●昨日につづいて一日小説を書く。昨日、今日で書いた分を合わせてようやく一万字くらいになった。前の小説は四十枚弱のもの書くのに一年かかったので、今度は半分くらい時間でなんとか形にしたいと思ったのだが、中断も含めて書き出してから三か月半くらいでようやくここまでという感じ。とはいえこれはあくまで第一稿で、前の小説では第一項の痕跡はけっきょく削ったり、圧縮したりで半分くらいしか残らなかったので、まだ滑り出したくらいの感じか。
●小説は、「書けるような状態」をつくるのがまず大変で、少なくとも、前後何日かは他の用事がまったくなくて、さしあたり気にかかることもない、というときではないと書けるモードにならない。小説を書くことは、すごく楽しいのにすごくつらい(作品をつくるというのは何でもそうだと思うけど、特に)。なぜか、すごいプレッシャーがかかる。このハードルをもうちょっと下げられるように努力したい。
●今の書き方だと、形式的なアクロバットとイメージの連鎖でなんとか動きをつくろうとしている感じだけど、そうではなく、ある動きがあって、そこに別の動きが加わることで、複数の動きの並列が出来て、その相互干渉によってさらに複雑な動きが生まれる、みたいな書き方がなんとかできないものかと思うけど、これはとてもむつかしい。
●とにかくぼくがやりたいのは、図が動くことで地の底を抜くというか、地の底が抜けてしまっている世界で、図たちはどうふるまえばいいのか、みたいなことに尽きるのだが。
●昨日の日記にある小説の部分が面白かったというメールをいただいた。小説を書くのは本当におっかなびっくりの感じで、いや、作品をつくるというのは何でも、一方に独善的ともいえる確信が必要であり、もう一方に、一歩踏み出すのもおっかなびっくりの自信のない足取りの両方が必要だと思うのだけど、小説を書くことは、初心者も初心者であり、本当に恐る恐るびびりながらやっているので、素朴に、とてもはげまされた。