2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧
⚫︎『化け猫あんずちゃん』(久野遥子・山下敦弘)をU-NEXYで。これはとても良かった。紋切り型だけど紋切り型じゃないという絶妙な感じ。 子供が、一夏の冒険と試練で成長するという物語は(そして、黄泉の国から死者を救い出すという物語もまた)古今東西、掃い…
⚫︎3月16日の日記に書いた、山本伊等さんのTwitterで知ったフィメールラッパーの人は「MFS」というそうだ(花見の時に山本さんに教えてもらった)。こういうすごい人がいきなり出てくるものなのだなあ、と。いくつか動画で観たけど、やはり最初に観た、jjjのト…
⚫︎『孤島の来訪者』を読んだ。方丈貴恵の(そして竜泉家シリーズの)二作目。この作家の本を読むのは三冊目だが、読む順番が、三作目→一作目→二作目という変則的なものになってしまった。竜泉家シリーズの三作ではこの二作目が最も評価が高いようだが、確かに…
⚫︎ミステリにおいては、途中の段階では、さまざまな謎があり、謎に対する多様な解釈(結果的には「間違い」ということにされる、叩き台的な複数の推理)があるが、それらは最終的には「唯一の真実」に収斂される。 だがこれは、テキストのあり得る多様な「読み…
⚫︎代々木公園で、保坂さん主催のお花見の会。保坂さんの花見会では毎年、正午過ぎから終電近くまでずっと飲みつづけ、しかも、いろんな人が持ち寄ったいろんな種類のお酒をちゃんぽんで飲むので、ベロベロに酔うことになるのだが、今年は胃がまだ本調子では…
⚫︎胃がまだ本調子ではなく、食べるものは普通に食べられるが、コーヒーを飲むと重く胃にもたれる、なんなら胸焼けもする感じがある。しかし、コーヒーを欲する気持ちはとても強い。自分にとって、アルコールを飲めないことよりもコーヒーを飲めないことの方…
⚫︎『失われた時を求めて』にかんしては、第一篇の「スワン家のほうへ」すら最後まで読めていないので、何かを言う資格などないのだけど、それでも、有名なその書き出し部分はとても面白く、書き出しのところだけ何度もぐるぐる読んでしまって先に進めないと…
⚫︎最近は、ミステリ小説だけでなく、ミステリにかんする批評もたくさん読んでいる。そこには、叙述トリックは意図的な「言い落とし」によって成立すると書かれている。叙述トリックの話者は、嘘はついていないが、意図的な「言い落とし」によって読者のミス…
⚫︎『蒼海館の殺人』(阿津川辰海)。現代日本ミステリの話題作を読むシリーズはまだ細々続いている。そろそろ飽きてきたかなあという気がしないでもないが。 この作品の特徴はまず、エンタメ小説として優れている(面白い)というところだと思う。それは、ミステ…
⚫︎AI(Claude 3.5)に、ロバート・ノージックによる「意識」にかんする哲学的議論を読ませた上で、「あなたには意識がありますか ? 」と聞いてみた対話の記録。筆者の西川さんも書いているが、ここでのAIの回答(議論)は、驚くほどに斬新なもの、とまではいえな…
⚫︎(昨日の補足)「憧れの世界」(青木淳悟)には、時々ふっと、唐突なように、あるいは場違いなように「描写(描写的な記述)」が入る。この描写の入り方がとても印象的だった。この魅力的な描写の部分になると、話者でも登場人物でもない、その両者が分岐する以…
⚫︎『憧れの世界 ――翻案小説を書く』(青木淳悟)から、「憧れの世界」を読んだ。面白かった。「ベタ」な青春小説とは言えないかもしれないが、「ガチ」な青春小説ではあった。そして、話があまりに綺麗に着地することに驚いた。 読む前に『耳をすませば』(近藤…
⚫︎『憧れの世界 ―-翻案小説を書く』(青木淳悟)の、本編に入る前の「まえがき」的な「〈青春懺悔の記〉いかにファンでなかったか ? 」を読んで、本編を読む前に『耳をすませば』(近藤喜文)をちゃんと観ておかないといけないと思って、地元で唯一生き残ってい…
⚫︎田島貴男は今でもこの曲をやってるんだな。30数年前の、いろいろこだわりもあったであろうオシャレな若者が、今では温泉場の陽気な湯上がりおじさんみたいになっているのも素晴らしい。同時代を生きるというのはこういうことなのだな、と。 ・田島貴男 - …
⚫︎今更という感じだか、最近になって「CASTALIA」をよく聴く。坂本龍一は中学生の頃から聴いているはずだが(聴いているというより、アレンジワークも含め、日本にいる限りその仕事は嫌でも耳に入ってくるわけだが)、ぼくの坂本聴取歴(というか、坂本龍一を聴…
⚫︎山本伊等さんのツイッターのポストで知った。これはすごい。すごく、すごいのではないか(この人、誰だろうか ? )。このくらいは、今の人は普通にできるものなのか ? 時々映っているJJJが、ちょっとイーロン・マスクっぽいが。 これきっと見なきゃ損するや…
⚫︎実は9日の夜中に急に胃に激痛が走って、急性胃腸炎みたいになって、一週間くらいろくなものを口にしていなかった。最初の26時間くらいはお湯しか口にしていないし、二日目でようやく砂糖を入れたお湯を飲むようになって(スポーツドリンクを外に買いに行く…
⚫︎ぼくの夢には味がない。夢の中で何かを食べようとするといつも、口に入れた途端に食べ物が消えて、空を噛むようになってしまう。眠っていて目が覚めて、喉が渇いていたので、ベッドの脇に置いていた2リットル入りのぺットボトルのスポーツドリンクをマグカ…
⚫︎『愛する者は憎む』(シルビナ・オカンポ+アドルフォ・ビオイ・カサーレス)。思ったよりも、わりと普通にちゃんとミステリだった。ボルヘスとビオイ・カサーレスの共作ミステリよりは随分面白い。逆に言えば、あくまでミステリという器に合わせて書かれた…
⚫︎本が届いた(追記、この表現だと誤解の余地があるかも、献本とかではなく、自分で買った)。シルビナ・オガンポと、ビオイ・カサーレスの共作長編などというものがあったのか ! しかし「探偵小説」というのが、ちょっとどうかな、という不安も。ボルヘスとビ…
⚫︎1971年から50年以上ずっとつづいているというドストエフスキーの読書会があって、VECTIONメンバーである西川さん夫婦がたまに参加しているそうなのだが、この会を主催している方が高齢になったため、ウェブサイトの管理を西川さんたちが受け継いだそうだ。…
⚫︎ちょっと体調を崩したこともあって、ベッドに横になってYouTubeで日本の小説(夏目漱石とか谷崎潤一郎とか)の朗読を聴いている。小説を朗読で聴くのはずっと苦手で、まず何より、過剰に抑揚をつけたり感情を込めたり、タメを作ったりする朗読の語り方がわざ…
⚫︎「後期クイーン的問題」とは、次のようなことだった。(1)探偵は作中世界に住む作中人物であるから、自らの住むその世界で起きた事件を「閉じる(収束させる)」ことができない(「閉じる」ためには、作品外からのメタ的な介入が必要)。(2)世界が閉じていない(…
⚫︎金柑。
⚫︎「後期クイーン的問題」とは ? 『現代本格ミステリの研究 「後期クイーン的問題」をめぐって』(諸岡卓真)、第一章より。 《(本格ミステリでは…)作中の謎は、作中の情報をもとにして解かれるようになっていなければならない。そうでなければ、作品世界内に…
⚫︎こんな本まで読み始めてしまって、我ながら何をやっているのか、と思う。最近の、新しめの傾向のミステリを何冊か読んで、旧作ミステリをいくつか読んで懐かしんで、それで満足するはずだったのに。まったく今更としか言いようがないが、「後期クイーン的…
⚫︎そもそも「議論」というものがよくないのではないかと思う。いや、お互いにある程度信頼を置けると認めている人たちとの議論は有益だし、刺激的だし、とても楽しい。どんどんすべき。しかし、多様な人たちが同居する雑多な「この世界」で、はじめから互い…
⚫︎『現代本格ミステリの研究 「後期クイーン的問題」をめぐって』(諸岡卓真)、第二章の『翼ある闇』(麻耶雄嵩)論がすごい。こんなすごいものがすでにあったのか…。これは麻耶雄嵩の読者なら(あるいは「アンチ」の人も)必読だと思うけど、でも、誰でも簡単に…
⚫︎図書館から届いた本。『現代本格ミステリの研究 「後期クイーン的問題」をめぐって』(諸岡卓真)。 序章と第一章をぱらっと読んでみたのだが、寝そべって読んでいたのが思わず姿勢を正してしまう感じの、これは「いい方の研究の本」だ、と思った(つまり、「…
⚫︎『時間旅行者の砂時計』。VRゲームを題材とした『名探偵に甘美なる死を』が面白かった方丈貴恵のデビュー作を読んでみた。 (以下、決定的なネタバレはないが、微妙なネタバレは多数ある。) 「名探偵に…」は「竜泉家シリーズ」の第三作目で、この「時間旅行…