2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧
●『名探偵 木更津悠也』(麻耶雄嵩)。ああ、麻耶雄嵩だなあと思ってニヤニヤしながら読んだ。いかにも麻耶雄嵩というぶっ飛んだ感じは抑制されているけど、だからこそじわじわとにじみ出る麻耶雄嵩感。 麻耶雄嵩においては、「論理」が徹底して軽蔑されている…
●カイエ・ソバージュの三巻目までは基本的に、「対称性」の大事さを一貫して語ってきた中沢新一が、『神の発明』では、人類にはもともとそこから逸脱してしまう力(傾向)もまた内包されているのだということを語る。その、対称性を超越しようとする力のあらわ…
●横浜美術館の「20世紀末・日本の美術---何が語られ、何が語られなかったのか」については、用事があって途中退出して、一時間くらいしか聞けなかったので突っ込んだ感想などは書けないけど、これはやはりとても貴重な試みなのではないかと思いながら聞いて…
●横浜美術館へ「20世紀末・日本の美術---何が語られ、何が語られなかったのか」を聞きにゆく。 http://togetter.com/li/346688 ●しかし、はじまって一時間くらいで退出して、目白の日本女子大へ。「中沢新一は何を云っているのか? 第六弾」に参加。 http://…
●『カイエ・ソバージュ4 神の発明』(中沢新一)はとても面白かった。ここまできてようやく、カイエ・ソバージュ全体で何が構想されているのかということが、ぼくにも少しみえてきたように思う。 一巻目で神話、二巻目で国家、三巻目で経済が語られ、四巻目の…
●ホテルが八坂神社のすぐ近くだったので、チェックアウトした後、昨日につづいて(今度は昼間の)八坂神社と円山公園を歩く。ベタな観光コースをまわってみようと思い、東大路通りを京都駅方向へ歩いていって、清水寺と三十三間堂を観て、京都駅へ。時間にする…
●京都へ。今までは新幹線は東京駅からの乗車だったけど、今回は小田原駅から。地元の駅から東海道線の下り方向に乗るのはいつ以来だろうか。たぷん、二十年くらいは乗っていない。大磯、二宮くらいではまだ線路は海から離れたところをはしっているけど、二宮…
●『境界線上のホライゾン』の第二シーズンを、今のところ三回目まですべて観てしまっている。面白いのかと言われれば、面白いとは言えないのだけど、つい気になって観てしまう。とはいっても、第一シーズンはDVDの三巻目までしか観ていないので、話の展開が…
●少し前からトイレに蜘蛛が住み着いている。脚まで含めると体長が15センチくらいはある大きめのやつ。ドアをあけると便器の前にいる。ドアを開けても何の反応もなく不動のままだが、ぼくが便器に近づくとさすがにカサコソ動いて便器の後ろ側にまわって隠れる…
●昨日書いたことではちょっと言葉が足りないと思ったので補足したいのだが、そのためにはネタバレをしなければならなくなる。ということで、以下では『キングを探せ』(法月綸太郎)についてネタバレしています。 ●『キングを探せ』には、三つの層があるといえ…
●引っ越した先の近所にはまともな本屋とか古本屋とかがなくて、散歩の途中にふらっと古本屋に立ち寄る、みたいなことができなくなった。だけど、すぐ近くに図書館の小さい分館があるのを発見した(昔はなかった)。へえ、と思って入ってみて、書棚をふらふら眺…
●そういえば昨日、今年はじめてセミの声を聴いた。最初に聴こえてきたのは何の音にも似ていない感覚が歪むような異様な音で、何の音かわからずうろたえたのだが、次第に鳴くのがうまくなって、セミの声へと着地した。 ●二十枚くらいの原稿のためにここ一週間…
●ひどく暑かったけど一雨きてずいぶん楽になった。アトリエで、実家からもらってきた蚊取り線香を焚く。か細い煙がゆったりとたちあがる。 ●《飢えて死ぬ者たちにとって、必要で充分なことは飢えない現実を出現させることである。親鸞の思想は、ほとんど絶対…
●昨日の日記に書いたリー・スモーリンという人には邦訳された本が何冊かあるようなので、さっそくアマゾンで注文した。 ●それから、リー・スモーリンのインタビューでもう一つ面白いと思ったのは「創発的(emergence)」という言葉の使い方だ。「創発的」は「…
●新宿でDVDを返却して、そのあと銀座へ出てなびす画廊の杉浦大和展へ。 ●「Newton」別冊の「相対性理論とタイムトラベル」(新宿で買った)に載っているリー・スモーリンという人のインタビューがとても面白かった。時間と空間にはその最少単位があり、それら…
●この三日間、吉本隆明漬け。 ●あと、モンテ・ヘルマン『断絶』(71年)、『銃撃』(67年)、『コックファイター』(74年)をDVDで観た。たまたま近所のレンタル店をのぞいたら『断絶』が置いてあるのに気付いて(これ、新宿のツタヤではぼくが行くときはいつもレン…
●昼間、少しうたた寝した。強めの風が入って揺れるカーテンが網戸に当たる音が眠りの直前まで聴こえた。たぶん、十分も眠っていない。短い夢を見た。八王子の駅前、くまざわ書店の先、東急スクエアの手前にある交差点に立って信号待ちしていた。ただそれだけ…
●『最後の親鸞』との関係を意識しながら「マチウ書試論」を読み返してみた。ここで吉本隆明は、原始キリスト教の思想の内容のほとんどをユダヤ教からの剽窃としながらも、原始キリスト教の新しさ(正しさ)を、ユダヤ教-原始キリスト教の「関係」においてのみ…
●ムサビまで境澤邦泰さんの絵を観に行った。クールベの曇天とバルチュスのフェティシズムを感じる。おそらくフェティシズムという言い方に作家は納得しないと思うけど。でもこれはやはりフェティシズムと言っていいように思った。タッチを重ねる行為へのフェ…
●お知らせ。明日、13日付けの東京新聞夕刊に、17日からなびす画廊ではじまる杉浦大和・展(8月4日まで)についての文章が掲載される予定です。展覧会はまだはじまっていませんが、杉浦さんのアトリエにお邪魔して展示する作品を見せていただきました。 今、現…
●昨日につづいて一日小説を書く。昨日、今日で書いた分を合わせてようやく一万字くらいになった。前の小説は四十枚弱のもの書くのに一年かかったので、今度は半分くらい時間でなんとか形にしたいと思ったのだが、中断も含めて書き出してから三か月半くらいで…
●引っ越しのごたごたで、書き始めたまま中断していた小説のつづきを少しだけ書き継ぐことができた。引っ越し作業が落ち着いたら書こうと思っていたのだが、なかなか書き出せなかった。二か月以上中断してしまっていた。 ●今日、書いたところをちょっとだけ。…
●昨日テレビで『境界線上のホライゾン』の第二シーズンの一回目をやっているのにたまたま出くわして、少し観ていたのだが、それでふと、本多正純というキャラの声としゃべり方にどこか聞き覚えがある気がして、画面から少し気を外して脳内検索をはじめ、しば…
●『マルコヴィッチの穴』(チャーリー・カウフマン)をDVDで、実ははじめて観た。ジョン・マルコヴィッチの脳のなかに入り込んでしまうというところまではけっこう面白かったけど、ここからこれをどう展開させるのだろうかと期待しはじめたら、そこから先はあ…
●茨城まで行った。つくばエクスプレスにはじめて乗った。杉浦大和さんのアトリエにお邪魔して新作をみせていただいた。 ●文脈とネットワークとは違う。「文藝」の『カフカ式練習帳』の書評でも書いたのだが、それは、ドゥルーズが『シネマ』で書く「総体」と…
●お知らせ。七日発売の「文藝」秋号に『カフカ式練習帳』(保坂和志)の書評を、「新潮」八月号に『わたしがいなかった街で』(柴崎友香)の書評を書いています。まだ現物を確認できてはいませんが、問題か手違いがない限り載っているはずです。 ●『宇宙飛行士の…
●生まれ育った土地をあるいていると唐突に時間が戻ってしまう。今は、ここに住んでいるから、たまに実家に帰っているという時とは違って普段モードというか生活モード、散文的モードだから、懐古的な気分などまったくなく油断していて、そこにいきなりガクン…
●とてもいい天気。「オブ・ザ・ベースボール」(円城塔)に、≪視野全体を保持しながら細部へと果てしなくズームインする機構を青空と呼ぶのではないかとは俺の意見だが、賛同を得られた例しはない≫という印象的な(これだけで短歌のような)一文があるのを思…
●『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(ブラッド・バード)をDVDで。このシリーズを観るのははじめて。さすがに130分間まったく飽きることとなく、あっと言う間に過ぎた。とはいえ、楽しい時間はあっと言う間に過ぎるということとが言えて…
●引っ越して一ヶ月以上経った。引っ越した先はひたすら平坦な土地で(しかもその土地が途切れた先が海なのでさらにずっと平坦がつづく)、建物もそんなに建て込んでいなくて高い建物も少ないから、場所によってはかなり遠くまで見渡すことができる。空間が開け…