2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

●『かわうそ堀怪談見習い』(柴崎友香)、ようやく読めた。『星のしるし』、『ドリーマーズ』、あるいは『ビリジアン』といった作品の近傍にあるというか、それらの作品と強く響き合う作品だと思った。特に、『ドリーマーズ』の「クラップ・ユア・ハンド」、『…

●『数学的な宇宙』で、数学的に可能な宇宙はすべて実在すると書いたMITの理論物理学者マックス・テグマークが、その次に書いた一般向けの本は、人工知能と人間の未来についての本だった(『Life 3.0: Being Human in the Age of Artificial Intelligence』)。…

●ICC、エマ―ジェンシーズの「盛るとのるソー」(小林椋)を観た。すごく雑駁な言い方をすると、二次元と三次元の次元を越えたピタゴラスイッチのような作品。しかし、ピタゴラスイッチが、直接的接触と、重力、摩擦力、弾性、慣性の法則などの物理法則によって…

●お知らせ。勁草書房のウェブサイト、けいそうビブリオフィルに、「虚構世界はなぜ必要か?」の第25回目、「ここ-今」と「そこ-今」をともに織り上げるフィクション/『君の名は。』と『輪るピングドラム』(4)、がアップされています。去年の四月からはじまっ…

●ICCに「盛るとのるソー」(小林椋)を観に行ったのだけど、「盛るとのるソー」もとても面白かったけど、メディア芸術祭関連で展示されていた、五島一浩による「BUMPY」という作品がヤバかった。 3Dメガネをつけて観る立体視の作品なのだけど、視差をもった二…

●『ニューロラカン』(久保田泰考)、二章まで読んだ。 《「われ考える」という「思考する実体」はひとつの存在ではあるが、「延長」とは区別される。つまり、その思考が、三次元空間で幅、高さ、奥行きを持つことはない。フロイトのいう無意識は、ある思考す…

●最終回の原稿を編集者へ送付した明け方の五時すぎ、脱力感のなかでYouTubeでなぜかドナルド・フェイゲンを聴いていた。アルバムを持っているはずなのだけど、CDを探すより、安易にYouTubeで検索して聴いてしまうという怠惰。 ドナルド・フェイゲン「The Nig…

●「ピングドラム」についての原稿を書いていると、だんだん高揚してきて、頭のなかに「ピングドラム」でクライマックスの場面にかかる、らーら、らーらーらーらーらー、という音楽が鳴り響くようになる。原稿を書いていて、ここまで高揚することはあまりない…

●「ピングドラム」について原稿を書いているので、毎日、四〜五話分くらい確認のため観かえすのだけど(同じ回を何度も観ることも)、特に終盤の、この物語の複雑さには観るたびに驚かされる。この複雑さを、できるだけ縮減しないで、できるだけ簡潔に短い言葉…

●気候がよくなってきたせいか、ついつい寝過ごしてしまう。夢をみながら、なんかこの夢だらだらつづくなあと思って、目が覚めるとたいへんな時間になっていてあせる。死んだおばあちゃんが夢に出てきて、この話をお前にぜひしてやろうと思っていたと言って「…

●散歩している時になんとなく思い出した。昔、台所は「お勝手」と呼ばれていた。建てかえる前の実家では、お勝手の脇に勝手口がついていた(そういえば、今の実家にも、キッチンの脇に勝手口的なドアがある)。軽トラで流している酒屋の御用聞きの人が「こんち…

●『建築と日常』の長島さんと、qpさんと三人で、石上純也設計の神奈川工科大学KAIT工房と、アミューあつぎ屋内広場solaを見学した。 KAIT工房では、ガラス張りの広いワンフロアを、森の木々のようにランダムに配置されている(ように見える)三百本以上の細い…

●『ひるね姫』を観て、神山健治はどうしても「父」を中心においてしまうのだなあと感じた。いや、父というより、父の父としての「王」と言うべきか。つまりこの物語では、ココネの父のモモタローのことではなく、志島会長のことだ。最後の最後は、最高の権威…

●アマゾンビデオで神山健治の『ひるね姫』を観た。丁寧なつくりで最後までとても楽しく観られたけど、野心的な何かではまったくなかった。あえて東京オリンピックのある三年後の近未来という、いろいろ問題含みの時期を舞台にした、テクノロジー的な主題をも…

●小鷹研理さんのツイッタ―で下の動画を観ていて思ったのだけど(直接関係あるわけではないけど)、ぼくは時々、目が覚めて、自分の手の位置がよくわからなくて、しばらく(と言っても、ほんの数秒だけど)手が動かせないことがある。 https://twitter.com/kenrik…

●保坂さんから激推しのメールが来た「はな子のいる風景 イメージを(ひっ)くりかえす」を観に、吉祥寺美術館に行ったのだけど、写真の展示はここではやっていなくて、井の頭自然文化園の彫刻館でやっているのだと言う。六時過ぎに行ったので自然文化園はもう…

●幸福な夢から悪夢まで、今週は濃厚な夢に憑りつかれているようで、眠る度にかなりヘヴィーな夢に襲われる。ちょっとした誤解があって、周囲のすべての人から孤立しただけでなく、何人かからは激しく糾弾され、しつこく絡まれ、それは違うのだといくら事情を…

●お知らせ。勁草書房のウェブサイト、けいそうビブリオフィルに、「虚構世界はなぜ必要か?」の24回目、「「ここ-今」と「そこ-今」をともに織り上げるフィクション/『君の名は。』と『輪るピングドラム』 (3)」がアップされています。今回は主に『輪るビング…

●夢だとわかっていてみている、とても生々しく魅力的な夢のなかにいて、これはひたすら人を眠りにとどめようとする危険な夢だと思い、目覚めたらきっともうかなりのいい時間で、一日をまるまるつぶしてしまったと後悔することになるだろうと思いながらも、そ…

●『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』のオリジナル版(岩井俊二のやつ)がアマゾンビデオにあったので観てみた。ぼくももうけっこういい歳なので、「こういうのにやられちゃう人がいるのは分からなくもないけど、ぼくには面白くないなあ」という感…

●京都へ一拍旅行に行ったという妙に具体的な夢をみた。その夢のなかで二度、連れだって歩いていた人と、人ごみではぐれるという経験をした。一度目は昼間、知り合いの、男性ばかり数人で連れ立って、これから食事に行こうという場面で、長く下っている坂道を…

●けいそうビブリオフィルの連載の原稿、今回は最終回のつもりで書いていたのだけど、一万字越えても収束に向かわず、分量的にちょっと収まりそうもないので(「ピングドラム」は状況説明がややこしくて字数を喰う---なるべくコンパクトに書いているつもりだけ…

●勁草書房のウェブサイトでアニメについての連載を一年半ちかくつづけているけど、それももうすぐ終わる予定。アニメ的な表現についてというより、アニメによって描きだされる世界の構造(物語の構造)を分析しながら、科学やテクノロジーの時代における物語(…

●アピチャッポン『光の墓/世紀の光』と、『ヤノマミ』のDVD(アピチャッポンはブルーレイ)を買ったのだけど、観ている時間がない。ひたすら、「ピングドラム」24話分を再生中。いや、面白いんだけど。他に、レンタルしている何本かのDVDも、観ないまま返すこ…

●青山目黒で「時間の形式、その制作と方法 田中功起作品とテキストから考える」(企画・上妻世海)を観た。 http://aoyamameguro.com/artists/koki-tanaka-by-sekai-kozuma/ 正直、田中功起という作家にいままでそれほど関心はなかったし、例えば、似た感じの…

●『輪るピングドラム』についての原稿を書くので参照しようと思って、この日記で「ピングドラム」について書いたところをまとめて、プリントアウトしてみたら、A4の紙で五十枚以上になってしまった。 放送中に、一回、一回、観るごとに書いていたので、全然…

●小鷹研理「HMD空間における三人称定位」(PDF)。すごくおもしろいのだが、このような研究と、「作品」に関する考察とを、うまくリンクさせるにはどういうことが必要となるのだろうかと考える。 http://www.jcss.gr.jp/meetings/jcss2017/proceedings/pdf/JCS…

●無性に観たくなってジム・ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』のDVDを借りてくる。堪能した。ため息が出るような細部に満ちている。 この映画は、反時代的であり、貴族的であり、ロマンティックである。それは、この映画の、とても…

●八月はなにかと忙しくて、家にこもっていることが多く、夏をあまり満喫できなかった。写真もあまり撮れなかった。そして、九月になったとたんに夏ではなくなってしまった感じ。 八月に撮った写真。辛うじて、これくらいか。

●すごく興味深い記事。「日本が太平洋戦争に総額いくらを費やしたか、知っていますか」(加谷珪一・現代ビジネス) http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52599 《戦費の実態はよく分からないと述べたが、ある程度までなら推測することができる。旧大蔵省が戦…