08/01/22

●編集者の方が近くまで来てくれて、近所の喫茶店でお会いする。喫茶店で対面して話していると、視点が、相手の顔か、手元の自分のコーヒーカップ(あるいは相手のジュースのコップ)くらいしか移動できなくて、焦点の距離がどうしても固定してしまうためか、だんだん目がしばしばしてきて、涙目になってくる。また、たまたま、上手く視線を逃れさせられるようなスペースのない席で、視点を遠くのものに移すためには、そっぽを向くような姿勢にならざるを得なくて、話の途中で唐突にそっぽを向くのはいくらなんでも失礼なので、焦点がかっきりと固定されてしまってることを意識すると変に目に力がはいって、さらに目がしばしばしてくる。いや、たんに、暖房の効いている店内が異様に乾燥していただけかもしれないけど。
時期ははっきり決まっていないけど、「リンチ論」は近いうちに掲載される方向(「方向」というのはまだ確定ではないという意味)。あと、三ヶ月という短い期間だけど、アート時評みたいなものを書かせてもらえるっぽい。
●編集者は、わざわざここまで来たついでに近くの美術館に寄ってゆく予定だそうで、ぼくが、ここから歩いても四十分くらいですよ、と言うと、四十分も歩けません、と、タクシーに乗って行った。ぼくとしては四十分というのは普通に「歩く」距離なのだけど、ちゃんとした社会人は躊躇無くタクシーを使えるのだなあ、と、当たり前のことに関心するのだった。というか、自分のズレ具合が笑えるのだった。
●ぼくはここ一年くらいまったく髪を切ってなくのばしっぱなしで(主に経済的な理由)、髪型がかなりひどいことになっていて、それでも秋頃まではハンチングとかで誤摩化していたのだけどそれも限界で、最近では頭全体をすっぽりと隠せるニット帽がないととても人前には出られない感じで、無精髭とか生えてる顔を鏡で観ると自分でもさすがにこれはヤバいだろう、ただでさえ昼間からぶらぶらしてるあやしいおっさんなのに、と思うのだが、ここまでくると、十年以上通っているのにここ一年すっかりご無沙汰の美容院にも行きづらいし、今は寒いからもうちょっと暖かくなってから、とも思ったりして(そういえばぼくは子供の頃から床屋が嫌いで理由をつけては先延ばしにしていた、じっとしているのが嫌なのだ)、なかなか髪を切りにゆくきっかけがない。ということで、帽子のままで失礼しましたという言い訳でした。