2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

08/01/31

●『夜の天使』(ジャン=ピエール・リモザン)をビデオで。観たことあるはずなのに全然憶えてなくって、あれ、こんな映画だったっけと思い、ジュリー・デルピーはいつになったら出て来るんだとか思って観ていたのだけど、どうも『天使の接吻』と勘違いしていた…

08/01/30

●チェルフィッチュの『フリータイム』の稽古を、すこしだけ見学させて頂くことが出来た(コネで)。部外者がいきなり入り込んだのだから当然だけど、最初は、そこで「何が問題にされているのか」がよく分からなくて、しばらくはポカンと眺めていた。岡田氏が俳…

08/01/29

●『白暗淵』(古井由吉)を、ようやく最後まで読む。「潮の変わり目」で、死そのものにぎりぎりまで近づいたその世界は、「糸遊」では、すれ違うようにして死が身体のなかをすっと通り抜け、最後の「鳥の声」では、「潮の変わり目」のラストで予感された「春」…

08/01/28

●もし、自然のなかには線などないのに、絵画のなかには線があることに驚くのなら、ただそこにある絵の具(チューブのなかの絵の具、パレットの上の絵の具)と、絵の上に置かれた絵の具とがまったくことなる質を持っていることにもまた、驚かなくてはならない。…

08/01/27

●随分と久しぶりに都心にまで出た。日曜に出掛けると、街中に人が多いのはまだしも、店のなかまでも人でひしめきあっていることにうんざりしてしまう。●『彼女たちの舞台』(ジャック・リヴェット)をDVDで。(日記には書かなかったけど)昨年末に『嵐が丘』をビ…

08/01/26

●昨日、『白暗淵』(古井由吉)の「潮の変わり目」を読んでいて、フーコーがビンスワンガーの「夢と実存」の「序論」として書いた文章の、想像と夢の関係に関する、次に引用する部分を思い出した。おそらくここでフーコーは、あからさまに恋愛について語ってい…

08/01/25

●古井由吉の『白暗淵』は、その気になった時にちょこっとずつ読んでいて、日記を調べたら読み始めたのが去年の12月21日だから、もう一ヶ月以上もかけて、ちびちび読み進めていて、最近ではもう先に進む気があまりない感じでゆっくり読んでいるのだけど、今日…

08/01/24

●『ユメ十夜』をDVDで。(必要があって、清水崇のパートを観るため。)ぜんぜん面白くない映画だった。でも、こういう企画もののオムニバスは、かえって(作品としての出来不出来とはまた別に)、それぞれの映画作家が、普段どんなことを考えているかとか、その…

08/01/23

●遅く起きたら既に雪景色だった。でも、もう雨まじりの湿った雪になっていて、積もった雪はべちゃべちゃで、雪だるまとかはつくれそうにない感じだった。それでも、同じアパートに住む子供たちは、裏の駐車場で、わあわあとはしゃぎながら雪合戦をしていた。…

08/01/22

●編集者の方が近くまで来てくれて、近所の喫茶店でお会いする。喫茶店で対面して話していると、視点が、相手の顔か、手元の自分のコーヒーカップ(あるいは相手のジュースのコップ)くらいしか移動できなくて、焦点の距離がどうしても固定してしまうためか、だ…

08/01/21

●映画では、ショットはいきなり途切れるし、いきなりはじまる。それに、原理的には、あるショットの後に、どんなショットでも繋げられる。そこに何かしらの「根拠」はなくてもいい。この感じは、ゴダールの映画を観ていると特に強く思う。DVDで観ていると、…

08/01/20

●内的な秩序の、外的環境に対する自律性。外的な環境の変化に対して、内的なものがある一定の関係性を維持していること。例えば生命。私の体温は、寒い外から、暖かく暖房の効いた室内に入っても、ほぼ一定の値を維持する。あるいは、三ヶ月前の私と、今日の…

08/01/19

●『日向で眠れ』(アドルフォ・ビオイ=カサーレス)。残念ながら、『モレルの発明』や『脱獄計画』ほどには面白くなかった。冒頭から、語り手の「信用出来ない気配」がありありで、やっぱカサーレスすげえ、って感じで読み始めたのだけど、物語全体の仕組みと…

08/01/18

●散歩をしていて、いきなり、何もない芝生のひろがりに出くわして、どこかの大学のグランドかなにかだろうかと思ったのだが、その隅に数頭の羊とヤギがいるのをみつけた。動物を放牧する場所のようだった。住んでいるアパートから、まっすぐ歩けばせいぜい二…

08/01/17

●『もうひとりいる』(柴田一成)をDVDで。ツタヤのレンタルが一本200円だった日にまとめて借りてきたなかの一本で、何の予備知識もなくなんとなく観たのだけと、ちょっと面白かった。映画としてみれば、不満はいっぱいあって(特に、この監督は俳優の演技をみ…

08/01/16

●夢のなかでふいに爺さんに手を掴まれる。爺さんは座り込んでいる。わたしはもう間もなく死ぬから、それまでここにいてみとってほしい、と、爺さんは言う。まわりに人は大勢いるのに、何故自分なんだ、と思う。爺さんはぼくの左手を握って離す気配がない。仕…

08/01/15

●引用、メモ。ランシエールとジジェク。政治の詩的機能と「現実的なもの」。快感を与えるシニフィアンの力。樫村愛子「ポストモダン的「民意」への欲望と消費」(「現代思想」2008年2月号)より。(図書館に「文藝」をコピーしに行った時にみつけて、一緒にコピ…

08/01/14

●今出ている「文藝」春号に、『肝心の子供』の作者の磯崎憲一郎と保坂和志の短い対談が載っていて、立ち読みしたら面白かったので、図書館でコピーしてきた(ごめんなさい、貧乏なので)。『肝心の子供』を読んだ時、まず思ったのは、この、現実からズレた世界…

08/01/13

●引用、メモ。『バナナブレッドのプディング』(大島弓子)の衣良と、それ以前の作品の少女たち、男色家たちとの違いについて。愛から「真実への要求」を抜き取ること(擬装)について。《人が知るかぎりで最後の種類の愛情》としての「作品」という形式について…

08/01/12

●必要があって、『少女革命ウテナ』(97年)と『フリクリ』(99年)とをちょこちょこと観直しているのだけど、改めてこの二つの作品が驚くべき傑作であることを思い知らされる。ぼくはアニメに関して、そのほんの表面を撫でているだけでちゃんとした観客とは言え…

08/01/11

●『ムーたち』が面白かったので、『ゴールデンラッキー』と『えの素』をちょっとずつ読んでいる。(この人のマンガは、一気にダーッとは読めない。)榎本俊二という名前は前から知っていたし、『えの素』はちょこちょこ読んだりしたのだけど、これまではあまり…

08/01/10

●すこし前をお爺さんがゆっくり歩いている。腰が曲がって前屈みの姿勢で、両手は後ろにまわし、曲がった腰のあたりに置かれている。その手に、コンビニかスーパーの白いビニール袋をぶら下げている。ビニール袋は、お爺さんの尻あたりで振り子のように揺れて…

08/01/09

●昨日読んだ『脱獄計画』(アドルフォ・ビオイ=カサレス)と同じ、サルヴァシオン群島の刑務所が舞台となっているので、スティーブ・マックィーンの出ている『パピヨン』のDVDを借りてきて観たのだけど、この映画では「孤島」という空間がほとんど生かされてい…

08/01/08

●『脱獄計画』(アドルフォ・ビオイ=カサレス)。これは凄い。冒頭からいきなり、やたらと不穏であり、あらゆることが信用ならない。語り手も、登場人物も、時間の進行も、どれも「確からしさ」を与えてくれない。主人公の書いた手紙を、その宛先である叔父が…

08/01/07

●お知らせ。今日発売の「新潮」二月号に、ぼくの書いた青木淳悟論「書かれたことと書かせたもの」が載っています(分量はページにして21ページ)。あと、ぼくの書いた青木論が載っているのは「新潮」なのですが、「群像」の二月号には青木淳悟による「S潮社に…

08/01/07

●お知らせ。今日発売の「新潮」二月号に、ぼくの書いた青木淳悟論「書かれたことと書かせたもの」が載っています(分量はページにして21ページ)。あと、ぼくの書いた青木論が載っているのは「新潮」なのですが、「群像」の二月号には青木淳悟による「S潮社に…

08/01/06

●『ムーたち』(1)(2)(榎本俊二)。これは面白かった。この、とても複雑な組成をもつマンガについて、一読しただけで簡単には語る事はできないのだけど、この作品は、世界からノイズや破調を徹底して排除し、世界を記述によって外側から規定したいという強い欲…

08/01/01

●昨日の日記を書き終わってから、iPodの中身を久々に大幅に入れ替えて、その勢いで、朝方までいろいろとCDを引っ張り出して聴いていたら、頭が興奮して全然眠れなくなったので、そのままずっと起きている。ぼくは、音楽に詳しくないというだけでなく、自分の…