2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧
⚫︎《投壜郵便では、手紙が海水に溶けてなくなってしまわないような頑丈な壜を作ることが重要だと、かつて佐藤雄一が書いていた》ということを6月19日の日記に書いた(このテキストを読み直したいのだが、載っているはずの「新潮」の「クォンタム・ファミリー…
⚫︎分析的キュビスムの過激で厳密な探究が、ある一定の成果を得たと同時に、行き詰まり感というか、一種の虚しさに近い感触を生んでしまう地点に辿り着いた時に、唐突であるかのようにピカソがつくったコンストラクションによって開かれた地平はとても大きい…
⚫︎「ギター」のコンストラクションは、ピカソの作品中でも最重要作品であるというだけでなく、20世紀に作られた美術作品で最も革新的で、最も創造的な作品の一つだと思う。分析的キュビスムは、それ自体が素晴らしいというよりも、その探究が「ここ」に行き…
⚫︎山本浩貴(いぬのせなか座)さんと山本伊等さんが作品を観にアトリエを訪ねてくれた。いろいろ話した。 inunosenakaza.com drholidaylab.com ⚫︎その後、飲みに行った居酒屋の料金が意外に高くて申し訳なかった…。
⚫︎『水星の魔女』、23話(プロローグを含めると24話め)。 ⚫︎「私たち、家族になるんですから」と、ミオリネがプロスペラに言う。次回、ついにミオリネとスレッタが結ばれるのか。今回で、物語の大筋は畳まれた感じもある。次回の最終回は、残務整理と、登場人…
⚫︎マティスの絵を観る時には、時としてマティスの言葉を裏切る必要がある場合もある。例えば、「1㎠の青はどれでも、同じ青が1㎡の青のときほどは青くない」というマティスの有名な言葉があって、これは後の、ロスコやニューマンなどのカラーフィールド絵画…
⚫︎いまさらながらという感じだが、マティスがこの作品によって「マティスになった」と言える「豪奢I」と、ピカソがこの作品によって「ピカソになった」と言える「アヴィニョンの娘たち」が、どちらも同じ1907年に描かれ、そして、それから1912、3年くらいに…
⚫︎おお、ヴァージンVS、懐かしくて泣きそう。80年代初めの幸福な記憶とあがた森魚のボーカルは一体になってる。 『探偵同盟』のオープニング曲。 Only Lonely Skate Roller - YouTube 探偵同盟OP/ED - YouTube 『翔んだライバル』のエンディング曲(ベン…
⚫︎『水星の魔女』、22話(プロローグを含めると23話め)。 ⚫︎「地球圏全体をデータストームが覆う」というのは一体どういう状況なのだろうか。それによってプロスペラは具体的に何をしようとしているのか。彼女の目的は、娘を生かすことと、ベネリットグループ…
⚫︎机の上。
⚫︎マニアックという語の暴力性ってあるなあと思った。メジャーではないもの、もっと言えば「普及品」ではないものすべてをマニアックという箱(カテゴリー)に入れて処理する健全な粗雑さの行使という意味で。多くの人はひとかけらの悪意もなく無邪気にそれを…
⚫︎人から聞いた話で原点に当たってはいないのだが、ポン・ジュノがインタビューで、「映画を作るのに、準備に一年、製作に一年、プロモーションに一年かけるから、自分は三年に一本よりも早いペースで映画を撮る事ができない」と言っていたそうだ。もう十年…
⚫︎巣鴨で、Dr.Holiday Laboratory『脱獄計画』(仮)のミニシンポジウム。 会場の都合でもう終わりにしなければいけない時間が迫っている(残りわずかしか時間がない)と言った後、唐突なように山本伊等が「このことをずっと聞いてみたかった」と切り出し、「自…
⚫︎Dr.Holiday Laboratory『脱獄計画』(仮)のミニシンポジウムの予習(復習)のために記録映像を観ていた(戯曲を買うと、記録映像へのアクセス権が得られる)。特に複雑になる最後の8場、9場は、戯曲と付き合わせて観た。映像と戯曲を付き合わせることで初めて気…
⚫︎久々に「ユリイカ」を買おうかと思って見たら値段が3000円で、えっと驚き、しばらく見ないうちに「ユリイカ」もこんな値段になってしまったのか、と思ったのだが、よく見ると、増刊号だからだった。とはいえ、「ユリイカ」の定価が本当に3000円になってい…
⚫︎VECTIONの西川さんときくやさんに教えてもらった、トビアス・グレムラーという人がつくった動画がとても面白い。一つ目の動画はダンサーの動きを、二つの動画はカンフーの動きを、モーションキャプチャーして加工したもの。実際に動いている人の「体感」は…
⚫︎下高井戸シネマで『背』『DUBHOUSE:物質試行52』(共に七里圭)を観た。『背』について。 この映画は、まず(というか、石巻のホテルのガラス窓に続いて)、ガラスに描かれている何かをガラスクリーナーで拭き取る仕草から始まる。これは二つのことを意味する…
⚫︎卒業以来一度も会っていないし連絡をとったりしたこともない中学時代の同級生がいきなり夢に出てきた。「あれから十年なんだよな」とか夢の自分は言っていたが、十年どころか四十年だろ、と、目覚めてから自分にツッコミを入れた。 (目覚めてから気づいた…
⚫︎もう歳も歳だし、夏になっても暑くて体がキツいだけで特にいいことが何かあるわけでもないが、それでも「これから夏に向かっていく」という季節になると気持ちが上がる。どんどん緑が濃くなって光が強くなっていく予兆がそこここにある。 そしてこの時期に…
⚫︎『水星の魔女』、21話(プロローグを含めると22話め)。前回までは、物語はどこまでも拡張していくかのような構えだったが、ここへきて急速に、物語が収束モードに入ってきた感じ。それも、無理矢理という感じではなく、収まるべきところに、見事にスーッと…
⚫︎改めて古本で買った。昔、新潮社の箱入りの「純文学書下ろし特別作品」という枠には、特有のドキドキ感があった。リアルタイムでは、『同時代ゲーム』(大江健三郎)、『裏声で歌へ君が代』(丸谷才一)、『地の果て 至上の時』(中上健次)、『世界の終わりとハ…
⚫︎『からだの錯覚』(小鷹研理)について、もうちょっと。「ボディジェクト指向」のシリーズは、小鷹さんがやっている他のことと多少毛色が違っていて、より「作品」性が高く、自分の身体を用いて「そこ」に参加しなくても、動画を観ているだけで、かなり強く…
⚫︎『からだの錯覚』(小鷹研理)、最後まで読んだ。昨日の日記でぼくは、小鷹さんの研究と、アラカワ/ギンズの仕事や、樫村晴香の楳図かずお論などを結びつけて考えた。しかし、小鷹さんの新しさは、そのような芸術的・文化的な背景や文脈と全く無関係でも成り…
⚫︎『からだの錯覚』(小鷹研理)をようやく読み始めた。半分くらい(第三章まで、追記、四章まででした)読んだ。読み始めてすぐ、アラカワ/ギンズによるヘレン・ケラーへの関心を思い出した。生まれて間もなく(生後19ヶ月くらいで)、視覚と聴覚を失ったヘレン・…
⚫︎U-NEXTで、『たわわな気持ち 全部やっちゃおう』(古澤健)を観た。面白かった。おそらく、今、ピンク映画を作るということはどういうことなのか、それに意味があるとしたら何処にあるのか、ということを真剣に考えた末に、こうなったのだろうと思われる。性…
⚫︎『こどもが映画をつくるとき』(井口奈己)を観た。これは素晴らしかった。ぼくはどうしてもキアロスタミが(すごいとは思っても)好きになれないのだけど、これを観て、その感情は間違っていないと思うことができた。 この映画を観ていると、「子供」というの…
⚫︎『水星の魔女』、20話(プロローグを含めると21話め)。あー、ガンダムのニヒリズムきたー、という展開。「望みの果て」というタイトルの通り。状況を変えようとする高い志を持つ者たちの行動は、入り組んだ末に、大規模な破壊と殺戮へとつながってしまう…。…
⚫︎巣鴨で保坂和志の小説的思考塾vol.11(with池松舞)。以下は、内容のレポートではなく、話を聞きながら考えたことを書いたものです。 ⚫︎基本的に、芸術は芸術家しか必要としないと思う。だがここで芸術家とは、真剣に芸術を受け取ろうとしている人、または、…
⚫︎突如として80年、81年頃のノスタルジーに浸ることになった。 懐かしくて泣きそう。深夜ラジオから繰り返し流れていた。中学生になって初めて知った「深夜」という時間の特別な感触。 山下久美子 - 恋のミッドナイト・D.J (Official Audio) - YouTube 「赤…
⚫︎「近代絵画」が何をやろうとしてきたのか、を示すための、ぼくなりの一例として書いたのが、下の、マティスの「Pink Nude」(1935年)についての記事だ(5月28日の日記参照)。マティスは「Pink Nude」の制作過程を22枚の写真に撮って残した。そのうち、マティ…