●ずっとドローイング。気が付くと、6時間以上も描いていた。ドローイングでは、タブローとは違った、瞬発力のようなものが必要なので、これはぼくにとって集中力の限界、というか、それを超えてしまっていて、くたくたに疲労する。こんなに長時間やってしまうのは、何かが掴めそうで、しかしいまいち掴み切れていないという感じがあるからで、もし、いい感じのものが何点か描けていれば、それで気持ちよくなってすんなりやめられるのだが、いま一つなのでなかなかやめられないのだった。今やっているのは、今月の5日の日記に書いた「KOKUYO」シリーズも含めて、毛筆(や筆ペン)を使った「線」によるドローイングで、ぼくのいままでの仕事では、純粋な意味で「線」が問題になることはほとんどなくて、線によって描かれたように見えるドローイングでも、それは、半ば線であるけど、半ば、木の枝や割り箸などで絵の具や墨汁が画面に擦り付けられた「痕跡」のようなものとして捉えられたもので、純粋な意味での「線」が主要な問題となるような仕事をするのはほぼ初めてのようなものなのだが(しかしこれはあくまで「描く」時のぼくの捉え方の問題であって、人が観れば、今までのぼくの作品と何も変わりがないように見えるのだと思うけど)、なぜそんなことをいきなりはじめてしまったのかは自分でもよく分からないのだが、その原因の一つに、昨年末に観たマティスがじわじわと効いてきているということがあるのではないかと推測するのだった。