ICCに「盛るとのるソー」(小林椋)を観に行ったのだけど、「盛るとのるソー」もとても面白かったけど、メディア芸術祭関連で展示されていた、五島一浩による「BUMPY」という作品がヤバかった。
3Dメガネをつけて観る立体視の作品なのだけど、視差をもった二つのカメラで撮られた映像ではなく、単眼のカメラで撮られた映像を、左右の眼に微妙に時間をずらして見せることで視差をつくりだして、偽の立体感をつくりだすという作品。右眼と左目とで、五フレームずらすとか、三フレームずらすという微妙な操作がなされていて、今、見ている映像が左右の眼に対してどの程度ずらされているかが、画面の下に字幕で示される。
まさに、時間を空間化する作品だけど、今までに感じたことのないような異様な立体感で、長時間観ていたら精神に変調をきたすのではないかというくらいヤバかった。映画や映像作品で、「世界が歪む」という様を表現する様々なやり方があるけど(最近観たもので最もすごかったのは『ドクター・ストレンジ』だった)、こういう形で歪んだ世界ははじめて観たし、なんというか、ダイレクトに精神にくるという感じがヤバい。
魅了されて、しばらくじっと見入っていたのだけど、ふと、自分の体がゆらゆら揺れて、平衡感覚がおかしくなっているのに気付いて、怖くなってメガネを外した。帰り道でもまだ平衡感覚がおかしくて、ICCを出たところの吹き抜けから落下するのではないかという恐怖をもちながら帰った。下手をすると、3Dメガネをはずしても違う世界のまま、みたいなヤバい感じがあった。また観たいけど、でも怖い、みたいな。
五島一浩「BUMPY」
http://www.goshiman.com/hp/03ttls/23_bumpy_j.html