2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ローリー・アンダーソン『時間の記録』(ICC)について

●昨日観た、ローリー・アンダーソン『時間の記録』(ICC)について。ローリー・アンダーソンの魅力は、アーチストとしてというよりもパフォーマーとしてのもので、なによりもその「語り」の芸にあるように思う。例えば「音楽」にしても、単調とも言える反復的…

南天子画廊の岡崎乾二郎

●初台のICCで、ローリー・アンダーソン「時間の記録」展、京橋の南天子画廊で、岡崎乾二郎・展、銀座のなびす画廊で、日置英子・展、その他、いくつか。 ●南天子画廊(http://www.nantenshi.com/)の岡崎乾二郎の(大型の)作品2点は、最近の岡崎氏の仕事のなか…

現代の具象絵画は、「物」ではなくて「イメージ」を描いている...

●現代の具象絵画は、「物」ではなくて「イメージ」を描いている。それは、リヒターでも、タイマンスでも、パゼリッツでも、奈良美智でも、基本的にかわらない。ここで言うイメージとは、視覚的なものに一元的に還元されたものというような意味で、ビジュアル…

●急に気温が下がったせいか、やたらと眠い。放っておくと一日中眠っているんじゃないかという勢いで眠い。まだ夏の延長だと思って無防備に寝ていて、からだが冷えて身震いしながら目覚めても、重ね着してまたすぐ寝入ってしまうくらいに眠い。あと5分、あと1…

ポール・トーマス・アンダーソン『ハードエイト』をDVDで

●『ハードエイト』をDVDで。この映画は、『マグノリア』や『パンチドランク・ラブ』のポール・トーマス・アンダーソンのデビュー作なのだけど、『パンチドランク・ラブ』よりもいいんじゃないかというくらい良い。ただ、この映画への不満は、こんなにきれい…

●なんとなくテレビを観ていたら太田垣悠というダンサーが出ていた。ぼくはこの人のことを(というか、ダンスのことを)全く知らないのだけど、面白かったのは、普通に雑談をしながら即興でダンスをするというトレーニングを実際にやっていたことで、太田垣氏は…

アユミギャラリーに展示されている井上実の作品は...

●アユミギャラリーに展示されている井上実の作品は、キャンバスという物質として与えられた四角いフレーム全体が、必ずしも空間として滑らかに繋がっていなくてもかまわない、という感覚によって構築されているように見える。通常(近代的な意味での絵画では)…

●神楽坂のアユミギャラリー(http://www.ayumi-g.com/index.shtml)で、井上実・展(http://www.ayumi-g.com/ex05/0534.html)。その前に、吉祥寺のA-things(http://athings.exblog.jp/)の、井上実・展も、もう一度観に行った。(A-thingでの展示は、「好評につき…

●今日はずっと原稿を書いていた。この原稿は、ここ1、2ヶ月に試写で観た映画について、「時評」というかたちでまとめるもので、ぼくが今まで雑誌に書かせてもらった原稿のなかでは一番長い(といっても原稿用紙で15、6枚程度なのだが)ものになる。この「時評…

●昨日、近所に古本屋が一軒もなくなったということを書いたけど、それは間違いで、ドラックストアだったところが、最近ブックオフになったということを忘れていた。もともとドラックストアだったので、駐車場付きだったりする。(9/22追記。9/15に書いた、糸…

●1987年から1992年という時期はちょうどバブルの絶頂と重なっていて、きわめて浮ついていた時期で、今からみるとなんとも遠く隔たりがあるようにも感じられるのだが、この時期に中沢新一がいろんな媒体に書き散らした短めのエッセイをまとめた本(出たのは92…

●しつこいようにドローイングの話。線は、それ自身としての色彩や表情や動きをもつ、というポジティブな側面があるだけでなく、例えば、白い紙に黒い線で描かれた時、白い領域の広がりを断ち切る「断層」または「ブランク」としても作用する。(逆に、白い領…

●必要があって、テリー・ギリアムとタルデンヌ兄弟の映画を何本かずつ、ビデオとDVDとで観ていた。タルデンヌ兄弟の映画のつまらなさは、見せるべきものを見せていないという感じにあって、それはたんにフレームが狭いということだけでなく、場面としても、…

●ひきつづき、ドローイング。いいところまでゆくのだが、最後の一歩のところで空間を見失う、という感じがつづく。これは、自分がやっていることに対しての慣れが出て来て、気分がちょっと単調になってしまっているということもあるけど、やっていること、と…

●ドローイングを描く。 ●ドローイングは、言葉には出来ず、感覚としてもはっきりとは意識化出来ないものを保存し、反復させる。それは手の動きであり、手の逡巡であり、手を動かすことによって掴もうとする空間の感触であり、そによって掴まえたものであり、…

●糸井重里の懐かしい著作、『ペンギニストは眠らない』『私は嘘が嫌いだ』『話せばわかるか』『スナック芸大全』が古本屋で一冊百円で売っていたので、思わず買ってしまった。糸井氏は本当にとても聡明な人だと思うのだが、その聡明さは、「作品」をつくらな…

●朝早くから強い光が射して、かなり暑い。いったんやわらいだ後でぶり返したここ数日つづく暑さで、なんとなく身体がだるい。しかしこのような強い光の感じの日は、今年はもう何日も残っていないのだと思うと、だるさよりも高揚感のようなものの方が勝つ。冷…

●早朝の白々した光の、まだ人影のまばらな繁華街は、ようやく一日が終わった人たちと、これから一日が始まる人たちとが混じり合って、なんとも不思議な雰囲気をかたちづくっている。 ●それからしばらくすると雰囲気はがらっとかわる。朝はやくの太陽はまだ低…

群像」10月号、石川忠司・保坂和志対談

●「群像」10月号に載っている石川忠司・保坂和志対談は、とても面白いと同時に、とても難しい。ここで語られていることの一つ一つを、たんに面白いエピソード(というか「考え」)として読むならば、それほど難しくはないかも知れないけど、それら、語られてい…

●ドローイングのための「紙」を買いに、近所の文房具屋まで行く。本当は、雨が降っている時に「紙」を買いには行きたくない(濡らしてしまうから)のだけど、「描くもの」が何もなくなってしまったので仕方がない。とりあえず、スケッチブック2册(白がきつすぎ…

●昨日につづいて、一日中ずっとドローイングを描いていた。描くもの(紙やスケッチブック)がなくなってしまったので、たまたまあったA4サイズの再生紙の茶色い封筒(5枚残っていた)に描いてみたら、けっこういい感じなので、「KOKUYO」シリーズにつづいて、茶…

●ずっとドローイング。気が付くと、6時間以上も描いていた。ドローイングでは、タブローとは違った、瞬発力のようなものが必要なので、これはぼくにとって集中力の限界、というか、それを超えてしまっていて、くたくたに疲労する。こんなに長時間やってしま…

テリー・ギリアム『ブラザーズ・グリム』

●京橋のメディアボックス試写室で、テリー・ギリアム『ブラザーズ・グリム』。単純にとても楽しかった。回想のシーンで流れが滞って、かったるくなってしまう以外は、目の前に展開される圧倒的な「見えてしまう」ものに魅了されつづけているうちに最後までゆ…

ヴィム・ヴェンダース『ランド・オブ・プレンティ』

●六本木のアスミック・エース試写室で、ヴィム・ヴェンダース『ランド・オブ・プレンティ』。久々のヴェンダースだが、あまりにも率直で「良識的」な、つまりほとんど「安易」と言っていいような「メッセージ」が語られる映画で、びっくりする。ヴェンダース…

●雨が降ったりやんだり、不安定な天気。電車に乗っていて、ある駅では曇っていて、次の駅ではかなり激しく雨が降っていて、その次の駅では日の光りさえ射している。この変化は時間の推移によるものなのか、それとも空間の移動によるものなのか。夕方には雨が…

05/09/05(月) ●すごく素朴なことを言うようだけど、絵描きであるからには自分の「手」を信用し、自分の「手」と共にあるしかない。これは、自分の「手」に自信がある、ということとは違って、例えば、ぼくには日本画の画家が描くような、緊張が漲っていて、…

●ひきつづき、「X-Knowledge HOME 昭和住宅メモリー」を眺めていて思ったこと。 ●人の行動の多くの部分は、無意識のうちに刻まれてしまっている「習慣」に従っていて、特に自分なりの強い主張やこだわりがあったり、あるいは、その「習慣」に対して疑問を感…

●以下は、「X-Knowledge HOME 昭和住宅メモリー」(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4767804302/contents/ref%3Dcm%5Ftoc%5Fmore/250-6994682-7113851)と「別冊太陽 熊谷守一」を、パラパラとめくりながら考えたこと。 ●熊谷守一は、…

05/09/02(金) ●夜八時過ぎ、電車を降りて、駅前のスーパーで買い物をして、スーパーのビニール袋を下げて外へ出ると、スーパーの先にある、手入れの行き届いていない、雑草だらけの畑から、うるさいくらいの虫の声がうわっと押し寄せて来るのに気付いた。毎…

タルデンヌ兄弟『ある子供』

●汐留の、スペースFS汐留で、タルデンヌ兄弟の『ある子供』の試写を観た。タルデンヌ兄弟の映画は、視覚を極めて狭い範囲に限定することで、観客の視線を的確に誘導する。そのような意味で、この映画はとても良く出来ていると思うが、しかし、どうしても好き…