2001-10-01から1ヶ月間の記事一覧

椹木野衣/村上隆とモダニズムへの通路

ちょっと思う所があって、1990年に青山の東高現代美術館という場所で行われ、大学時代のぼくに少なからず影響を与えた、『絵画/日本・断層からの出現』という展覧会の図録をパラパラとめくっていた。これは、明らかにモダニズムの流れのなかにいる中村一美、…

椹木野衣/村上隆とモダニズムへの通路

『ユリイカ』10月号の椹木野衣の文章をパラパラ見返しながら、ぼくは何故椹木氏の書くものに対して、こんなに感情的に反発してしまうのだろうか(かなり鋭いことも言ってるのに)と考えてみたのだけど、それは多分、椹木氏には、「モダニズム」への通路がない…

ある日

濡れたアスファルト。雨。ずっとまっすぐにつづいている道の両側に茂る、青々と葉をつけている常緑樹に混じって、まだら模様をつくるように真っ赤に染まったもみじの木がところどころにみられる。しかしそれは、実はもみじではなくて、「アメリカフウ」(別名…

ある日

美容院で美容師(女性)が、「床屋さんって行ったことありまか?」と言うので、「子供の頃とかは行ってましたけど」と答えると、「この前、友達になった人がたまたま床屋さんだったんですよ、で、マッサージしてやるからちょっと寄っていきなよ、とか言われて…

ある日

蛍光色にさえ見えるほどだった黄緑色の勢いがやや弱まって、少量の黄土色を混ぜ込んだような色彩になってやわらかく拡がってる芝生。その芝生を取り囲むようにして立っている桂の木々。ハート型をした桂の葉も、黄緑色から黄土色、黄土色から赤味の強いオレ…

デプレシャンの『エスター・カーン めざめの時』

●日比谷シャンテ・シネでデプレシャンの『エスター・カーン めざめの時』。この映画については、ちょっと別の場所に書くかもしれないので、ここでは少ししか触れない。(でも、こんな言い方が、あまり増えてしまうと、この日記の意味が無くなってしまうのだけ…

ある日

1階のロビーは、内側(中庭側)に向いた一面がガラス張りになっている。常緑樹の濃い緑の葉の一枚一枚が、上から降ってくる光を眩しく反射して、キラキラしながら風に揺られている。タイル敷きの地面も、強い光で露出オーヴァーみたいに真っ白くて、そこに木の…

ギャラリーGANの「IMAI・エロチカ」展

●しかし、何よりも凄いのは、ギャラリーGANの今井俊満だった。昨年、ガンで余命数ヶ月と宣告され、すでに「サヨナラ」と題された展覧会や「フィナーレ」と題されたイヴェントが行われてしまっているのだが、その後も、身体の器官の多くを摘出されながらも…

『ユリイカ』10月号「村上隆VS奈良美智」(子供ノート/中原浩大の不在)

●『ユリイカ』10月号「村上隆VS奈良美智」にさっと目を通した。ひどくつまらない。なかで唯一、知性のまともな使用を感じさせるのがサドッホ(後藤浩子・澤野雅樹・矢作征男)というユニットによる、『子どもノート』という文章だった。これはたんにドゥルー…

ある日のこと。

アトリエからの帰り、ガラガラに空いた電車に乗り込み、どかっと腰を下ろす。発車までは、まだ数分ある。視線を上げると、丁度すぐ上にある蛍光灯が、チッ、カッ、...チッ、カッ、と点滅している。疲れた頭で、惚けたようにしばらくそれをぼんやり見上げてい…

佐藤信介のメジャーデビュー作、『LOVE SONG』

●ここ1ヶ月以上全く映画を観ていなかった。1ヶ月ぶりの映画はビデオで観た。『正門前行』の佐藤信介のメジャーデビュー作である『LOVE SONG』。明らかにレコード会社主導の企画モノで、しかも題材が「尾崎豊」という、何ともリスキーな仕事を、佐藤信介がど…

ある日のこと。

水色の空。うすい鱗雲。強い光。赤茶色が目立ってきた木の葉に、光が跳ねる。5、6歳の女の子を連れた家族連れ。短い坂道を上ってゆく。女の子がはしゃいで先頭を走りながら、地面を指さして、「上り」「下り」と大きな声をあげる。その後を父親がつづく。最…

ある日のこと。

風邪をひいたらしい。皮膚の内側に熱が籠っている。節々が痛む。アルミ箔を噛んだときのような寒気が時々ジーンと背筋を駆け抜ける。鈍い痛みが後頭部からコメカミにかけて重く響く。脱力している。ボーッとしている。外を歩いている人のかん高い笑い声。子…

01/10/11(木)

用事があって、みなとみらい21地区へ行った。(横浜トリエンナーレは観られなかった。)ちょうどあれから一ヶ月ということもあって、ランドマークタワーの下からタワーを見上げて、そこに飛行機が突っ込んでくる姿と、タワーが崩れ落ちる鎔をなるべくリアルに…

文房堂ギャラリーで『流れとよどみ』(富田瑞穂・中川絵梨・馬場健太郎・堀由樹子)

●昨日の日記に書いた『流れとよどみ』展のオープニングでの挨拶で、企画者である批評家の早見さんは、「最近流行りの、村上隆や奈良美智みたいな、《異化効果》によって成立するような作品とは違った、もっとオーソドックスな意味でのペインティングの作家を…

文房堂ギャラリーで『流れとよどみ』(富田瑞穂・中川絵梨・馬場健太郎・堀由樹子)

●神田の文房堂ギャラリーで『流れとよどみ』(富田瑞穂・中川絵梨・馬場健太郎・堀由樹子)。何かを考える時に、すぐにそれの「起源」に遡って考えてしまうのは、今現在、それがそのようにしてそこにある、ということの複雑さ(や必然性)を見ないで単純化してし…

01/10/8(月)

●アメリカ(+イギリス)によるアフガニスタンへの空爆が開始された。そんなの時間の問題だって分かってたじゃん、と言われても、そうは冷静ではいられない。ブッシュによる、子供の手紙なんかを引用したおぞましいスピーチなんかを聞かせられるもんだから、な…

死者の目/完全過去/表現の現在(『サザエさん』と古井由吉)

●日曜、午後6時半と言えば『サザエさん』。しかし『サザエさん』なんて観たのは凄く久しぶりだ。久しぶりに観た『サザエさん』ではあるが、あいも変わらずこの季節の『サザエさん』は「マツタケネタ」をやっている。1年経てばまた同じ季節がやってくるように…

ある日のこと。

●いくつも団地が建ち並ぶなかに、ポツンとそこだけ放置されてある空き地。(こんもりと、かなり高く盛り土がしてあって、雑草が茂っている。年に何度か業者がはいって、チェーンソーみたいな道具をうならせて、青臭いにおいをまき散らして、草を刈るのたけど…

小島信夫/保坂和志(往復書簡)『小説修業』を読んだ

●それにしても小島信夫の文章は読みにくい。何が書いてあるのか分らない訳ではないし、特別難しいことが書かれている訳でもないのだが、何故、そのようなことがそのような順番で書かれるのか、何故ある問いかけに関して、そのような応対が出てくるのか、がよ…

小島信夫/保坂和志(往復書簡)『小説修業』を読んだ

●小島信夫/保坂和志(往復書簡)『小説修業』を読んだ。 ●アトリエからの帰り、午後10時半過ぎ、建物の2階にある喫茶店の窓際の席でコーヒーを飲みながら、昼間読んだ『小説修業』をパラパラとめくり返していたら、窓から見える細い道を、駅から出てくるバスが…