2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
●ラマールの「アニメ・マシーン」では、アニメーション・スタンドという装置へ着目することで、アニメを規定している物質的、あるいは装置的な様々な条件(インク、セルロイドシート、カメラレンズ、照明、フィルムなど)と、それら、それぞれ閉じて自律したも…
●「Air/まごころを、君に」を改めて観てみたのだが、アスカに対する仕打ちがあまりに容赦がないので、観ていていたたまれなくなった。いや、もともとこれは「みんな死んでしまえ」というような世界への憎悪の気分に支配された作品ではあるけど、それにしても…
●「アニメ・マシーン」の、第三部との関連で、ずいぶんと久しぶりにジジェクの本をパラパラ読みなおしていた。精神分析の理論は、やはりすごく「強い」ものなのだなあと思った。 ●「アニメ・マシーン」では、日本におけるオタク文化への言説がしばしば文化的…
●お知らせ。「週間読書人」8月29日号に、『視覚文化「超」講義』(石岡良治)の書評が掲載されます。 どうでもいいことですが、この本を読んでいる時、まったく別の要件でこの本を編集した今野さんと(今野さんが編集者だということさえ知らず)お会いして、いた…
●例えば、りんごを描いたある絵をすごいと思うとしたら、それがどれだけ「実物のりんご」似ているかというところに驚くのではなく、その絵を観ることで、実物のりんごを見ている時には気づかなかったような、「ああ、そうか、りんごってこういうことなのか」…
●昨日の日記で引用したラマールの、テクノロジーによって世界のすべてが囲い込まれて、いわば世界が「標的」化されているという現状認識とほぼ同じような認識をもちつつも、ミシェル・セールはそこからややニュアンスの異なる帰結を導き出しているのが興味深…
●『アニメ・マシーン』(トーマス・ラマール)の第二部を読んだ。主に、庵野秀明とガイナックスに関する考察。 この本は、思っていた以上にぼくの関心と重なるところが多い。この本は、アニメについての本であるのと同じくらいか、あるいはそれ以上に、現代の…
●ノードとネットワーク、あるいは、ノードとエッジという考え方を、キャラクターとフレームという風に言い換えることは出来るだろうか。キャラクターがノードで、多重化したフレームがネットワーク。一つのノードが、多数のネットワークと繋がっているという…
●「神村・福留・小林」がYouTubeで観られるようになっている!! YouTube、すばらしい。これはすごい作品だと思う。 https://www.youtube.com/watch?v=60wLdaAGpmY ここでは、「アニメ・マシーン」でラマールが書いているように、カメラが、世界をとらえる特…
●柴崎友香さんの芥川賞受賞式に行った。人が多すぎて(比喩ではなく文字通り)クラクラする。会場で、「建築と日常」の長島明夫さん、保坂和志さん、柴崎さんの友人の加地さんとお会いした。二次会では、磯崎憲一郎さん、青山七恵さんともお会いした。二次会に…
●お知らせ。明日8月22日付け「東京新聞」夕刊に、埼玉県立近代美術館でやっている「戦後日本住宅伝説」展についてのレビューが掲載される予定です。 ●『アニメ・マシーン』(トーマス・ラマール)、第一部「多平面的イメージ」を読んだ。これは面白い。第一部…
●『アニメ・マシーン』(トーマス・マラール)を読み始めた。序論を読んだ。面白そう。以下、引用。 ≪(…)あるイメージが他のイメージと衝突するとき、相手の反作用は、即座に起こる因果的な反応であろう。しかし、ベルクソンの考えるイメージの世界では、何か…
●『男一代之改革』を読んでいて、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」を思い出した。つまり、青木淳悟の小説は、「あなたの…」に出てくる宇宙人ヘプタポットのような思考によって形作られたものが、無理やりに人類の言語に翻訳されたらこのような形にな…
●深夜アニメ。「月刊少女野崎くん」の第七話、すばらしかった。今期はやはりこれが一番だろうか。本編も面白いのだけど、オープニング映像がとても良い事に、今更気づいた。
●例えば将棋。人間が誰も、将棋でコンピュータに勝てなくなると将棋は廃れてしまうのだろうか。でも、人間より早く走る機械はいくらでもあるのに、陸上競技が廃れる気配はない。ここには、前者は頭脳に関わり、後者は身体に関わるという違いがあるとは言える…
●『ウルトラヘヴン』(小池圭一)というマンガがすごいと教えてもらったので読んでみたらすごかった。マンガに限らず、あらゆる「ドラッグ(または瞑想)によるトリップ」を表現した表現物のなかで最もヤバい、と聞いたのだけど、本当にヤバかった。2001年からは…
●例えば、研究というのは、研究者たちのコミュニティによる承認を必要とする。コミュニティにはそこに刻まれた歴史が存在し、その歴史を通じてコミュニティに与えられた外部(社会)からの承認がり、それによって権威をもつ。コミュニティは権威=制度としてあ…
●サイコロの目が次に何をだすのかは原理的に予測できない。これがこの世界の基本ルールだろう。サイコロには謎はない。サイコロは1から6までの六種類以外の目を出すことはあり得ない。そして、それぞれの目が出る確率は等しく六分の一ずつである。分からない…
●埼玉県立近代美術館の「戦後日本住宅伝説」がおもしろかった。住宅建築っておもしろいなあ、と思った。北浦和は遠いけど、行ってよかった。 http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=292 この展覧会でいいのは、実際の空間がすごくイメージしやすい展示…
●『2045年問題』を書いた松田卓也のインタビューがウェブにあった。映画『トランセンデンス』に絡めたものだけど、映画とはあまり関係がなく、本の内容の要約に近い感じ。 http://wired.jp/special/transcendence/ ●例えば、ゴッド・ライク・マシンについて…
●人間を超えるコンピュータ(というか、AGIのことです・追記)が出来たとすると、人間はコンピュータによって未来を先取りされることになる。コンピュータによって先取り的に「未来」が与えられてしまう。考えるより早く答えが与えられてしまうし、行動するよ…
●夕方、午後七時前くらいに買い物のために外に出たのだけど、台風のせいなのか道に人がまったく歩いていない(車は通る)。まっすぐつづくずっと先まで誰もいない。この時刻に人気がないのはかなり妙な感じ。雨は降っていないし、荒れた感じで風が吹いていて、…
●『星の長い一日』(いまおかしんじ)をDVDで。「昔の(初期の)前衛的ピンク映画」の脚本を、現在のいまおかしんじが撮った、みたいな妙なギャップ感が面白い。実際、九十年代に書かれてボツになっていた脚本を撮ったということらしいけど、でも、九十年代でも…
●「新潮」9月号に西川アサキさんが、〈「汎用人工知能の実現後について妄想する知性」をシミュレートする汎用人工知能〉について書いている。つまり、「人間を超える知性をもつ人工知能が出来てしまったら世界は一体どうなるのかを考えるわたしたち」という…
●昔の写真には昔の風景が映っているという当然のことに、たじろぐことがある。学生の頃につくっていたフォトモンタージュの作品を整理していると、「その頃」がリアルに映っていてびっくりする。この感じはノスタルジアとはちょっと違っていて、今では遠くあ…
●やけに鮮やかに白いものが五つ、川原の上空を飛んでいた。強い日差しのせいなのか、たじろぐほどに、不自然なくらい白い。たぶん、シラサギだと思う。このあたりの川原や田んぼでシラサギはよく見かけるけど、いつも一羽で、ほとんど動かずじっと佇んでいる…
●『O介』。大鋸一正の『緑ノ鳥』以来十四年ぶりの小説集。まだざっと一回読んだだけだけど、とても面白かった。97年に発表されたものから最新の書き下ろしまで七編が、「オー」というか「輪」というか「穴」という主題によってゆるく繋がっている。特に最初…
●水平線はそれほど遠くはない。海は、彼方までの広がりよりも、目に見える範囲の狭さを感じさせる。それは行き止まりという感覚を生む。むしろ、ずっと先まで延びている海岸線と砂浜の方が圧迫感なく視線を遠くへと誘い、遠さや広がりの感覚につながる。 目…
●『シンギュラリティ・コンクェスト』(山口優)。シンギュラリティ物のSF小説。2009年に日本SF新人賞受賞だという。 これは、カーツワイルの本に対するきわめて「日本的」なレスポンスのように思われた。『BEATLESS』(長谷敏司)や『Know』(野崎まど)、あるい…
●七月に撮った写真。その二。