿が、自分の映画を観て子供がよろこんでくれるのはうれしいけど、家のなかで、DVDでそればかり観ているとなると問題だ、と言っていたこと(つまり、作品の「オタク的消費」は根本的…
●『ポニョはこうして生まれた--宮崎駿の思考過程』三本目。いよいよ「ポニョ」の本格的な製作がはじまる。ここまでくると、宮崎駿は超人的に働きはじめる。画面で見るかぎり、はとんどすべての原画に手をいれているようにみえるし、あらゆる技術スタッフのと…
●吉祥寺の古本屋「百年」での展覧会、「線と色と支持体」は四月五日までで、残りあと一週間となりました(http://100hyakunen.com/?mode=f3)。御高覧お願いいたします。なお、「百年」は火曜日はお休みです。 「線と色と支持体」について(http://d.hatena.ne…
●ある映画作家についての文章を書くことになっていて、その過去の作品のDVDを探しに久しぶりに新宿のツタヤに行き、目的のものは無事レンタル出来たので一つ上の階の日本映画とアニメのコーナーをぶらぶらしていたら、『ポニョはこうして生まれた--宮崎駿の…
●プロ野球の中継をテレビで見ていた。未知の若い選手が打席に入った。アナウンサーが告げる選手の名前を聞き、以前テレビでよくみた、その選手と同姓の有名人のことをふいに思い出した。その有名人のことを意識したのはすごく久しぶりだった。芸能人ではなく…
●物語というのは、ちょっと気を許すとすぐに恋愛の方へひっぱられてしまうと誰かが書いていたのを読んだ気がするのだが、それともう一つ、物語はちょっと気を許すとすぐに「対戦(対決)」の方へひっぱられてしまうと思う。恋愛も対戦もなしで物語を成立させる…
●午後六時四十五分頃。ギャラリーから都営新宿線の馬喰横山駅へ向かう途中。同じく駅へと向かう大勢の帰宅するサラリーマンたちの流れに入って歩いていると、細い路地の奥から、ガタイのがっちりしたちょっとこわもて風の、坊主頭で、派手な柄物を合わせて着…
●演劇を観る観客がひとつの場を共有しているというのは本当なのだろうか。むしろ演劇(パフォーミングアーツ)こそが、(場ではなく場所を共有しているからこそ)あらゆる人がまったく別のものを見ているという事実を最も露わにしてしまうのではないだろうか。つ…
●『エヴァ破』を映画館で見ると、とにかくその画面の充実だけでお腹いっぱいになる。「作品」としてどうかと問うことがバカバカしく思えるほどの、視覚的な密度と圧力。観てないけど、『アバター』とかもきっとそうなのだろう。そこまでではなくても、地デジ…
●夜、「百年」に行って、展示に、ドローイング19点と、おまけとして、制作のための資料の一つである写真12点を追加してきました。4点のタブローとあわせて、展覧会っぽい感じになりました。画廊ではなく営業中の古本屋さんなので、画廊のようには展示出来ず…
●上野の、芸大のすぐ裏にある市田邸で、鳥公園『おばあちゃん家のニワオハカ』(作・演出、西尾佳織)。面白かった。基本的に、女性の作・演出家によってつくられ、女性の俳優たちによって演じられる女性たちの話なのだが、その中心にいる「おばあちゃん」の役…
●部屋にいてウグイスの鳴く声を聞いた。駅前のスーパーへ買い物に出たら、庭でバーベキューをやっている家があった。 ●実家の隣がずっと空き地で、いまも空き地のままだ、という夢をみた。実際に実家の隣が空き地だったことはない(畑だったことはある)。そも…
●吉祥寺「百年」での展覧会(http://100hyakunen.com/?mode=f3)は、「線と色と支持体」というタイトルで、4月5日(月)まで開催されます。展示作品は以下の四点です。是非、御高覧お願いします。なお、近いうちにドローイングの作品も追加される予定です。 1.「…
●渋谷のショウゲート試写室で『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(大森立嗣)。公開前の映画のことをどの程度書いてよいのかよく分からないけど、途中まではすごく面白かった。ただ、ラストに向かってゆく展開が、ぼくには納得出来ない。網走で兄に会うシーン…
●不安は的中し、「作品が落下した」という連絡を受けた。13日に「百年」でやった福永さんとのトークの時に展示していた作品を、そのまま今月いっぱい展示しておいてもらえることになったのだが、トークの間だけの展示だと思っていたのでしっかり設置していな…
●ここ数日、カビの生えた濃厚なブルーチーズを食べたいとずっと思っていて、なぜ唐突にそんなことを思うのか不思議だったのだが、きっとチェルフィッチュを観たからだと思いついて、納得した。まだ食べられてないけど。 ●『ポルト・リガトの館』(横尾忠則)を…
●確定申告最終日、早起きする予定だったのが寝坊して、税務署についた頃はちょうど昼休みの時間で、びっくりするほどの行列が税務署の周りと、そこから離れた線路際までずっとつづいていた。書類はずっと前に出来ていたので、早めに提出すればよかったのに、…
●よほど疲れていたらしく、昼過ぎに起きて昨日の分の日記を書いた後、また夕方まで寝てしまった。 ●昨日のトークの後の打ち上げの時に(福永さんが帰った後)、長嶋有さんがABCDのシリーズについて、「あれは福永さんの私小説でもあると思う」と言っていたのが…
●吉祥寺の百年で、福永信さんとトークイベント。人前で話しをするのはすごく疲れる。イベントの後、打ち上げみたいな感じで軽く飲んで、終電一本前くらいの電車で帰り、二時半くらいに寝て、目が覚めたら十四日の昼過ぎになっていた。ぼくは、睡眠時間を多く…
●ちょうど一週間前、かなり髪を切って短髪にして、今日、その切ってもらった理容師のお兄ちゃんと駅前でばったり会って挨拶したのだが、その時に帽子をかぶっていたので、ちょっと気まずかった。 別にあなたの仕事が気に入らなくて隠しているわけじゃなくて…
●13日のトークに向けて、『あっぷあっぷ』「ここ」「午後」を、ノートをとりながらがっつりと読む。『あっぷあっぷ』と「ここ」については、以前に福永信論を書いた時にかなり詳細にとったノートがあったはずなのだが見つからない(本やノートは適当に段ボー…
●横浜美術館で、チェルフィッチュ『わたしたちは無傷な別人であるのか?』。すごいものを観た。作品として、簡単に「すばらしい」とは言えない疑問や懐疑もあるのだが、そのような抵抗感、違和感も含め、すごいものをみせられた感じ。 ●まず最初に松村翔子が…
●午前中部屋にいて、音から雨なのだと思っていたが、外へ出たら雪だった。地面が既にかなり濡れているので、そんなには積もることはないだろうが、雪は塊になってはげしく降っていた。行き先を駅前の喫茶店から、一駅隣の駅前の喫茶店へと変更して、川沿いの…
●ちょっとした覚え書き。 今、祖母は入院してしまって実家にいないのだが、正月に実家に帰った時は元気で家にいた。祖母の部屋はリビングから引き戸一枚隔てたところにある。祖母の部屋にあるテレビは長く使っている古いもので、アナログ放送を受信する。リ…
●(ちょっと昨日のつづき)作品そのものが内包しているものの大きさ、その作品がみている夢の大きさや遙かさと、作品が「描いているもの」の大きさとは、まったく別のものだ。そこに、作品というものの本来的な抽象性がある。卓上の林檎を描いた絵より、広大な…
●自分の背中や後頭部ごしに風景を見ながら歩く、という感じで散歩することは可能だろうか。 ●読んでいないけど、ジョルジュ・ペレックの『煙滅』という小説があって、それは「e」という文字を一度も使わずに書かれていて、その翻訳は「い段(いきしちに…)」を…
●お知らせ。明日発売の「新潮」4月号に、『この世は二人組ではできあがらない』(山崎ナオコーラ)の書評「不撓不屈の問いかけ」を書いています。これはとてもすばらしい小説なので、かなり「肩に力が入った」感じの書評になっていると思います。今日、成城で…
●13日のイベント(http://100hyakunen.com/?mode=f3#100313)のためにということもあって、『あっぷあっぷ』(福永信・文、村瀬恭子・絵)を読み直す。これ、ちょうおもしろい。ひさしぶりに「夢中になって本を読む」という経験をした。この作品それ自体としてす…
●スーパーにいる。野菜の特売をしている。しかしどうも様子が変だ。目の前にある緑色のものが、「一般的な葉物野菜」としてしか捉えられない。気持ちがざわざわする。目が覚めた。夢だった。 ●もう一つ、夢。今、自分は眠っている、夢を見ている、と感じてい…
●昨日の日記に書いたことには、いくつかの意味がある。 (1)まず、作品を理解するのに、特定の知識・教養や、共有された経験、感覚、土壌などは、必ずしも必要ではないということ(あった方が望ましいとは言えるかもしれないが、しかしそれらが邪魔をする場合…