●引っ越して一ヶ月以上経った。引っ越した先はひたすら平坦な土地で(しかもその土地が途切れた先が海なのでさらにずっと平坦がつづく)、建物もそんなに建て込んでいなくて高い建物も少ないから、場所によってはかなり遠くまで見渡すことができる。空間が開けた気持ちよさがある一方、高低差があり道が入り組んでいて、少し歩くだけで風景が(視覚的にも見える範囲のスケール感も)その都度大きく変化した以前住んでいたところの周囲に比べると散歩していても変化が少なく単調にも感じられる。ただ、大きく開けていると、光の変化によって風景がその表情を劇的に変化させるのだということに気づいた。太陽にかかっていた雲が移動して日がさーっと射したり、時間によって光の向きや光の配分がかわったりすると、見えているものの表情だけでなくものの配置が変わったみたいになって、遠近感さえも揺らぐ変化がある。
それと、海が近く大気に水分が多く含まれるせいなのか(大気中の水分は光の屈折に大きく影響する)、それともたんに空が広く大きく見えているからそう感じるだけなのかわからないのだが、空の、大気の、表情がすごく多様に変化することにも気づいた。雲の厚みや形、空の青の透明度や濃さ、空に広がる光が鋭くなったり鈍くなったりする感じや、乱反射や屈折感などが、短い時間の間に大きく変化する。しかもその変化が、広く見える空のあちこちで均一ではなく起こる。二十歳すぎまでこのあたりに住んでいた頃は、空の変化がこんなに多様だということを意識したことはなかった。
●以下は六月に撮った写真じゃなくて、今日撮った空の写真(もっと劇的に違ったのだが、写真だとあまり違いが出てないかも)。