●とてもいい天気。「オブ・ザ・ベースボール」(円城塔)に、≪視野全体を保持しながら細部へと果てしなくズームインする機構を青空と呼ぶのではないかとは俺の意見だが、賛同を得られた例しはない≫という印象的な(これだけで短歌のような)一文があるのを思い出す。
●「ヒッグス粒子発見か」というニュース。最近、超ひも理論とか素粒子物理学とかの解説書ばかり読んでいて、いつのまにかアマゾンの「おすすめ商品」の80位過ぎまですべてサイエンスの(しかもほとんどが物理学と数学の)解説書で占められているくらいだ(芸術も文学も哲学も全然入ってなくて、84、85、86位にようやく、中井久夫、高橋悠治、三好銀があって、またサイエンスがつづく)。なので、この話はあまりにタイムリーすぎる。昨日の夜にたまたま「そこ」だけ勉強していたら、今日抜き打ちテストがあってそこが出た、みたいな。しかも、CERNとかLHCとかは少し前にハマったアニメ『シュタインズゲート』に嫌というほど出てくる馴染みの深い名前でもある。世の中とシンクロしすぎていて恥ずかしい。
●それとはまた別だが、『最後の親鸞』(吉本隆明)がとても面白い。吉本隆明の論の展開はねじれていて、たとえば「相対性」と「絶対性」とがちゃんと対概念になっていなくて、互いに位置をずらしながら浸食し合っている。さっき出てきた相対性は、ここで絶対性と対比されている相対性とは違う相対性なはずだよね、みたいな感じになっている。そのねじれとずれ込みのなかにこそ言いたいことが込められていると思うのだが、「ねじれとずれ込みに注意して読め」とはどこにも書いてない。
●ぼくとしては珍しく、今年の夏は、7月の終わりに京都へ、9月のはじめに尾道へ出かける予定がある。京都へは打ち合わせを、尾道にはレクチャーをしに行くので、旅行というわけではないが、5月の終わりの引っ越しと合わせて、移動がつづく感じ。今までは、地図上でみても移動といえるような移動はほとんどなかったのだが。
●六月に撮った写真。その2。