⚫︎「攻殻機動隊」第5話をネットフリックスで。最初は気になっていた「古さ(未来の古さ)」がだんだん「味」のように感じられるようになってきた。一種のスチームパンクのようなものだと思えばいいのかもしれない。
例えば、佐川電子という会社の社長と、その部下、おそらく警備担当の責任者との会話の場面。部下が、会社に潜入してこようとする組織(公安9課)について、「首相直属で、圧力の効かない組織だ」と言うと、社長は、「圧力が効かないのは議会を操っている組合の幹部連中だけだ、首相直属といっても大抵は書類上のことだ」という返しをする(このやりとりもほぼ原作通り)。「組合の幹部連中」以外は大抵「圧力」をかければどうとでもなる、つまり「組合の幹部連中」だけは手強い、という認識があるということだろう。このようなセリフは、おそらく現在つくられる「近未来」の話には登場しないのではないかと思う。まだ、「組合」に一定の力と自律性と、厄介だと思わせるだけの手強い存在感があった(ストライキなども行われていた)時代に書かれたフィクションであることが刻まれているセリフだろう。
このようなやりとりが「原作」のまま残されていることによって、今、我々がいる「この世界」と地続きにある(近)未来とは「別の(近)未来」が舞台であるかのような感触が生まれる。エリー・デューリングの言う「レトロフューチャー」というのはこんな感じのことなのだろう。
(とはいえ、原作が描かれた89年には労働組合はかなり弱体化していたと思われるので、このセリフは当時からすでにアイロニーだったのかもしれない。87年、国鉄分割民営化。89年、「総評」の解散。89年あたりではストライキはほぼ行われなくなっていたように思う。)
⚫︎ほとんど原作通りだと思うが、国名や地名が微妙に書き変わっているところが気にならなくもない。原作には、当時まだ存在していた「ソ連」という国名が記されているが、アニメでは架空の国名に書きかわっていた。なぜここは「原作のまま」ではないのか(あるいは「ロシア」ではないのか)、と。
