2023/06/28

⚫︎「ギター」のコンストラクションは、ピカソの作品中でも最重要作品であるというだけでなく、20世紀に作られた美術作品で最も革新的で、最も創造的な作品の一つだと思う。分析的キュビスムは、それ自体が素晴らしいというよりも、その探究が「ここ」に行き着いたことによって素晴らしい(写真は、『ART SINCE 1900 図鑑1900年以降の芸術』より)。

オクトーバー派の人たちは、この作品やパピエ・コレについて、ソシュールヤーコブソンを持ち出してイコンでもインデックスでもない「シンボル=記号」の恣意性(というか、より正確には「シンボル=記号の示差的で相対的な構造的性質」というべきだと思うが)から説明するが(それは、それなりに適切だと思うが)、それよりもむしろ比喩的空間(空間的比喩)、あるいは空間の比喩的(類比的)性質に基づく構築と考えた方がより適切であると思われる。

(要するに、示差的構造と、類比的構造の違いを言っている。類比とは、イコン的類似ではなく、構造と構造との間に構造的類似を見ることだと言っていいと思う。)

比喩とは、あるものが別のあるものを適切に表象することではなく、似ても似つかない二つのものが強引に接合されることによって生まれる第三のもの(表現)だろう。この、出来損ないの(音の出ない)ギターもどきは、ギターとは似ても似つかないにもかかわらず、かろうじて(類比的に)ギター的な感触を匂わせることによって、ギターでありつつも、ギターのギター性を越え出て、別のなにものかを表現する。それはもはやギターではないが、それがギターから発せられたもの(ギターと結び付けられたもの)だという通路は残されている。

モチーフと表現の間にあるのは、表象(具象)的でも非表象(抽象)的でもない、比喩=類比的な関係だろう。ピカソマティスが「具象」を手放さなかったというとき、その具象とはモチーフとのイコン的類似の関係ではなく、比喩的、類比的な関係を示すと考えられる(追記、ちょっとこれは言い過ぎか…)。比喩は、五感を動員し、悟性をも動員し、それらを協働(混合)させるものだから、比喩的空間の構築は必ずしも視覚的に正しい表象(遠近法)のみに支配されない(しかし、遠近法を否定するわけでもない)。

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