●夢。普通に歩いているのに、何かいつもと感じが違う。周囲を見下ろすようで、ふわふわ、ふらふらしている。急に背が高くなったのだろうか。いや、たんに背が高くなったということではなく、鳥のような、地面から切り離された高い視点から見ているみたいだった。だが、体は普通に、商店街のアーケード下の人混みを道行く人を避けながら歩いているのだ。どうも調子がおかしいと思ったら、案の定、女性用のヒールの高いサンダルを履いているのだった。そういえば、さっき出がけに、玄関には大勢の靴が乱雑に散らばっていて、寝ぼけたまま出てきたから、そこで間違えたのだろう。帰ってみると、一人の女性が靴を盗まれたといって、みんなで、ちょっとした騒ぎになっていた。これはまずいことになった。玄関はまだ、沢山の靴でごちゃごちゃになっていたから、そこに紛らせて誤魔化そうと考えたのだが、そうはいかなかった。必ず、見ている奴がいるものだ。いや、そういうつもりはなかったんだと弁明しても、下手に誤魔化そうとしたので、みんなになかなか信じてもらえない。リビングでテレビを観ていても、針のムシロにいるようだ。